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空想の空き地(雑記)

 その空き地には、普段は何もない。
 よく見る、というのか、ありきたり、というのか。大人の足首くらいまでの高さの雑草が茂っていて、季節ごとにタンポポや露草、セイタカアワダチソウなどが咲く。
 きっと、誰の生活のそばにもある、もしくはあったようななんの変哲もないただの空き地。今すぐこの文章を読むのをやめて、半日ほど街を歩けば、すぐに見つかるような。
 そこでは時々、不思議なことが起こる。
 こことは異なる世界につながるのだ。私たちが普段、空想の世界と呼んでいる場所。
 それは例えば、ふくろうの店主がやっている喫茶店。ときにはいつまでも桜が咲き続けている道の駅。
 昨日までは何の変哲もない空き地だったはずの場所が、突然その姿を変える。
 もしかしたら、あなたの家の近くにある空き地も、誰にも気づかれないうちに、そんな世界に繋がっているかもしれない。
 もしも、こんな所にお店なんてあったっけ? と思うような場所に、お店ができていたら、ぜひ入ってみて欲しい。翌日もそこに、そのお店が残り続けている保証はないからだ。いつもの空き地に戻ってしまわないうちに。
 普段は味わうことのできない、不思議な体験があなたを待っているかもしれない。
 

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