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ロックン・ロール・ミュージック/ヒデキ (‘77)

かつては郷ひろみ、野口五郎と合わせて「御三家」と呼ばれた西城秀樹の’77年作品、ロックン・ロール・ミュージックを紹介させていただこう。当時、絶大な人気を誇ってた西城秀樹が、ロックンロールという軸でアルバムをリリースしたという流れであるが、非常に興味深い点がある。

まず、ロックンロールという言葉であるが、現在は多くの研究の結果から簡単に言えば、黒人音楽に大きな影響を受けたビートの効いた音楽〜という解釈であるが、本作がリリースされた’77年においては、果たしてどのような解釈だったのだろうか。それを収録曲を例に挙げて検証してみたい。

RCA 国内盤
裏ジャケット
インサート
レーベル

まずA面から〜かっこ内は原曲あるいは有名バージョン。
①オー・キャロル(ニール・セダカ)
②ラヴ・ミー・テンダー(エルヴィス・プレスリー)
③悲しき街角(デル・シャノン)
④恋の日記(ニール・セダカ)
⑤ロック・アラウンド・ザ・クロック(ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ)
⑥クレイジー・ラヴ(ポール・アンカ)

B面は
①ダイアナ(ポール・アンカ)
②ツイスト・ガール(西城秀樹)
③君はわが運命(ポール・アンカ)
④タイム・トゥ・クライ(ポール・アンカ)
⑤ロックン・ロール・メドレー(ジョニー・B・グッド〜ハウンド・ドッグ〜グッド・ゴーリー・ミス・モーリー〜ブルー・スエード・シューズ)(チャック・ベリー、エルヴィス・プレスリー(カバー)、リトル・リチャード、カール・パーキンス)
⑥真夜中のロックン・ロール(矢沢永吉)
⑦恋の列車はリバプール発(矢沢永吉)

以上が収録曲である。この中でB-②だけが彼のオリジナルで、ほとんどがポール・アンカ、ニール・セダカらのオールディーズ・ポップスである。さらにラストの2曲はキャロル解散後の矢沢永吉が’75年、’76年にリリースしたアルバムの収録曲である。所謂「ロックン・ロール」と言われるのはB-⑤のメドレーのみとなっている。

これらを踏まえて当時では、オールディーズ・ポップスやポンパドゥールヘア(リーゼント)をしたバンドもすべて「ロックン・ロール」という認識であったと推測される。

YouTubeの音源をどうぞ。

本作を否定しないが、当時の国内においての「ロックン・ロール」は正しく認識されていなかった。その後、多くの音楽の研究もあり、インターネットを通じて容易に情報を得られる今日に至ったのは言うまでもない。

最後になってしまったが、本作はスタジオライブのような作りになっており、MCを交えながら進行していく。なお、本作のバックを務めているのは、吉野藤丸(ギター)バンドであり、タイトな演奏はさすがである。

まだまだ不思議なレコードが出てくる今日この頃である。

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