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ウィ・ザ・ピープル/エレン・マキルウェイン (‘73)

We the People / Ellen McIlwaine (‘73)
エレン・マキルウェインは、テネシー州メンフィスで生まれ、日本の神戸で育ったシンガーソングライターであり、スライドギタリストでもあった。
最初は日本のラジオで流れてくる、レイ・チャールズ、ファッツ・ドミノやプロフェッサー・ロングヘアーといったアーティストの曲をピアノで演奏していたが、高校卒業を機にアメリカへ帰国、’60年代半ばにはジョージア州アトランタでギタリストとしてステージに立っている。

本人曰く、「インド、中東、アフリカなどの国々や、ゴスペル、ブルースなどの音楽から影響を受けた。」と語っており、その後、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジを活動拠点としてからは、ジミ・ヘンドリックスやリッチー・ヘヴンスらと交流を深めた。そして再び、アトランタに戻ってからは、フィアー・イットセルフ〜Fear Itselfというサイケデリックなバンドのフロントを務め、アルバムを一枚リリースしている。

その後、ソロ活動に転じ、ポリドールから2枚のアルバムをリリースした。本作はその2作目のアルバムにあたる。’90年代に入って、ファーストアルバム「ホンキー・トンク・エンジェル (‘72)」と本作のカップリングで「アップ・フロム・ザ・スカイ:ザ・ポリドール・イヤーズ」として再発された。

彼女はシンガーやソングライターとしてだけではなく、スライドギタリストとしても有名であり、そういった面では、ボニー・レイットに繋がるアーティストである。そして3作目のアルバムをリリースした後は、インディペンデントレーベルを地盤とした活動にシフトし、’09年、’10年には女性ブルースギタリスト、スー・フォーリーのカナダツアーにも参加した。近年では、’13年のジミ・ヘンドリックスのドキュメンタリー映画にも参加したが、惜しくも’21年にカナダでこの世を去った。

ポリドール カナダ盤
裏ジャケット
インナースリーブ
インナースリーブ裏

本作のサウンドは、’70年代初期のグリニッジ・ヴィレッジという雰囲気を感じる。スライドギター全開の「エイント・ノー・ウェイズ・トゥ・イット」で幕を開け、3曲目「スライディン」では、スライドギターとボーカルのみの迫力である。他にもエスニック風のコーラスや楽器の使い方が、一風変わったブルースを感じる内容である。
エスニック風な部分が好みの分かれるところだが、逆にそれが彼女の持ち味であろう。

YouTubeで音源があったのでどうぞ。

Spotifyはこちらから。

残念ながら中古店でもあまり見かけないアルバムだが、良いアルバムである。見つけたら即買いかと。

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