たけ

社内弁護士です。租税法を、①ケースブック租税法〔第5版〕(途中から第6版)の解答作成、…

たけ

社内弁護士です。租税法を、①ケースブック租税法〔第5版〕(途中から第6版)の解答作成、②勉強した分野の司法試験・予備試験の過去問の検討、③まとめノートの作成という順番で勉強しています。ケースブック租税法を2周しようと思っています。

マガジン

  • 過去問(租税法)

    第2ステップの租税法の過去問の検討結果をまとめたマガジンです。

  • いろいろ

    ほかのマガジンには入らないけど、書いた記事を集めたマガジンです。

  • ケースブック租税法

    第1ステップのケースブック租税法の検討結果をまとめたマガジンです。

  • まとめノート(租税法)

    第3ステップのまとめノートをまとめたマガジンです。

最近の記事

【過去問】 弁護士夫婦と所得税法56条・57条

1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等  設問1は、Aの青色事業専従者であるDに支払った給与の全額が、「労務の対価として相当であると認められるもの」(所得税法第57条第1項。以下、第1問につき条文摘示は全て所得税法を指す。)として、Aの事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できるかを問うものである。  多くの答案は、第56条から出発し、同条の例外として第57条を位置付けて、その立法趣旨を説明した上で、「労務の対価として相当であると認められるもの」といえるかを検討してい

    • 【いろいろ】 プリントアウト

      1.停滞  最近、租税法の勉強をする気がおきないという問題に直面しています。仕事が忙しいということもあります。しかし、これまでの高揚感のようなものはなくなってしまいました。なぜなのか。  こういうときは、しかたないので、とりあえず、勉強しようとしてみました。やろうとしてみると、法人税法に突入したのに、所得税法の司法試験の過去問を全部終えていないことに気づきました。  忘れて、戻って、忘れて、戻ってを繰り返すと、以前、何を、どこまで、やっていたのかすら忘れてしまうようです。

      • §312.03 人格のない社団等

        1.事件のその後 2.人格のない社団等 3.事案の検討  判旨(マンション管理組合事件判決)は、「ある団体が人格のない社団等に該当するためには、①団体としての組織を備え(要件1)、②多数決の原則が行われ(要件2)、③構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し(要件3)、④その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定している(要件4)ものでなければならないと解される」と解している。  判旨は、要件1との関係では、組織の目的、構

        • §312.02 公益法人等

          1.法令の定め 2.事案の検討  本件判決(ペット葬祭業事件判決)外形的に見ると、本件ペット葬祭業は、「請負業、倉庫業及び物品販売業並びにその性質上これらの事業に付随して行われる行為の形態を有する」と判示した。 設問前段について  「宗教法人の行う上記のような形態を有する事業が法人税法施行令5条1項10号の請負業等に該当するか否かについては、事業に伴う財貨の移転が役務等の対価の支払として行われる性質のものか、それとも役務等の対価でなく喜捨等の性格を有するものか、また、

        【過去問】 弁護士夫婦と所得税法56条・57条

        マガジン

        • 過去問(租税法)
          41本
        • いろいろ
          3本
        • ケースブック租税法
          57本
        • まとめノート(租税法)
          3本

        記事

          §312.01 内国法人と外国法人

          1.内国法人の定義と内訳 2.普通法人とその他 3.外国で組成された事業組織 4.チェック・ザ・ボックス規則 5.企業組織のグループ化への対応

          §312.01 内国法人と外国法人

          §311.03 日本の制度

          1.答申の意義 2.引用文の検討  法人段階と個人段階の両方で調整すると制度が複雑になる。このため、いずれかだけで調整する方法が模索された。そして、個人段階で調整すべきという理由は、次のように説明されている。  まず、法人段階の調整として、配当を軽課したところで、一定の配当を維持する法人の株主にとっては軽課による調整が行われない。また、本来調整を行う必要のない外国人株主や非課税法人株主についても調整の効果が及んでしまう。  次に、法人段階における配当軽課による調整は、「

          §311.03 日本の制度

          §311.02 法人税と所得税の統合

          1.マーリーズ・レビュー 2.引用文の検討  クラシカル方式は、「配当所得を株主の限界個人税率でフルに課税する」。インピュテーション方式は、「配当の原資となった利益が法人段階で課税せれていることを反映して、配当所得に対する個人税に対して明示的な税額控除を与える」。これらの方式の違いは、法人段階での課税を、個人段階の課税にあたり、考慮するのか否かという点にあると考える。  「インピュテーション方式は通例、外国法人から受ける配当と内国法人から受ける配当を異なるやり方で扱い

          §311.02 法人税と所得税の統合

          §311.01 法人税の性質

          1.シャウプ勧告 2.引用文の検討  シャウプ勧告は、「このような差別待遇は、実際生産に最も能率的な形態または組織から離れさせ、税負担のより軽い形態または組織の方向へと向わせる動きを惹き起こすことによって経済活動の能率を害する傾向があるのである」と指摘している。これは、個人企業形態と法人企業形態は、それぞれの良さがあり、いずれを採用するのかは、実際の経済活動にも影響を及ぼす事項であるから、租税としては中立的な立場を採るべきと考えているものと思われる。  法人がその稼得

          §311.01 法人税の性質

          §250.02 支払いの無効と源泉徴収義務

          1.事案の検討  本件判決は、「給与所得に係る源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為が無効であり、その行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたときは、税務署長は、その後に当該支払の存在を前提として納税の告知をすることはできないものと解される。」と判示している。  つまり、源泉徴収義務の基礎となる支払いが私法上無効である事実は、源泉徴収義務の成立に影響を与えるとしている。  本件判決によれば、源泉徴収義務の基礎となる支払いが私法

          §250.02 支払いの無効と源泉徴収義務

          §250.01 源泉徴収の法律関係

          1.源泉徴収の重要性 2.事案の検討  この点について、本件判決は、「源泉徴収による所得税についての納税の告知は、課税処分ではなく徴収処分であって、支払者の納税義務の存否においてこれに対する不服申立てをせず、または不服申立てをしてそれが排斥されたとしても、受給者の源泉徴収義務の存否・範囲にはいかなる影響も及ぼしうるものではない。したがって、受給者は、その税額に相当する金額の支払を請求されたときは、自己において源泉納税義務を負わないことまたはその義務の範囲を争って、支払者

          §250.01 源泉徴収の法律関係

          §243.01 税率構造

          1.その後の税率の変遷 (略) 2.超過累進税率  説例の単純累進税率を採用すると、所得100万円の人の税引後所得は90万円(100万 - 100万 x 0.1)である。所得101万円の人の税引後所得は、80万8千円(101万 - 101万 x 0.2)である。税引前所得が増えているのに、税引後所得が減ってしまうため労働意欲に強い悪影響を与える。したがって、合理的な制度とはいえないと思われる。  超過累進税率の下、100万円までの税率はその人の所得額に限らず10%と

          §243.01 税率構造

          【過去問】 従業員による売上金の盗難(所得税法72条)

          1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等 4.解答例 設問2⑴について 1 甲の窃盗によりAは飲食店の売上金200万円を失い損失(以下「本件損失」という)を被った。 2 Aは、その飲食店事業から事業所得を得ている(所得税法27条1項)。本件損失は、事業所得の必要経費として控除できないか検討する(同条2項、同法37条1項)。  この点、本件損失は、売上原価等の飲食店からの収入を得るために直接要した費用(個別対応の必要経費、同項前段)ではない。また、飲食店の運営のために雇

          【過去問】 従業員による売上金の盗難(所得税法72条)

          【過去問】 子の調理師学費と妻のピアノ演奏料

          1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等 4.解答例 設問1⑴について 1.まず、CがAから受け取った学資金名目の金員(以下「本件学資金」という)の所得区分を検討する。  この点、Cは、毎日夕方の開店から閉店までの間、Aの調理を手伝っており、その労務の対価として給与を受け取っている。つまり、AとCとの間には、雇用契約が成立しており、その対価として給与所得(所得税法28条1項)を受け取っている。  そして、本件学資金は、調理を手伝っているCに資格を取得させて、Aの飲食店

          【過去問】 子の調理師学費と妻のピアノ演奏料

          【いろいろ】 1年目のふりかえり

          1.月次ビュー数の推移  思いつきで始めた、ケースブック租税法の勉強ですが、1年間、継続することができました。節目ですので、この1年間を、ふりかえってみました。下が、月次ビュー数の推移です。  事業者向けの有料プランですと、詳細なデータをいただけるようなのですが、そのプランをつかっていないので、ざっくりとしたデータしか手元にありません。そのざっくりとした月間ビュー数というデータを使って1年間の推移をグラフにすると上のようになります。  なお、ビュー数とは、表示されただけ

          【いろいろ】 1年目のふりかえり

          【過去問】 バイク事故の損害賠償金

          1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等  公表済みの「出題の趣旨」の中で述べた主要な論点について、所得税法及び法人税法の基本的な概念、規定、判例を正しく理解した上で、本問の事実関係に即しつつ、設問が求める事項について的確に検討と当てはめがされ、設問に正面から答えているかという観点に立って採点した。  設問1.においては、AがXから損害賠償金として受け取った100万円について、所得税を課税される範囲の説明が求められているところ、ほとんどの答案が、一定の損害賠償金を非課税

          【過去問】 バイク事故の損害賠償金

          【過去問】 生花と鍼灸の学費と必要経費

          1.問題 2.出題趣旨 3.採点実感等 4.解答例 設問2前段について 1.Cが生花の専門学校に支払った学費は、CのQ鍼灸院に係る事業所得における必要経費(所得税法37条1項)にあたるのか。 2.生花専門学校の学費は、売上原価等の収入を得るために直接要した費用(個別対応の必要経費、同項前段)ではない。このため、事業所得を生ずべき業務について生じた費用(一般対応の必要経費、同項後段)への該当性が問題となる。  この点、同項の趣旨は、総収入金額のうち、課税対象を所得に限

          【過去問】 生花と鍼灸の学費と必要経費