【小説】 尾のない未来 【ショートショート】
もうすぐ、二十歳になる。
寂れた漁師町の片隅の部落で何の夢もなく、何の目標もないまま生きて来た。
これまで生きて来て分かった事と言えば、二十歳になるまでとうとう人間が好きになれなかった事と、散々忌み嫌っていた部落を出られなかった事だ。
工場の仕事が終わってガタガタの家へ帰れば、狭い茶の間で親父とおふくろが顔を赤らめてバラエティ番組を観ながら楽しげに手を叩いてる。そんな親とはこの二年間、朝も夜も食卓を共にしていない。
親の口をついて出る話といえば隣の部落の悪口や