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『設計』×『3Dプリンター』

今回は、3Dプリンターの登場によって、設計というものがどう変わったかをご紹介しようと思います。

3Dプリンターによって新たな設計ノウハウがどんどんと生まれています。
古参の設計者が戸惑うような設計思想や3Dプリンターでしか作れないものなど今までにないノウハウをご紹介します。


3Dプリンターという付加加工

機械で物を加工する方法には3つの種類があります。

・除去加工
・変形加工
・付加加工

除去加工は材料を削って形状を加工します。
変形加工は材料に力を加えて加工します。
付加加工は材料に付け加えて加工します。
それぞれメリットや得意な加工物が変わります。
その中でも付加加工の自由度は高く他の方法では加工できない物もあります。
3Dプリンターは、そんな付加加工に属しています。

実は付加加工は、今まであまり加工方法としては選ばれない方法でした。
付加加工の代表となるのが、溶接加工やメッキ加工ですが、それらは形状を作り上げる方法としてでは無く、物に付加価値を付ける為に使われていました。
そこに3Dプリンターが登場し、形状を作る為の付加加工が注目されています。

私自身、機械設計者として、今まで設計した物の製造を付加加工で行う事はありませんでした。
一部の金属部品で溶接をお願いしたり、意匠の為のメッキ加工をお願いする事はあっても、溶接で形を作ってくれとは頼んだことがありません。

ということは、他の加工方法とは違い、付加加工へのノウハウというのは、どこでも殆ど蓄積されていないという事です。
3Dプリンターが登場し、どんどんと新たな設計ノウハウが生まれています。
今後もどんどんと新しい設計ノウハウや造形ノウハウが生まれて来るでしょう。


新たな時代の設計「ジェネレーティブデザイン」

私のYouTubeチャンネルでも何度かご紹介したことがありますが、ジェネレーティブデザインというものを知っているでしょうか?

ジェネレーティブデザインは、人が設定した条件に基づいて、コンピュータが自動で形状を検討してくれる設計検討支援システムです。

例えば、設計者が物に加わる力を100kgだと設定すると、100kgに耐えうる形状をコンピュータが幾万通りもの形状検討を行い、物の形状を提案してくれます。
その中から、設計者は意匠性を重視して選択すればいいのです。

ジェネレーティブデザインで自動的に検討される形状は、今までになかったような有機的な形状をしています。
この有機的な形状は、応力に対する強度部品重量に優れています。
この形状は単純な除去加工や変形加工では作ることができません。
できたとしても、製造コストが超跳ね上がることは必須です。

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しかし、3Dプリンターの登場によって、このジェネレーティブデザインが注目を浴びています。
3Dプリンターであれば、有機的な形状のジェネレーティブデザインでも、問題なく製造ができます。
多少コストが上がりますが、ジェネレーティブデザインを使えるメリットは大きいです。

ジェネレーティブデザインは、3Dプリンターという付加加工が登場したことによって、新たな設計手法として多くの企業注目し、設計業務へ取り入れることを検討しています。


3Dプリンターでしか作れない設計

3Dプリンターでしか作れない形というのがあります。
その一例をご紹介します。

画像の様な、二つの部品が切れ目なくつながる構造や、繋ぎを使わずに部品の中に部品が入っているような構造は、3Dプリンターでのみ加工することができます。
基本的には、繋ぎ目がなく、部品同士が繋がっている形状は付加加工である3Dプリンターでしか作れません。

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繋ぎ目がいらないという事は、強度が増すということです。
より小さな部品でも、部品同士を止めることが出来るので、製品重量や意匠性に優れています。


また、3Dプリンターでしか作れない物をもう一例ご紹介します。

3Dプリンターでは、画像の様な内部に経路や空洞を持つ形状を造形できます。
これらは、単純な除去加工や変形加工ではできない形状です。

内部経路は機械部品の冷却に適しています。
複雑な内部冷却路に水や油を通し、部品の持つ熱を奪っていきます。

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これらの3Dプリンターでしかできない形状設計というのは、まだまだあります。
これからも3Dプリンターノウハウの蓄積によって、増え続けるでしょう。
ぜひ3Dプリンターを持っている方は、自分しか持っていないノウハウというのを研鑽していってください。
そして、情報発信に興味のある方は、是非そのノウハウを発信してみてください。




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