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アンラーン💣リラーン📚ためらわん♫run39

⭐影のできない光は存在しないことをどのように伝えていくか⭐️
(これまでの虚栄を解きほぐす「unlearn」のため、頭の中を刷新する「relearn」を躊躇なく進めるための記録)
最近の授業では、国際社会の問題を多面的・多角的に考えるような仕掛けに重心を置くようにしています。

先日授業で扱った内容は「援助の光と影」でした。
南北問題の中にある経済格差・貧困などを解決するにはどのようなアイデアがあるかと問うと、だいたい「援助」や「寄付」というキーワードが出てきます。

確かに、経済格差・貧困の解決にとって「援助」や「寄付」は大切です。しかし、それが模範解答のようになり、そこで思考が停止してしまわないことが大切だと思います。

解決のための或るアイデアが、バラ色の結果しか生み出さないというのはかなりのレアケースであり、ほぼすべてのアイデアが光(良い影響がある部分)と影(同時に生じうる問題の部分)を持っています。

そのため、その光と影の両面を理解した上で、影の部分の改善・修正・克服に気を配りながら、どれだけ光の部分の影響を大きなものにしていくかを考えることが、課題解決についての深い思考となります。

先日の授業では、具体例として「ファストファッション、古着市場、援助・寄付」の光と影について考えました。

「持てる状態にある地域」から「持たざる状態にある地域」に物資を届けることは、「量的」観点では不足を補っているので良いアイデアに見えます。しかしその「量的」な補助・補填の全てが、本当に良いものかどうかについては、「質的」観点も含めて考える必要があります。

動画で見たガーナの古着市場では、ほとんど価値がない、使用することができないような古着を、援助・寄付の名の下で、途上国に押し付けている状況でした。これは「質的」観点での古着の価値がゼロもしくはマイナスであり、その上で大量の古着が援助・寄付されているので、途上国には負の価値が蓄積されてしまうのです。

そこで経済格差・貧困というテーマについて考えるときは、「援助・寄付」をどのように実践するかだけでなく、「自助努力」を進めていくことも考える必要があります。そして両方の利点(光)・問題点(影)にも目を向けなければ、深い思考には向かっていきません。

援助・寄付のように模範解答で終わってしまいそうな問題についても、批判的思考(クリティカルシンキング)を積極的に活用していくことは大切ですね。

しかし、これでは前回のアンラーン37でも触れた、「実態」優先だと不足してしまう「自分ごと」問題が発生してしまいます。

時間はさらにかかってしまいますが、今回の援助・寄付というテーマの中にある「構造・本質」のようなものに注目すると、ここから「自分ごと」へ繋げることができると思います。

それは「自助・共助・公助と社会保障制度」と絡めることだと感じています。途上国への援助・寄付は、自分からは遠い国との関わりですが、社会保障制度は医療・介護・年金などこれからの自分の生活に必ず関わってくる問題です。そうはいっても、前者は空間的に遠く、後者は将来関わるのですが、現在の自分にとっては時間的に遠いため、後者の方が自分ごとになりうると言い切れるか苦しい部分があるのは自覚しております。

それでも自分の人生という時間軸に必ず交差する問題ということで、これは授業で扱うテーマを「自分ごと」にしていくヒントの一つのように感じているわけです。

「共感は全世界の人間を親族にする。」
これはイギリスの劇作家シェイクスピアの言葉です。この言葉の意味は、親族ではない者同士であっても共感という心の繋がりがあれば、親族と同様の関係になるということですね。援助・寄付という行動も、他者の苦しみが共感できるから生まれると考えることができるでしょう。

すると援助・寄付は本来、利他的な精神からくるものと言えます。これに対して、類似した構造を「自分ごと」として考える今日の記事で触れた社会保障の話は利己的な話で真逆のように思われるかもしれません。しかし、援助・寄付が持っている課題を真剣にイメージするためには、まずは利己的な世界(自助・共助・公助と社会保障制度)で、自分が関わる痛み・苦しみについてイメージしておくこと無関係ではないと私は考えています。むしろ、そのような類似した構造でのイメージこそが血の通った「共感」を生み出すとはいえないでしょうか。

自分にさしかかる影を知ることで、光に対する理解も進み、結果として自分よりも広い世界の光と影についても真剣に考えられるということでしょう。

このように考えるのは私が人格者からは程遠く、卑しい思考だからかもしれません。このような考えに基づく学びの仕掛けは是か非かという根本的な話を含め、どのように「自分ごと」を作り出していくか、引き続き悩んでいくことになりますね。

#哲学   #シェイクスピア
#ファストファッション

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