素晴らしきゲーム音楽の世界[16]VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)
今回はPS4/PS Vita/switchで発売された『VA-11 Hall-A(以下ヴァルハラ)』のゲーム音楽についてお話します。
レトロなグラフィックで表現される本作のジャンルは「サイバーパンクバーテンダーアクション」一体どういうこと? と思うジャンルですよね。
舞台は未来都市グリッチシティ。プレイヤーはバー「ヴァルハラ」のバーテンダー、ジルを操作して訳アリの客たちにカクテルを提供します。どんなカクテルを作るかで相手の運命=ストーリーが変化するシステム。
カクテルは混ぜるドリンクや氷の量、振り方などを自分で調整できます。「酔いたい」と言われたらアルコールを強くしたり、「甘いのが飲みたい」と言われたらジュースを多めにしたり。
ただし相手の望まないカクテルを作ると給料から天引きされ、家賃が払えなくなってゲームオーバーになるので注意。
バーテンダーになった気分を味わえる、ほかにないゲームです。
YouTube-『VA-11 Hall-A 日本語版 1st トレーラー』より
好きな曲は動画で流れている『A.Rene』ちょっと昔っぽさを残しているような曲調がカッコいいんです。
遠い未来の話ですが、訪れる客の話や相談はどこか現代社会の悩みと通じる部分があります。「歳を取るのは悲しい」「人は憧れの職業を美化しすぎる」などなど。
いつの間にか親身なって話を聞く自分がいるし、相手の悩みを解決できるカクテルを出したいと思ってシェイカーを振る。
難しい注文もあるけれど、答えを見つけて笑顔で帰る客を見送れば「いい仕事したな」なんて気分が味わえる。まさにバーテンダーの疑似体験。
アクションとは名乗っているものの、実質はテキストを読み進めていくシミュレーションです。
じっくりと世界に浸れる作品なので、興味のある方はぜひプレイしてみてください。個人的にオススメの一作です。
自分が持っているサントラはPS Vita用が発売された時の特典でもらったもの。すべての曲が収録されているわけではありませんが、ヴァルハラの世界を感じられる選曲です。
本作のBGM設定はちょっと変わっていて、毎回バーの営業前に店内で流す曲を選びます。あとは閉店まで設定した順に繰り返される。有線放送みたいな感じ。
全体的にレトロ感があって、それが自分には落ち着いて聴こえます。曲数はかなり多いのでポップな感じにも、しっとりした雰囲気にも、プレイヤーの気分に合わせたプレイリストが作成できます。
何を選んでもストーリーにはまったく関係ないけど、これが楽しい。実際のお店でもそうなのだろうか……プレイするとバーに行きたくなっちゃいますよ。
……なんて感想を書きましたが、行きつけのバーなんてありません。
地元にいたころは知り合いがバーを経営したので、何度か飲みに行ったことがあります。雑居ビルの一室に構えるこじんまりとした店。
いつもお客さんが少ないので心配でしたが、居心地のよいお酒が飲めるいいお店でした。知り合いだから余計にそう思うのでしょうけど。
「何飲む?」
お酒に詳しくない自分は「さっぱりしたもの」とか「色がキレイなもの」なんて曖昧な注文をしていたのですが(いま考えると申し訳ない)知り合いはオーダー通りのカクテルをスッと出してくれました。
すごいと伝えると「バーテンダーはみんなできるよ」と微笑む。落ち着いた照明の中に立つ彼はとてもかっこよかった。
あれから10年以上経つけれど、元気にしているだろうか。まだ店は続けているのだろうか。
もしもまた彼のカクテルを飲むことがあれば伝えたい。
やっぱりバーテンダーはすごいよ、って。
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