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平泉寺アラカルト ⒛

 数年前のことです。光芒撮影が目的で平泉寺白山神社へ来られた東京在住の風景写真家(台湾出身)さんと境内で偶然出会い、意気投合しました。
 その時は残念ながら光芒にはめぐり合えず、彼は意気消沈して東京へお帰りになりました。
 その後、幾度となく光芒の出そうな時は連絡してほしいと電話をいただきましたが、こればかりは私にも予想がしづらく無責任な返答はできません。
 
 2020年10月20日に彼から久しぶりに電話が入りました。
 所用で金沢(福井のお隣の石川県)へ行くので、そのあと平泉寺で再会したいとのこと。
 当時はコロナ禍のご時世で躊躇しましたが、彼の熱意にほだされてやむなくお受けすることにしました。
 2020年10月28日、彼を勝山駅まで車で迎えに行き、平泉寺近くのホテルへ案内しました。
 案の定、彼はどうしても光芒を撮りたいと言います。ダメ元で2泊(連泊)することになりました。

 翌日、運命の10月29日の早朝です。ホテルへ彼を迎えに行きました。
彼の執念ですね。奇跡が起こりました。彼の思いが平泉寺の神様に届いたのでしょう。見事な光芒が現れたのです。
 一瞬、彼の顔が緊張で引きつりました。
 「落ち着いてくださいね。今日の光芒は凄いですよ。光が刻々と角度を変え、場所も少しづつ移動していきますから慌てずに!」 そういう私の声も上ずっていました。
 あとは会話なしで、それぞれに撮影に没頭しました。
 ちなみに、私たち以外には人影が見当たりません。二人占めの贅沢な時間でした。

 午後、ホテルのロビーで早速パソコンで画像の確認です。幻想的な光景に「ヨッシャー!」の連発です。
 彼から「一杯やろう」と誘われました。アルコール好きの私です。あやうく誘いにのるところでしたが、運転する身です。さすがにそれだけはやんわりとお断りさせていただきました。
 しかし、彼の感激に付き合うことができ、喜んでもらえたことは忘れられない思い出になっています。

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