🇹🇭無理やりビーチへ@プーケット2012
プーケット島、パトンビーチである。
彼女とはその昔にパタヤより南にあるチャーン島で大喧嘩したこともあり、ビーチリゾートが旅程に入る事はそれ以降無くなっていた。
だが、今回は別だ。
「たまには綺麗な旅行もしたいわ」
なんという、言い草だ。
まるで私が汚いところばかり好き好んで旅に出ている、と言わんばかりだ。
「任せるよ。俺はビーチは興味ない。それは変わらないからね」
我々はドンムアンからプーケット島に飛んだ。
初めての県だ。
プーケットのパトンビーチに着くなり、海沿いのゲストハウスに荷物を放り投げ、すぐ出かけた。
「俺は一眼レフで撮る」
好きにしなさい、と彼女は言う。本当に嬉しそうだ。私は綺麗なビーチも陽気な天気も興味無かった。
Canon EOS kissX5。
当時は最新機種だったが、単焦点レンズは持っていなかった。ズームレンズでひたすら南国の人々を、撮り続けた。
その中でも、特に感嘆したのがこのボンネットトラックだ。日産ディーゼルか、日野か。バンコクではデコトラみたいに飾った車両しかないが、生きた化石が走っていた。純正である。
1950年代のトラックが現役で見られるのもインドシナの魅力だ。
こちらは特段貴重とまではいかないが、ダットサンのサニートラックだ。ソウテウに換装されて走り続けて40年というところか。
夕方になると、我々は小高い丘に登り夕日をみた。
「もう、アドベンチャーな旅行はこりごりよ」
聞くに、彼女は2年前に行った天津、北京の中国旅行があまりに過酷だったようで、私の趣味に付き合わされるのはもうごめんだと打ち明けた。根に持っていたようだ。
ただ、旅行は好きだ、と言う。
「綺麗なホテル。美味しい食事。綺麗な写真。それが欲しいの。」
そんなに辛い目に合わせたとは思ってなかった。北京旅行がそこまで嫌だったとは。
(ハードではあったが)
返す言葉がなかった。
折衷案が必要だったが、考えるのはやめた。
カップルが結婚式向けの写真を撮っている。
アジア圏でよく見かける光景だ。
なかなか絵になる。
夜、オープンバーで二人でカクテルを飲んだ。
お互い下戸なので、珍しい事だった。
「こういう旅行がしたかったのよ」
彼女は満足そうだった。
もう、自分の満足のための旅行は難しそうだった。
やるなら、一人旅にするしかない。
そんな事を酔った頭で決めていた。
好きな事は、やめられないのだ。
二人で帰路についた。
途中、彼がワーイ(合掌)をして佇んでいた。
私もワーイをした。
旅の仕方がこれから大きく変わる予感がした。
そして、それに、逆らう反骨心も同時に燃え始めた。
ーータケシ
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