カサブランカ/バーティ・ヒギンス (‘82)
Just Another Day in Paradise / Bertie Higgins (‘82)
AORを代表する曲の一つと言ってもいいほどの知名度である、バーティ・ヒギンスの「カサブランカ」であるが、今回はその歌詞に出てくるクルマの車種は何か?という疑問を考えてみたい。
この「カサブランカ」は、郷ひろみが「哀愁のカサブランカ」としてヒットを放っているが、元はバーティ・ヒギンスのファーストアルバムに収録された曲の一つである。彼はフロリダ州出身のシンガー・ソングライターで、本作にも収録された「キー・ラーゴ」がヒットするも、「カサブランカ」の評価は芳しくなかった。しかし、日本人好みのメロディが故、日本国内では「カサブランカ」の方が圧倒的に人気であった。
本作のジャケットは国内向けに差し替えられたもので、オリジナルのジャケットデザインとはまったく違う。しかしながら、当時のAOR人気にあやかった国内向けのジャケットも、今となっては当時を懐古させるデザインである。
「カサブランカ」の歌詞の一部。
I fell in love with you watching Casablanca
Back row at the drive-in show in the flickering light
Popcorn and cokes beneath the stars became champagne and caviar
Making love on a long hot summer's night
I thought you fell in love with me watching Casablanca
Holding hands 'neath the paddle fans in Rick's candle-lit cafe
Hiding in the shadows from the spots, a rocky moonlight in your arms
Making magic at the movies in my old Chevrolet
主人公は彼女と一緒にドライブイン・シアターで映画「カサブランカ」を観ており、いつしか自分たちが映画の主人公になったようなマジックにかかってしまった〜というような感じである。
歌詞に「Making magic at the movie in my old Chevrolet」とあるが、この「古びたシボレー」の車種は何か?という疑問があり、それを考えてみたい。
まず、「古びたシボレー〜my old Chevrolet」の年式であるが、アメリカ人の「古い」クルマの概念は、日本人とは大きく異なり、おそらく15年以上は前の車であると仮定する。本作のリリースが’82年なので、その15年前〜’67年式、20年前だと〜’62年式ということになるが、’62年式では古過ぎるし、’67年式ではマッスルカーブームの直前で、少しモダン過ぎるので、’64年式あたりを考えてみた。’64年を境にしてフロントブレーキがドラムからディスクに変更していったなどの経緯もあり、それ以前のクルマの価格が安価であったと想定、’82年当時の若者が入手しやすいことを考えれば妥当ではないだろうか。
「シボレー」はGM(ゼネラル・モーター)の中でも最廉価ブランドであり、高級志向のビュイックやスポーツ志向のポンティアックとは大きく出立が異なる。ましてやコルベットなどは’82年式が不人気とはいえ、若者が購入できるクルマではない。
そこで「シボレー」ブランドで、’64年式、若者でも手に入れられそうなクルマ〜という条件で、シボレー・シェベルの4ドアセダンを考えた。
カラーは薄いブルーのメタリックなんかが雰囲気ではないだろうか。同じシェベルでもSS(スーパー・スポーツ)396(6,500cc)ではなく、ベーシックな283(4,600cc)+3ATの組み合わせといった感じである。ホイールもアルミではなくスチール+ハブキャップである。
YouTubeのオフィシャル「カサブランカ」をどうぞ。
Spotifyでアルバムのプレビューはこちら。
こうやって想像を膨らませるのは楽しい。歌詞の一文を考えているうちに、アルバムを聴き終えてしまう。懐かしい一枚である。
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