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おばあちゃんの思い出

10代の頃でしょうか、ドラえもんの映画で「おばあちゃんの思い出」を観ました。まだ当時は、祖母は在命でしたが、胸が苦しくなり、涙が出ました。

あれから十数年。先日、祖母が亡くなりました。
92歳。
天寿を全うした、とも言える年齢でしょう。
祖父がかなり前に亡くなったので、すごく長生きをしたように思います。

訃報を聞いた時、自分でも不思議なくらい感情の変化はなく、淡々と受け入れることができました。年始に会った時のことが影響しているのかもしれません。年始に会った時にはほとんど人を認知することができず、僕の知っている祖母ではありませんでした。この先長くないだろう、とも言われていました。

とはいえ、思い出がなくなるわけではありません。小さい頃は本当に僕のことを可愛がってくれました。僕が小銭集めをしていたことを知って、たくさんの小銭を集めてくれて会うたびに渡してくれました。一緒に近くの商店まで歩いてくれて本やお菓子を買ってくれました。

十数年前、一緒に暮らしていた祖父が亡くなってからは、祖母は実家と伯母の家を行き来していました。僕は地元を離れていましたが、定期的に祖母に会いに行っていました。特にたくさん話をしたわけではないけれど、ニコニコと「ようきたね」と言ってくれるだけで嬉しいものでした。

祖母にとって、僕が小学校の教員になったことはとても嬉しいことだったようです。近所の人や友達によく話をしていたみたいです。

数年前から、祖母は高齢者施設に入所しました。詳しくは聞きませんでしたが、高齢者と同居するというのは、いろいろ難しいようです。施設の方には娘が生まれた時に会いに行ってから、コロナの関係で出入りが難しくなりました。その影響か分かりませんが、一気に老け込んだと聞いています。

コロナの感染者が減った時、妻が「会いにいこうよ」と言ってくれていましたが、僕自身「だいじょうぶだろう」と思い込んでいたので、気が進みませんでした。そして、年始に会った時に衝撃を受けました。人はこんなに老いるんだ、と。

もう少し、話ができる時に話をしておけばよかった。もっとひ孫に会って、もっと話をしておけばよかった。そんなことを考えました。ただ、いつかはこの日が来るのでしょう。どんなに話をしても、どんなに一緒に居ても、来るべき日はきます。

でもやっぱり、思い出はなくなりません。大人になった今でも、小さい頃の思い出は残っています。ちょっと遅くなってしまったけど、声をかけられなかったけど、この日記を書きながらおばあちゃんの思い出を振り返っていました。


おばあちゃん、ありがとう。さようなら。


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