見出し画像

自然体験・アウトドアを仕事にするまでの話③ 研修生編

今回は大学を卒業し、前職のNPO法人千葉自然学校に勤めるまでの間に受講した研修生時代のことについて発信しようと思います。
大学時代に就活をしながら今の仕事にしようと決心した話は以下から。


全国には自然学校という名前で活動している団体があることをご存知でしょうか。当時、自然体験と教育を理念にしている仕事があることにワクワクが止まらなかったです。
私は改めて学び直したいと思い、大学卒業後、自然学校指導者養成講座という6ヶ月間の現場実習と座学研修のカリキュラムを受講することとなりました。
本格的に地元に帰り自然体験を仕事にしたいと決めた私は(大学行く前に決めておけ!)、バイトでお金を貯めて親にも援助をもらいながら研修を受けることとなります。今から15年前2008年のことです。

現場実習先は自分で希望を出せる制度です。私の生まれる前の1982年に活動をスタートさせ、全国的にも先駆けて自然体験を事業として取り組んでいたホールアース自然学校に受け入れてもらいました。静岡県富士宮市にあり寮に入りながらたくさんのことを学びました。

ホールアース自然学校で学んだこと

ホールアース自然学校で学んだ内容は主に以下の三点でした。

①日々の敷地管理や雑用業務
「雑用第一主義」という組織理念があり、朝のミーティングの後にそれぞれが考え、施設清掃、ちょっとした施設修繕、書類整理等、必要な雑用作業を行います。特徴的なのは敷地内に動物を飼っているので、そのお世話、掃除なども当番を決め行っていました。鶏、ウサギ、ヤギ、ロバ、馬が飼われており、時には柵から逃げ出したロバを追い込む仕事も発生しますw。
また、敷地内でキャンプ事業なども行うため、草刈り、薪割り、木の伐採、工作物のDIY制作等基本的な整備スキルを身につけることがきました。

②富士山の麓に広がる青木ヶ原樹海でのガイド(エコツアー)事業
ホールアース自然学校の事業の柱である「洞窟樹海探検」。雄大な富士山の麓に広がる自然度高い青木ヶ原樹海の森と、その地下に眠る火山洞窟。ここに多くの学生や個人客が訪れます。ただ見て聞いて歩くだけでは得られない、自然が発する言葉を通訳することが役割でした。この通訳するガイドのことを「インタープリター」と呼んでいます。一人前のインタープリターとして訪れた方を案内できるように知識からツアーの運営を叩き込まれました。当時私以外にホールアース自然学校の研修生が5人いたので、お互い切磋琢磨しながら研鑽していました。ここで学んだガイドスキルや自然に関する知識が今の私のベースとなっていることは言うまでもありません。

青木ヶ原樹海の麓に眠る洞窟。この中を案内することが当時のミッション。


当時の打ち上げの様子ですが、研修生仲間たちは15年の時を経てそれぞれのステージで活躍中です
若い・・・


③子どもたちを対象としたキャンプ事業
お子さんをお預かりし、親元を離れ活動し、その中で学びを得てもらうという子どもキャンプ事業が柱の一つでした。ホールアース自然学校のキャンプのテーマは、富士山の麓のロケーションを生かしたダイナミックな自然を体験してもらおうというものです。班を決めず子ども達が自由に自分のやりたいことを選択して活動するスタイルでとても斬新的でした。
この子どもキャンプ事業は、自分の想いをダイレクトに子ども達に伝えられる事業です。スタッフの皆さんは熱い想いで子ども達と関わり、たくさんのドラマがあり、時には本気で意見をぶつけ合うこともありました。子どもたちとの接し方、安全管理の考え方、企画の立て方、魅力的なプログラムのデザインの仕方等、キャンプをイベントとして成立させるために必要なことを教えていただきました。

この他にも、リゾートホテル内での出張ブースのお手伝い、行政関係からの受託事業、地域活動、畑や田んぼでの作業、大人や家族向けのイベント等、盛りだくさんな研修内容を体験させてもらい、その全てが新鮮でした。
そして、そこで働いているスタッフの皆さんがイキイキと輝いており、技術や知識的なことはもちろん、仕事に取り組む姿勢やスタッフ内のコミュニケーション、組織のモチベーション維持の方法など学びが多かったです。


当時山登りを知らなかった私に山の魅力を教えてくれた先輩。紅葉の涸沢カールが衝撃的でした。
スタッフの皆さん、とても明るく研修修了時に送迎会を開いてくれました。

エコツーリズムという考え方

自然・歴史・文化など地域固有の資源を生かし、資源の保護、観光業の成立、地域振興の融合をめざす観光の考え方が「エコツーリズム」とされており、その考えに基づき実施されるツアーを「エコツアー」と呼んでいます。
私は、学生ながらにこのエコツーリズムの考え方にとても共感していました。実習先をホールアース自然学校に希望したのも、エコツアーに取り組んでいたことが理由でした。富士山麓に広がる青木ヶ原樹海。ここでのツアーを自然環境への負荷を最小限に抑え、経済活動としても成立するようバランスをとりながら実践されていました。
かつては様々な事業者が、ルールのないままツアーを実施していったそうですが、環境負荷、安全面、事業者同士の調整事項、ガイドのクオリティなど周辺のステークホルダと協議会を設置し調整を図りながら、最適なルール作りを行ってきたそうです。
私の活動している南房総市でも規模の大小はあれど、同じような局面があります。研修で体験できたことはその後の南房総での仕事にも生かされてきたと思います。

研修期間を経ていざ南房総へ

6ヶ月の現場研修で様々なことを学び、その後約1ヶ月半の座学で基本的な知識やこれまでの自然体験の歴史などを学んだ私は、いよいよ地元である南房総市で本格的にアウトドア、自然体験を仕事として始めることになります。
千葉県内で自然体験、アウトドアのネットワークを作り事業を展開するNPO法人千葉自然学校に就職することになります。
配属先は南房総市大房岬自然の家という青少年教育施設で14年働くことになります。今の起業・独立につながるベースをここで築かせてもらいました。青少年教育施設は、主に小学校や中学校で行われている宿泊学習、青少年教育団体が宿泊合宿をするために整備された公共施設です。
青少年教育施設のことについてはまた別記事でお話しさせてもらいます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?