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ロッキン・ザ・ジョイント/エスケリータ (‘88)

Rockin’ the Joint / Esquerita (‘88)
ピアノによるロックンロールのアーティストとしては、ジェリー・リー・ルイスやリトル・リチャードを思い浮かべる方は多いが、そのリトル・リチャードのスタイルに多大な影響を与えたと言われるアーティスト、エスケリータを紹介させていただこう。

エスケリータ(本名 エスキュー・リーダー)は’38年(’35年説もあり)にサウス・カロライナ州グリーンヴィルに生まれた。自身のスタイルのルーツはゴスペルであり、10代の頃に学校を中退した後、ニューヨークのヘヴンリー・エコーズというグループに参加した。ピアノは独学であるが、ピアノ奏者としての初期のキャリアについては知られていない。派手な化粧、サングラス、ウィッグを重ねて着けたポンパドゥール(所謂リーゼント)のスタイルで、芸名「エスケリータ」として活動した。

‘58年にジーン・ヴィンセント&ヒズ・ブルー・キャップスのメンバーであった、ポール・ピークの目に留まり、デモ音源を制作しラジオ局に持ち込んだり、楽曲を共作するなど、精力的に活動を開始した。その後、多くのアーティストと録音をし、’59年にセルフタイトルのアルバムをリリースした。これは彼の唯一のオリジナルアルバムである。

’70年代には活動の幅は狭くなったものの、ゴスペルのリンダ・ホプキンスに楽曲を提供したり、ネヴィル・ブラザーズのチャールズ・ネヴィルとグループを結成するなどしている。そして’86年、エイズの合併症により48才という若さでこの世を去った。

本作は’88年にデンマークのオフィシャル・レーベルからリリースされたコンピレーション盤であり、’59年のオリジナルアルバムには収録されていない代表曲「ロッキン・ザ・ジョイント」が冒頭を飾っている。

Official デンマーク盤
裏ジャケット

私が彼を知ったのは10代の頃、音楽関係の書籍で「ロック・ザ・ジョイント/エスケリータ」という記述を見つけ、その曲を聴いてみたいと思ったが、YouTubeもSpotifyもない時代である。ひたすら足を使って輸入盤を扱っているレコード店を探すしかなかった。そして’80年に東芝EMIから「アメリカを聴こう」というコンピレーション盤が12枚のシリーズでリリースされ、そのVol.1「ロックンロール誕生!!」に収録されたのである。すかさず購入したのは言うまでもない。このシリーズからは何枚かを購入したが、いずれも僅かな情報しかなかった時代において、まさに黄金の輝きであった。

「ロックンロール誕生!!」 国内盤
ライナーノーツ

同内容でジャケット違い(キャピトル盤)をSpotifyのプレビューでどうぞ。

「ロッキン・ザ・ジョイント」の間奏前のシャウト「Rock me! Ah~O~!」にどれほど感動したであろうか。初めて聴いた時の感動は忘れられない。

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