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中島みゆき「ライカM4」にみるポートレート論

中島みゆきの作品に、「ライカM4」という曲があります。
カメラマンがライカM4でモデルを撮影するシーンが描かれています。

最近じっくり歌詞を読んでみたら、まさに私がワークショップでお伝えしている内容と重なっていることに気付きました。

モデルが撮影前に色々と思案しますが、
「良く撮ってもらおう」などの、邪な気持ちは写ってしまう/要らない。

ライカM4が撮るのは、「風と光」だけ。
そしてもうひとつカメラが捉えるのは、「カメラマンの涙」。

風は、時間とも置き換えられますね。
写真には光の濃淡と時間が写ります。
「カメラマンの涙」はカメラマンの人生。撮る人の人間性。
シャッターを押す指先に、撮る人の人生が乗っかります。
記憶、美意識、育った環境、文化、社会、教養など。
撮る人の巨きさが写真に顕れます。残酷にも。
これは高名な写真家も述べていますし、当たり前のことですね。

被写体として数えきれないほどの写真を撮られてきたみゆきさんは写真の本質を見抜き、彼女ならではの言語感覚で流麗な詞に落とし込んでいます。

人見知りで知られるみゆきさんですが、長年彼女には田村仁さんという専属のカメラマンがいます。強い信頼関係のもと、心置きなくカメラの前に立つことができるのでしょう。
ちなみに私が同じく敬愛している浜田省吾にも田島照久さんという、長年アートワークを担当されている並走者がいます。尾崎豊も担当されていましたね。思春期だった私の美意識にしっかりと刻まれています。

素晴らしい作品を遺しているシンガーは、撮る/撮られるの関係をよく理解していると、この「ライカM4」が伝えてくれます。

ぜひ一度、聴いてみてください。





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