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イラストレーターがアップリケのメーカーになるまでのこと ⑦

こんにちは。

イラストレーターのトヨクラです。


午前10時。

さあ、日本最大の雑貨の見本市、ギフトショーがはじまりました。

お客さんも20万人と聞いていたので、開始と同時にどっと押し寄せるのかと思いましたが、会場も広いので、比較的ゆったりとバイヤーさんが歩いて行かれます。
(会場内にいては気づかないのですが、入場するための受付には関係者が列をなしてびっしり並んでいました)

アクティブクリエイターズのブースは若手のブランドが多く、グラフィックデザイナーさんが展開するブランドや夫婦でやられているブランドさんも多く出展されています。

合間を縫って挨拶に行ったり、そこでいろいろな情報もいただいたりします。

僕も参考にさせていただいていたスガイワールドさんもそこに出展されていて、お話することもできましたし、インテリアブランドYOKAやidontknow tokyoという新しい試みをされているtwelvetoneさんともお話もできました。

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普段イラストレーターをやっていては接することのない、ものづくりのブランドの人たちと繋がれるのもメリットの一つです。

その繋がりから、昨年はhanelcaさんという帆布のバッグを作っているブランドさんとコラボレーションして子供用のサコッシュを作らせていただきましたし、ブランド同士の協業はこれからもやっていきたいです。

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お昼前から会場は熱気を帯びてきて、僕のブースにもバイヤーさんが多く訪れるようになりました。

入場者全員名札を下げて回っているのですが、赤はバイヤーさん、青は問屋さん、黄色はプレス関係者など色分けされています。

中にはVIPという印がついているバイヤーさんもいます。

当然僕のブースで立ち止まってくれたお客さんとはお話しするのですが、一人メーカーですので、もちろん一人で接客するため、一人とお話ししているとその間に興味を持ってくれたバイヤーさんとお話しする機会を逃す場合があります。

中には自社技術を逆に売り込みに来る人もいます。

ですので、本当に繋がりたいバイヤーさんとの機会を逃さないためにも、名札はチェックしてお取引が進まないだろう方とのお話は短めに切り上げます。

また、これは後でわかるのですが、大手チェーン店などは買い付けの権限のない方も部長のお供として来訪されていることも多く、結局、その方が気に入ってくれてもお取引に繋がることが少なかったりします。

決済権限のある方と直接お話ができた場合は、お取引につながることが多いです。


発注もその場で発注される企業さんもありますが、僕の場合はそこで細かく対応するテーブルスペースもなく、人もいないため、後日発注してもらうことが多いです。

できればすぐに注文は取れた方がいいのですが、そこは一人メーカーのデメリットでしょうか。

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百貨店さんもギフトショーにはとても多く来られます。

百貨店と一口にいっても、実際は婦人服、子供服、キッチン、催事などいろいろの部署の方がいて、どの部署の方とお話しするかで、展開場所も方法も変わってきます。


その中でも三越伊勢丹本店の子供服のバイヤーさんとの出会いがあり、僕のアップリケをとても気に入ってくれました。

伊勢丹新宿本店は百貨店の中でも王様、ここの品揃えを他の百貨店もチェックしているという話を聞いていましたので、このチャンスは逃したくないと思い、後日連絡をとりました。

そして商談の機会をいただき、新宿本店横にある本社ビルにお伺いしました。

商談の結果、無事掛け率や条件もクリアでき、口座をひらいてお取引できることになりました。

同時に伊勢丹銀座店、三越日本橋本店での展開もしましょうということになり、とんとんびょうしに話は進み、三越伊勢丹での常設での展開がスタートしたのです。

(現在、銀座店では展開していません。伊勢丹新宿本店、浦和店、立川店でお取り扱いいただいております。)

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常設で展開するということは、他の商品のスペースを削るということですから、とても大変なことです。大手企業はある時期にはお店の販売スペースを確保するために奔走するほどです。

それほど、大手小売店での販売はスペースの競争があり、競合商品とスペースを奪い合っています。

僕のアップリケは運が良かったのか、アップリケを百貨店が直接取り扱っているところはほとんどなかったため(百貨店に入っているテナントでの取り扱いはあると思いますが)、隙間に入り込めた感じです。

一人メーカーのような弱小メーカーは、こうしたニッチな分野だとまだ勝機があるのかもしれません。

反対に大手が得意とする分野で勝負するとなる、かなり大変な気がします。

今ではオンデマンドでグッズが作れる時代です。そこで作れるようなアーティストグッズでメーカーとして展開していくのは正直厳しいと思います。

イラストのオリジナリティはもちろん、商品としての新しさのあるものが求められていると思います。それは技術だけでなく、ちょっとしたものの見方の違いだったりします。


話がそれましたが、ギフトショーに戻りますと、他にもハンズさんやロフトさん、蔦屋書店さん全国の小売店さん、などなど多くの出会いがあり、いただいた名刺の数も驚くぐらいでした。

こちらがお取引したいと思っている小売店さんも、僕のブースに訪れてくれて、こちらの思いが届いたようで嬉しかったです。


ギフトショーのような展示会はこうしたお取引したいと思っている小売店さんとも平等にお取引のお話ができるのがとてもいいところだと思います。

こちらが商品を置いてくださいとお願いに行く立場だとどうしてもメーカー側が弱くなるので、条件も悪く良い関係が築けません。

でも向こう側も置きたい、こちらも置きたいという展示会での出会いは、立場が平等なためとてもやりやすいです。

そこにはメーカーの規模などありません。

協力して一緒に売っていきましょうという強い思いだけです。


その他ギフトショーではビジネスマッチングというのがあり、ギフトショー側がメーカーと企業を結びつけるイベントを開催しています。

そこでは15分間、別室で希望の企業と1体1で商談ができ、じっくり自社の商品の思いを伝えることができるので、そこから実際にお取引につながった例もありました。

いろいろと出会いの多いギフトショーで、そこから徐々に販路も拡大していくのでした。


つづく。