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1981年 ロカビリー探求の旅
今回は私がどうやってロカビリー沼にハマっていったかについてお伝えしようかと思う。当時は現在とは比べ物にならないほど不便だった時代かもしれないが、それなりに楽しかったし、得られたものもたくさんあった。
’80年代初頭、イギリスを中心にネオロカビリーが台頭し、いくつかのアーティストが懐かしくも新しい存在としてクローズアップされた。その中で最も有名だったのがストレイ・キャッツであるが、私は他にもシェイキン・ピラミッズという3人組のバンドが大好きだった。彼らはストレイ・キャッツよりカントリーに近い感じで、所謂「ピュアロカビリー」に近い雰囲気を持っていた。
アコースティックなサウンドが特徴でもあり、かつてイギリスで人気が高かったスキッフルに影響を受けたというバンドのコメントがあった。
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そうして彼らのアルバムを繰り返し聴くうちに、彼らが影響を受けたアーティストについて知りたくなった。アルバムのライナーノーツを読んだところ「12曲のうち、オリジナルは5曲」と書いてあり、それなら残りの7曲の原曲について調べてみることにした。インターネットもない時代に、輸入盤〜しかもロカビリーやカントリーを多く扱っている店を探し回った末、何枚かのロカビリーのコンピレーション盤を見つけた。その中には彼らのカバー曲のオリジナルと思われる音源が収録されていた。
当時、イギリスでリリースされていた「レア・ロカビリー」なるコンピレーション盤がそのアルバムだった。その中には聞いたことがある曲も含まれており、さらにもっとネオロカビリーバンドの原曲を探してみたくなった。
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そしてシェイキン・ピラミッズがカバーしていた「ティーンエイジ・ブギ」はカントリーシンガーのウェブ・ピアース、同じく「テネシー・ロックンロール」はボビー・ヘルムズの曲だと判明した。さらにネオロカビリーのバンドが好んで演奏していた「スリー・アレイ・キャッツ」のロイ・ホール、「ダックテール」や「シックスティーン・チックス」のジョー・クレイ(彼はこれらの曲のオリジネイターではなかったが、当時から謎の人物という評価があった)、今ではロカビリーのレジェンドであるジョニー・キャロルなどの音源と興味は尽きなかった。
足繁く探しまわったおかげでジョー・クレイの「ダックテール」や「シックスティーン・チックス」は別のコンピレーション盤「ビクター・ロックンローラーズ」に収録されていることを発見した。しかし、ここで更なる疑問が発生する。これらの曲にはエルヴィス・プレスリーのバンドに在籍していたスコティ・ムーアのような「鋭角的なギター」が演奏されており、これは誰なのか?と考え始めた。ジョー・クレイのクレジットの下に小さく「ハル・ハリス〜Hal Harris」という名前を発見し、このハル・ハリスなる人物が次のターゲットになった。
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ハル・ハリスを知ってから、今一つ有力な情報も得られないまま25年が経過した’10年に、スペインのエル・トロ・レコードからハル・ハリスの音源集がCDとして発売された。そしてすでに音源を所有していたサンパー・ジョーンズ(ジョージ・ジョーンズ)の「ロック・イット」や「ハウ・カム・イット」のギターも彼のプレイであったことを知った。
この頃にはロカビリー沼にハマってから、すでに30年が経過していた。その間、相当数のレコードやCDを購入し、ライナーノーツやクレジットを目を皿のようにして調べてきた。インターネットが普及し、ワンクリックで音楽が探せる時代ではあるが、当時は苦戦したものの本当にいい経験をしてきたと思う。
そんな恩恵にあやかって、Spotifyでシェイキン・ピラミッズのファーストアルバムの原曲のプレイリストを作成してみた。18才の時に彼らを知り、ロカビリー探求のきっかけになった「7曲のカバー曲」である。もちろんウェブ・ピアースやボビー・ヘルムズもリストに加えた。「シックスティーン・チックス」はオリジナルのリンク・デイヴィスとジョー・クレイ(ギターはハル・ハリス)の2バージョンにした。
先日の記事「カントリー&ブルーグラスを大量入手」のレコードの中にはウェブ・ピアースのアルバムもある。’75年のアルバムであるが、個人的には今でも「ティーンエイジ・ブギの人」である。
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レコードに興味が尽きることはない。狭くなってもレコードで溢れている部屋に住んでいたいと思う。そして何よりも人生は楽しい。
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