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COFFEEからのメッセージ

カフェのキャリアを積んで10年ほど経った時、東日本大震災を経験した。

当時は約400坪の某サービスエリアを丸々カフェにするという大きな新規プロジェクトの元、チーム一丸で開業に向けてバタバタとしている最中の出来事だった。

テレビに映し出されるのは、地震と津波で壊されていく、そこに住む人々の営みの風景。

とても現実で起きている事とは思う事ができず、テレビ画面を見たまま、ただ唖然とするばかり。
あの光景を忘れる事は生涯無いだろう。

当然、自分の周りでもインフラなどに色々な影響が出ていたし、そこに原発問題までもが重なって、南へ移住する人や海外脱出する人までいたりと、本当に日本が壊れていく様な恐怖に包まれていた。

それまではある種一心不乱にカフェを作り、店舗に立ち続けていた自分だったが、今目の前で起きている『大自然の力』の前に、自分のキャリアが何の助けにもならない事をただただ痛感し、己の無力さに打ちのめされた。

『自分はこの先、ずっとこの道を進むべきなんだろうか。』

そんな風に考えたのもその時が初めてだった。

そんな状況の中、あるご縁が生まれ、震災の年の瀬に中米エル・サルバドルへ単身向かう事に。
(その辺の詳細はまた後日にでも記そうとおもう)

自分の無力さを痛感していた俺は、導かれる様にコーヒーが生まれる南半球へと旅立った。

そこで目にしたのは
『人の命を無慈悲に奪う怖さ』
ではなく、
『生命のゆりかごの様な温かさと偉大さ』
を持った熱帯雨林の大自然、マザーネイチャーの姿とそこで暮らす人々の笑顔、そして彼らの生み出すコーヒーだった。

コンクリートで造られた、モノに溢れ便利で先進的な都市生活者である自分。

でも本質的な幸せは、きっとその先には無いんだろう。

みんな、大自然から生を受け、その命ある限り大自然に生かされている。

それを忘れずに、感謝の気持ちで自分の生をどう活かし、人生を歩むのか。

それが本当に『生活』していく事だと気付かされた。

あれからもう10年以上が経つ。

『本質的な幸せが何かを忘れないで欲しい』

そんなメッセージを1杯のコーヒーに込めて、今日もナナハン焙煎機を回している。




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