オープンイノベーションと相性がいいスタートアップのモデルとは?
久々のnote更新です。noteはサボってしまいましたが、twitterでは主にワニの話をしています。
さて、連休でアライアンス本を読んでいて、思いついたのでいわゆるオープンイノベーション活動(CVC/事業会社による投資、コーポレートアクセラレータープログラム等)と"どちらかというと"相性がいいスタートアップのモデルについてまとめます。超私見ですので異論などあればどしどし!
1. そもそもオープンイノベーションとは
少し古いですが、こちらをご参照ください!
ただここでは"オープンイノベーション=アライアンス"と理解しておきましょう。
2. アライアンスとは
アライアンス本によると、主に6カテゴリーの資源を獲得するため、その資源を有する第三者と補完的関係を構築することとされています。
6カテゴリーの資源:人材・組織資源、技術資源、生産資源、販売資源、ブランド資源、財務資源
スタートアップからすると、これらを有すると思われる事業会社と連携し、業務提携或いは資本業務提携を実行していくのが、オープンイノベーションの目的になります。(データは技術資源に含まれるか?)
また、アライアンス本によると、これらのアライアンスは6種類の契約形態に落とし込まれます。(M&Aは経営資源の獲得であり、アライアンスの範疇を出ているので除外)
6種類の契約形態:ライセンス契約、共同研究・開発契約、販売提携契約、生産提携契約、資本提携契約、合弁(JV)契約
ほとんどのアライアンスはアウトプットとしてこれらの何れかに着地します。ですので、スタートアップから見て、どの出口があり得そうか?は各事業会社と接点を作る時点である程度想定しておくのがいいでしょう。(ABMでアカウントプランを作るのに似てるかもしれません)
3. オープンイノベーションは営業プロセスではない
当たり前っちゃ当たり前ですが、オープンイノベーションは営業プロセスではありません。(例えばコーポレートアクセラレータープログラム等を一種の営業チャネルとして活用しているスタートアップもいますが、あくまで定義上はオープンイノベーションから外れます。)
確かに、B2B SaaSや受託開発型のサービスで、Enterpriseにリーチするチャネルとしての活用はできるのですが、傾向的に、オープンイノベーション活動を実施している新規事業部門・オープンイノベーション部門は具体的出ない場合もあるが、「新規事業をやる」というミッションを持っていることが多く、営業目的だと2社のニーズが噛み合わないケースがあります。
営業を通じた市場取引は、あくまで単発・短期的関係を構築するものなので、中長期的に新規事業を起こすというミッションを持っているチームのスコープ外になります。事業会社において、新規事業部門がスタートアップのサービスを社内に展開するためのハブとして機能していることもあり、その場合は既存事業部に紹介してもらえるかもしれませんが、既存事業部・新規事業部間でのお見合い現象が発生することもあり、、、
4. オープンイノベーションと相性がいいスタートアップのモデルとは
スタートアップデータベースのINITIALの検索条件で、"株主状況"という項目があり、こちらで"事業会社あり"を選択できます。恐らく事業会社やCVCからの出資をこれで識別できる感じです。
これをある程度根性で見ていくと、ほとんどの事業会社投資が同じ事業ドメインへの投資か、特定の新技術を持つスタートアップへの投資かで二分されます。割合は大凡半々という所でしょうか。
当たり前のようです、これが事業会社の投資の現状であり、現状飛び地の事業領域への出資はまだまだ稀なようですね。
この中でも、アライアンスを縦横無尽に駆使しているスタートアップがAbejaさんです。(全てPR等の公開情報に依拠してます。)
ABEJAさん
株主構成を見ても事業会社比率が非常に高く、アライアンスパートナーも多い。上の資源カテゴリー分類に基づいて整理していくと、
a. 技術資源の獲得:ダイキンさんと組み、製造業向けビジネスのノウハウを確立したり(Abejaさんにとっても新規事業)、
b. 技術資源の獲得:さくらインターネットさんとのIoTプラットフォームとAPI連携したり、
c. 販売資源の獲得:三陽商会さんと組み小売で展開したり、
d. ほぼ全資源の獲得:サイバーエージェントさんと合弁会社を設立したり。
リソースを補うべくかなりダイナミックに資本業務提携も活用しながら大きくなっています・・!
技術資源の獲得:他にもDatafluctさんも事業会社とのパートナーシップでデータアセットを集めて新ドメインに参入していたり、
販売資源の獲得:Wovn Technologiesさんが日本各地で地銀とパートナーシップを結びまくってたり、
一件あたりのアライアンスがもたらす事業上のインパクトが大きい。
各社が事業会社の新規事業ニーズも押さえやすいアライアンススキームを組んでいる点も強いですね。
1. コアな資源(技術 or ユニークな顧客インサイト)を有している
2. 不足資源を自覚している
3. 両社にとって新規性のある絵を描けている
4. そのアライアンスのインパクトが大きい(Impact Per Allianceで"IPA"とか・・笑)あたりが特徴でしょうか。
逆に言えば、この各項目をスタートアップが満たしていなければ、経験的にも、アライアンスは難しいかと。
例:
コアな資源がない=そもそもポジションを取れないので交渉にのテーブルに乗れず
不足資源を認識できていない=アライアンスの座組みを用意できない
自社のメリットのみを示してしまう=相手側が社内説得できない
事業上のインパクトが小さい協業案件=優先順位が低く時間が有限なスタートアップが取り組む領域ではない。
アライアンスによる事業開発はまだメトリクス化・フレームワーク化し辛いのですが、今後はこの辺も深化していければと思います!また、スタートアップのBizDev系の方の厳しいご指摘もどしどし頂きたいです!!
とりあえずめちゃくちゃ当たり前な結論ですみません🙇♂️
有難うございました🙏
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