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5G線上のアリサ【第3章#2話】

#2話:過去、恋愛、挫折



【視聴時間=02:50】


アリサのフォローは増加の一途。

けれども多くは有象無象。

彼女の中身を知った途端に離れて去るのも恒例となり、フォロー後、即座にコメントを残しフォローを外す行為が続くとーーー

「―――愛利沙ちゃん、VR覗いてみて……」
平野

オンにすると教室内部は立体映像がひしめき合った。

居場所も見た目も特定をされ誹謗中傷を浴びせられてーーー

「知っているわよ! あたしがもっと可愛かったらこんなに生き遅れてないっつぅ〜の。それにね、隣のパソコン教室の子はもっと若くて、その隣のパソコン教室の子はもっと可愛いのよ!」
清水
「えぇ、普通だったらあたしの話なんて誰も聞かない。だけど今だけは別。アイムソーリーがくれたチャンスで自分自身を査定してやる。100万人のフォロワーに見つめられながら!」

「清水先生……」
清水/加護

承認欲求以上の気持ちで彼女は答えを求め始めた。

恋した自分の到着地点が一体どういう気持ちであるか、恐れることなく傷付く覚悟で壊れながら進み続ける。

「長野県での一人暮らしはね……親の仕送りに頼った一年間だったの。面接や採用試験でも落ち続けて、バイトをすることもできなくて……情けないわよね、本当……」

カミングアウト。

自分は社会不適応者の証拠を告白。

<それでは病気を抱える彼氏と付き合う資格もないな>と言われ、SNSは徐々に炎上の気配で曇り動き始める。

スポーツ選手や芸能人ならVR機能やツリッターも、楽しめるのに一般人の女の身の上話を聞いて、フォロワーはますます離れ去る中、愛利沙は言葉を絞り出した。

「長野に会いに行ったのに……彼の実家にも行けないで……ずっとアパートの中で一人ゲームしていたの……最低でしょう? だけどね、彼も会いに来てって言わないまま、長野に行ってからチャットにも来なくなって、手紙の返事も減って……何をしていたのだろう。ねぇ、どうしたら良かったのかな?」

傷付くことが怖い上に、自分自身で行動しない。

愛利沙は昔、人間不信に陥ってから自信をなくし、自分を隠して生きてきたのが長野県で再現された。

ぶるーもアリサも自分の素性を隠したままの距離感が続き、別れの予感が迫り実現に。

彼から告げられ挫折に至り、離れる間際の最後になってようやく愛利沙は自ら動きーーー

「飯田市にあるぶるーの実家へ行ったけれど、何もかもが手遅れだったーーー」

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『”Chrome Soldiers”perfomed by Sunshine Music,used under license from Shutterstock』

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