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【300枚中30枚】

少し前のニュースですが、JR九州が、小倉駅の最短の切符を券売機で発売するのを停止し、一時的に窓口での販売のみにした!
というニュースを見ました。
どうやら170円の切符の発券枚数が1日平均で300枚なのに対し、正規の運賃での目的駅となる西小倉駅では30枚しか回収されていない。
ということだそうです。
鉄道員として勤務していた時のことを思い出しても、まあそれぐらいの比率で発生していてもおかしくはないな…というのが正直な感想。驚くことはありませんね。残念ながら、無人駅が存在する鉄道会社では全国的に発生していることだと思います。

とあるとき、職場で先輩と話していたら、初乗り運賃を値上げすれば、鉄道会社は増収にのるぞ!と言っていました。まあ初乗り運賃は、比較的km当たりの単価としては割高になっているのですが、それをもっと値上げしてやれば良いという、半分ジョークですが、まあ確かに…と思ってしまうところもある話でした。

鉄道会社側の体制にも問題はあります。
昔は無人駅も少なく、車掌乗務列車が殆どだったので、車内改札をしたりして随時、チェックしていました。僕が学生の頃も、確かに列車に乗っていると急遽車内改札を受けたりすることもあり、チェック体制はそれなりに整っていたと思います。
しかし人員削減が進んだ現在、少し地方へ行くと無人駅やワンマン運転が当たり前になっており、簡単に無賃乗車ができるという環境は日々整ってきてしまっています。

今回、このJR九州の対策は賛否両論はあるものの、民間企業としては思い切った対策に出たなというのが印象です。
確かに、対面販売にすれば、心理的な面からも犯罪の抑制効果は期待されるのかもしれません。
しかし1日に30人は、正規通りに買って乗車されている方もいます。その人たちには大きな不便を掛けるのは、間違いないでしょう。いつもならサクッと券売機で購入できたのが、その期間は窓口へ出向かねばならない…となれば、窓口も古今の人員削減で減らしており混雑している可能性は高く(現地の状況がわからないので何とも言えませんが)もう少し他の方法を検討しなかったのかな?とも思います。

しかし、結局はイタチごっこになるのは予想できます。
そのようなことをしているのは、都市近郊よりももっと先の駅の人たちが多いと思います。
ならば、170円の切符が手に入らなくとも、200円(ぐらい?)の切符でも十分に不正乗車の効果はある人ばかりでしょう。
ぜひ、この対策の検証結果が楽しみですね。

根本的に解決したいのであれば、一時的ではない抜き打ちの検札・改札の実施でしょう。
しかも、それを現場の社員だけに任せていてはいけません。
内勤者なども出動し、ランダムに無人駅へ出て、そこで抜き打ちで改札をおこなうのです。
恐らく、そうなったら最短区間の切符を出して精算する人も出るでしょう。しかしそういったときに、ただ単に精算して終わりにするのではなく、繰り返し行うなど、悪質な場合には増運賃収受と警察への通告・監視カメラによる追跡により、過去の分まで遡って請求する旨を文書として通告してもよいと思います。
現場職員はきっぷのチェックに専念し、内勤の職員にそういった旅客の対応をしっかりと行ってもらうのです。
それだけでも場所によってはかなりの効果が出るのではないでしょうか?

鉄道営業規則も見直しの段階でしょう。定期券の場合の不正乗車に係る増運賃は、場合によってはかなりの高額になることで知られていますが、通常の普通切符では、元の切符を無効として回収したうえで、通常運賃+2倍の増運賃というものです。ようするに3倍の運賃を払えばオッケーというわけ。これは抑止効果のペナルティーとしては低すぎると思います。単純に言えば、4回に一回捕まったとしても1回分はお得になってしまうわけですから。実際はそんなに頻繁に捕まる人はいないでしょうし、現実問題、その増運賃収受というのもどれぐらいの頻度で行われているのかは疑問です。それは現場レベルでの手続きの面倒さや、結局、言い逃れをされたら深く追及する時間も手間も、掛けていられないというところがあります。

今の日本の鉄道の乗車方式は、かなり歪な信用乗車方式に近いものになっています。
無人駅であっても、事前に切符を用意することが可能な状況を今一度構築し、それでも不正乗車を企てようという場合には、10倍の割増運賃+複数回繰り返すなど悪質な場合には警察への引き渡しぐらいの重いものにしてもよいのではないか?と思います。

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