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編輯長殿

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『日本経済新聞』『ファイナンシャル・タイムズ』など、日経メディア記事関連の投書。日本経済新聞社のオピニオンマガジン『日経COMEMO』https://comemo.nikkei.… もっと読む
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#日経COMEMO

コンテストなんかやる前に……

レオ・ルイス及び稲垣佳奈両特派員による、18日付『ファイナンシャル・タイムズ』の記事「Japan’s latest alcohol advice: please drink more」にあった、国税庁の酒類の需要喚起に向けた提案を募るコンテスト「サケビバ!」は、見当違いである。というのも、現行の日本の税制は公正な競争を阻害しているからだ。 日本の酒税体系は歪な構造となっている。ビールの酒税がアルコール度数の割に高く設定されているのである。一方、高級品であるはずのワインの税額

吉野家騒動が暴いた「粉飾の文化」

早稲田大学での講座で、若年層の女性を対象にしたマーケティング手法を指して「生娘をシャブ漬けにする戦略」などと発言したとして、吉野家常務の伊東正明が解任された。 この発言は何が問題だろうか。女性蔑視か。薬物の譬え話か。企業の社会的責任の欠如か。それとも、人権の軽視か。 たしかに間違いではないのだろうが、これらだけなら一般によくある失言の一つであろう。だが、発言者の属性を改めて見てみると、筆者にはより深刻な事態が見過ごされているように思えてならない。 マーケティング業界の本

現状の野党で政権交代は危険

一橋大学教授の中北浩爾による政権交代の実現性に関する検討が、11月11日付『日本経済新聞』のコラムに掲載されていたが、日本での自民対非自民と諸外国の与野党との構図の違いが混同されているように見受けられる。 そもそも日本の政治モデルは、政権交代が一般的な他国とは事情が異なり、同列に語ることはできない。 自民党は二大政党の結合体自民党は、今の岸田派(宏池会)などが属する旧自由党系と、本日安倍派となった清和政策研究会などが属する旧日本民主党系との勢力に二分される。前者は吉田茂に