タイミリミットが来る前に。

岸政彦さんと柴崎友香さんの共著、「大阪」を捲っていると、柴崎さんが１０代の頃に触れた音楽のことが書いてあり、私も当時の自分を思い出しました。

私が中学に入学したのが１９８７年。CDが普及し始めた頃であり、友人の多くがCDラジカセで音楽を聴いていました。私も中学入学後まもなく音楽に興味を持ち始め、貯めたお年玉でカセットデッキを買いました。CDラジカセは遠い夢で友人が羨ましかったですね。

どんな音楽があるのか。情報源はテレビやラジオ、友人との語らいが中心でしたが、ある日上級生が読んでいた「FM ステーション」という雑誌を目にし、以降この雑誌から情報を得ることになりました。

どんな新譜が出るのか。どんなアーティストをがいるのか。アーティストのインタビュー記事を読み、ラジオの番組表を隈なくチェックし、録音し、たくさん聴きました。そうやって情報を精査し、購入するアルバムやシングルを決めていました。当時は貸レコード屋があり、アルバムをカセットにダビングしてくれるサービスがありました。１アルバムにつき、３００円くらいだったと思います。そうやって少しずつ知識を深めていきました。

最初に好きになったのが長渕剛と松任谷由実でした。私の世代の多くが通る道ですね。初めて買ったシングルは長渕剛の「泣いてチンピラ」。アルバムはユーミンの「ダイヤモンドダストが消えぬ間に」。いずれもカセットでした。その後、さらに自分自身に合う音楽の探求は進み、中学２年生で中島みゆきの曲に出会い、以降尾崎豊、白井貴子、浜田省吾に出会い、その４人が私のフェイバリットとなり、よすがとなり、それは今でも続いています。

探求の過程でたくさんの音楽に出会いました。そして友人とたくさん貸し借りしました。ヤンチャな同級生たちは大人でセンスがいいので、色々と教えてくれました。バービーボーイズやレベッカ、ＰＳＹ・Ｓやレピッシュなど、世はバンドブームだったのもあって百花繚乱でした。

高校に入るとマニアックな音楽の話が出来る友人が周りにいませんでした。貸し借りも中学の時みたいにあまり出来なくて、部活の帰りにCDレンタル屋さんに寄っていました。私が先に挙げたフェイバリットたちのCDを持っている同級生はあまりいなかったように思います。

中学時代にCDラジカセは買いませんでしたが、中２の時にお年玉でテクニクスの卓上型CDプレーヤーを買いました。それをラジカセに繋いで聴いていました。中学生ながらシステムコンポを揃えたいと思ったのです。毎年お年玉を貯めて買える範囲でアンプやカセットデッキ、スピーカーを揃えるつもりでした。その辺りの知識は「FMステーション」で深めていきました。

私が学区で唯一の進学校に合格したのが余程嬉しかったのか、奮発して両親がパナソニックのコンポを買ってくれました。お年玉でシステムコンポを揃える必要も無くなりました。高校３年間だけそのコンポを使い、以降は妹と弟に引き継がれました。

高校３年間でも色々な音楽を聴き、大阪の大学に進学してからはコンサートにたくさん行きました。大学ではマニアックな音楽の話が出来る友人がいて、一緒にライブに行ったりしました。夜から朝にかけて時給のいいバイトをたくさんしてお金を稼ぎ、たくさんコンサートに注ぎ込みました。興味を持ったアーティストは片っ端からチケットを取りました。ミニシアター同様、大阪の主要なライブ会場には全て行ったと思います。そんな私の「音楽活動」は私が写真を始める２０代後半まで続きました。

ざっと駆け足で私の青春を辿ってみました。少し前の吉田拓郎の引退はとても残念でしたが、同時にリミットがあるということを痛感しました。観ておきたい未見のアーティストがたくさんいます。山下達郎・竹内まりあ夫妻。小田和正。財津和夫。井上陽水。ユーミン。高橋真梨子はもう一回観たい。長渕剛はまだまだ屈強だけど観ておきたい。渡辺美里も福山雅治も。今井美樹も玉置浩二も。挙げると切りが無い。スプリングスティーンやボブデュラン、クラプトンも観ておきたい。マドンナももう一回観たいかな。少し間が開いてしまっている中島みゆきと白井貴子も観に行こう。浜田省吾は今後もコンスタントに。尾崎豊は間に合わなかった。私が２年早く生まれていたら最後のツアーに行けたと思う。

好き勝手に書いています。好きなことは止まらないですね。数年前、白井貴子に実際に会えたときはとても嬉しかった。握手して、一番好きなCDにサインしてもらって、お話して。そういえば初めて行ったコンサートは白井貴子でした。ちょうど模試の日でしたが、パスして観に行きました。優等生のような真面目な生き方を演じてきた私が、初めて「お行儀の悪い」所作をしたように思います。晩秋の時期でしたがすでに大学は合格しており、初めて羽を伸ばした気持ちでした。私にもふざけたところがあったのです。

長くなり過ぎましたので、この辺りで。いつも以上に内容のない文章になってしまいました。どうかご容赦を。