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北陸新幹線の着地点

春に敦賀への延伸開業が予定されている、北陸新幹線。
しかし、全線開業までの道のりはまだまだ長いものになりそうです。
というのも、その先のルート選定に難航し、ようやく小浜経由の案で落ち着く模様。
しかしまだまだ米原経由案も根強く存在し、このまますんなり決まるのか?というところです。
そして僕個人的には、小浜経由案には反対です。今からでも遅くないので、米原経由案に変更すべきではないかと考えます。その理由を記してみたいと思います。

☆完成までどれだけかかるのか?
先の投稿にもあるように、北陸新幹線の敦賀開業によって、北陸地方の各都市は、不便な状況に晒されます。
このような形になったのも、東京を中心として考えた結果、地方間の移動の主動脈が断たれるという図式ですね。
これは一刻も早く解消し、北陸新幹線の完成形とするべきであると考えます。

しかし、小浜経由で建設しようとすると、様々な問題点が立ちはだかります。
計画では、小浜から先、一気に南下して京都駅を目指し、そのまま南北に貫通する形で松井山手駅へ。そして新大阪に接続するという構想です。
しかし、小浜~京都間は殆どの区間をトンネルで貫くことになること。
京都市街地も必然的に地下線で縦断する形になるので、埋蔵遺跡などに当たった場合の工事期間の延長も考えられる。(実際に京都市営地下鉄も、その影響で工事の進捗が遅くなったとか)
トンネルが殆どとなる関係もあり、建設費も膨大で2兆円を超えるのだとか。もはや、高いのか安いのかわからない金額になってしまっています。
さて、本当にそれだけの金額と時間を掛けてまで、小浜経由の新幹線とする必要はあるのでしょうか?

☆小浜に新幹線は必要か?
小浜市の人口は3万弱。ついでに通過するのならともかくとして、多大な費用を掛けてまで新幹線を通すメリットはないように感じます。
確かに、現状小浜市から関西へと鉄道で移動しようとすると、敦賀または舞鶴経由となり、非常に遠回りを強いられます。
そこを一直線にトンネルで貫く北陸新幹線が開業するのであれば、確かに利便性は大きく向上するでしょう。

しかし、例えば近江今津までの高規格新線でも良いのではないか?と思います。
計画にはあったものの、北陸新幹線計画のためか、地元も主張しなくなった模様。
ただ個人的には高規格新線で充分だし、その方が場合によっては地元にとってもメリットは大きいのではないかと思います。
新線ができれば、在来線規格であっても小浜~大阪間は特急でも1時間半ほどで結ぶことが可能だと思われます。
恐らく新快速でも2時間少々でしょうか。
すると、通勤圏とまでは言わないものの、新幹線よりも低コストで、関西圏へ移動できる手段が確保されるわけです。

建設費用も新幹線を作ることを考えたら非常に安く済むでしょう。
新線区間は近江今津~上中駅の20キロほど。ある程度高規格に作れば、10分程で走破することが出来ます。小浜まで考えても、せいぜい25分程。1時間毎の運転と考えても単線運転で充分対応は可能です。
先述のとおり、小浜市は大都市という訳ではないので、この程度の設備でも充分対応できると思います。

この計画は、北陸新幹線の計画が具体化する前から存在していたものの、北陸新幹線の経由地問題が議論になったあたりで、いつの間にか立ち消えになったもの。新幹線を小浜経由とするなら不要な計画なので、フェードアウトさせたのが本音ではないかと見ています。

☆中京圏へは不便なまま…
仮に小浜経由で作った場合…残念ながら中京圏へのアクセスは、フリーゲージトレインの再開発でもない限り、2回の乗り換えが発生するままになります。
米原~敦賀間をミニ新幹線とする手もありますが、同区間にはトンネルも存在しますし、タダでさえ小浜経由で費用が嵩んでいるところ。ちょっと現実的ではないのではないかと思います。
中京圏~北陸間の需要もそれなりに存在し、そこが未来永劫、不便なままで放置されるのもどうなのかというところ。

この面は、北陸新幹線を米原延伸とすれば解決します。
米原で東海道新幹線と接続とすれば、乗り換えを1回は挟むものの、対中京圏だけでなく、東京方面への利便性も向上します。ただこれはJR西日本としては対東京で見ると、自社の新幹線乗車距離が長い北回りを推奨したいところで、あまり乗り気はしない方策かもしれません。

☆米原経由案の理想像
JR東海が首を縦に振るかどうかは置いておいて、一番の理想は、北陸新幹線列車の東海道新幹線乗り入れです。
試算の結果で小浜経由が有利とされたのも、米原駅での乗り換えがネックとなるからです。
さらに特急料金計算が会社間を跨ぐこともあり、打ち切りで計算する可能性が高いこともあります。
JR東海は北陸新幹線の乗り入れについては否定的な意見を示していた模様ですが、本当に不可能なのでしょうか?
もしもそれが可能であれば、一気に米原経由の優位性が、旅客の便益を踏まえても増すと思います。

乗り入れができない理由の第一として、東海道新幹線の輸送力ひっ迫が挙げられています。
しかし最低限の工事によって、それを可能にする方法はあります。

まず運転本数が限界と言っても、それは東京や新大阪といった、ターミナル駅付近。
その限界になっているところでは車両基地への回送列車のスジも確保されているので、それ以外の部分では、まだ多少は余裕があるのが現状です。
また、名古屋~新大阪間はこだまの本数を1本減らしている運転パターンなので、その分、比較的には線路容量に余裕があります。
現状、サンダーバードは1時間に1~2本が基本の運転本数なので、東海道新幹線に乗り入れるとしても同様の本数でしょう。編成が在来線12両⇒新幹線フル規格12両に変わるだけでも、1.5倍は輸送力が増強されるので充分です。

そして実現可能にするための手段。それは、米原駅・京都駅・新大阪駅にそれぞれ北陸新幹線専用ホームを作ることです。
駅のかなり手前から高速で分岐させないとスムーズな運行は出来ないですが、京都駅や新大阪駅は地下に。米原駅は並行する形で北陸新幹線専用ホームを作るのです。ここまでしなくともいいかもしれませんが、これはこの後のもう一つの手段にも関わってくることとなります。

そしてもう一つの手段としては、JR西日本が新幹線・米原~新大阪間の第二種鉄道事業者となることです。JR西日本が東海道新幹線に乗り入れる形だと、どうしても特急料金の問題が出てきます。打ち切るのか?それとも通算できるのか?恐らく近年の新幹線の会社間の接続駅の例を見ると、打ち切りとなってしまうでしょう。
しかしJR西日本を第二種鉄道事業として、特急料金を通算とする仕組みにすれば、この問題は解決できます。JR東海としても、線路使用料の収入はあるので、特にリニアが開通した後のことを考えると、悪くはない話だと思います。

勿論、これを実現するためには、米原駅・京都駅・新大阪駅の大工事が必要になることと、システムが異なる北陸新幹線と東海道新幹線を直通させるための技術開発などが必要です。
しかし、これが出来れば利用者にとっては、全体的にみると利便性は間違いなく高くなります。
この場合、将来的にそのまま山陽新幹線への直通や、名古屋方面への直通も視野に入れることができます。

☆滋賀県の納得が必要か
現行の整備新幹線の仕組みからすると、もしも米原経由とした場合、敦賀~米原間の大半の区間を占める滋賀県の建設費負担割合がかなり大きくなります。
さらにこの場合、北陸本線・敦賀~米原間は第三セクターとして移管。さらに湖西線に関しても、一部区間では第三セクター化となる可能性が高くなります。
そうなると、滋賀県にはかなりの負担が掛かるだけでなく、地元利用者としては、多少の増発はあるかもしれないが、運賃の値上げが行われるだけで、利便性の向上はほぼないと見ることが出来ます。
現状でも滋賀県内では関西、中京圏、関東圏へのアクセスは充分な状況であり、新幹線によって北陸方面へのアクセスが向上しても、あまり魅力的ではないでしょう。
建設費割合の検討や、在来線のJRによる維持・利便性向上が一つの肝になるかもしれません。

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