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Oculus Quest 2 レンズカバー製作

Oculus Quest 2を去年10月の販売開始と同時に即購入し、仕事やプライベートの息抜きにと愛用しています。

普段、長時間使用しない時には、専用ケースにしっかりと保管しています。
しかし、ちょっと席を外す時や、明日また使うという時には、机の上にそのまま出しっぱなしにしたままというのが多々あります。

Oculus Quest2に限らずですが、VRデバイスは保管する際に、太陽光に注意しなければなりません。
本体内側にあるレンズに太陽光があたると、虫眼鏡で葉っぱを燃やす様に、液晶とレンズがダメージを負います

Oculus公式サイトでもこう注意がされています。

日光に当たる可能性がある場所にヘッドセットを保管または放置しないでください。
屋内であっても、直射日光が当たると、ヘッドセット内部のレンズは1分足らず回復不能な損傷を受ける可能性があります。


1分足らず!?回復不能な損傷!?こわっっ!
少しだけ置いておくというのが命取りになるかもしれないそうです。

しかし、すこし席を外すだけなのに、わざわざケースに収納するのは正直面倒くさい。

「そうだ!レンズのカバー作ればいいやん!どうせなら取り外しが楽な構造にしよう!」

と製作を始めたのが、去年の12月。今は年も跨いで6月。
ぼちぼち進めていた半年間のレンズカバー開発工程を今回は一つの記事にまとめました。
半年といっても、休んでいた時期もあるので、文章量はだいぶ少ないです。)


Oculus Quest2を3Dスキャン

まずは、レンズカバーを設計し始める前に、ハードウェアの情報を集めないと設計ができません。

公式サイトや、Oculusフォーラム、クリエイター向けページなどなどOculus Quest2のハードウェア情報は殆ど出てきませんでした。
唯一情報として引っ掛かったのが、Oculus Riftのアクセサリーガイドライン
Oculus Quest2のアクセサリーガイドラインは公開されていないようです。

ハードウェアの情報がないと、設計ができないな。
ひとつひとつスケールやノギスで寸法測るの面倒だな。

と諦めるわけにはいきません。
そこで、今回は3Dスキャナーを使ってOculus Quest2本体を3Dデータ化しちゃいます。
そのためには3Dスキャナーを用意しないといけない。。。よし借りてこよう。

知り合いの会社へお願いして、3Dスキャナーをお借りしました。
お借りした3DスキャナーはKEYENCEのVR-5200
買うと、うん百万円のスキャナーです。

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VR-5200は非接触式光学3Dスキャナーです。
Oculus Quest2は顔に当たる部分はスポンジで柔らかいので、非接触式が適しています。
また、レーザー光測定だと万が一レンズ部にレーザーが当たったらこわいという理由から、パターン光で測定するこの3Dスキャナーでお願いしました。


いざ実測!
3D測定したデータはこんな感じ。

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だいぶジャギジャギです。

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VR-5200だと高精度に測定できるようですが、測定エリアが小さくて一度で測りきることができませんでした。
なので、何度も場所を変えての測定になりました。
後でのデータの位置決めが面倒臭そうです。
結局スケールやノギスで計測するのと大差ない作業量になりました。。。


3DスキャンデータをFusion360に持っていく

Oculus Quest2を3Dスキャナーで測定できたら、CADのFusion360へスキャンデータをインポートしていきます。

前回スキャンしたデータをインポートすると、Fusion360の画面ではこんな感じ。

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スキャンデータを全部インポートして、位置決めをした画面がこんな感じです。
ごちゃごちゃしていますが、Oculus Quest2の欲しいハードウェア情報が揃いました。

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Fusion360は3Dスキャナーのスキャンデータをインポート、位置決めがやりやすいCADなのでそこまで苦労せず取り込むことができました。


Fusion360でモデリング

ハードウェア情報から、レンズカバーをモデリングしていきます。
デザインを試行錯誤している様が動画から伝わるかもしれません。
gif画像を用意したんですが、容量がでかすぎて載せられませんでした。
見たかったら、DLして見てください。

設計要件としては、

・レンズ内へ光が入り込まない
・ワンタッチでの付け外し
・逆さにしても外れない
・3Dプリンターでの造形

これらを意識して設計しました。

そしてできたのがこちら

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3Dプリンター造形

モデルデータができたので、3Dプリンターで造形していきます。
最近わが家に導入したFLASHFORGE Guider2で造形します。

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造形時間を優先しすぎて若干荒くなってしまいました。


Oculus Quest2に装着すると、こんな感じ。
レンズ側面形状にしっかりと合っています。
これだけかっちり形を合わせられるのは、気持ちがいい!
3Dスキャナー使ってよかった!

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しっかりとホールドしているので、逆さにしてもずり落ちません

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設計課題

とりあえずの使用には問題ないですが、課題も残っています。
一番の課題は、Oculus Quest2のレンズは三段階に位置が変更できますが、今のところ最大まで広げたレンズ位置でしかレンズカバーははまらない設計になっています。
理由としては、最小レンズ位置に合わせると、レンズカバーの指かけ部分が小さくなりすぎて、指が入らなくなるためです。
根本的に指かけ部分の設計を変更しなければ対応できない為、最大レンズ位置のみに対応することにしました。

もし課題解決に挑戦してみようと思っている方は、CAD編集用にSTEPデータも用意したので、チャレンジしてみてください。


モデルデータ配布

3Dプリンター用のSTL形式とCADで編集するようにSTEPデータを合わせて配布します。
是非ご活用ください。

利用規約としては、個人的な用途にのみご利用ください。
データダウンロード者本人以外への配布、販売、譲渡はお辞めください。
データ改変は自由にしていただいて構いません。
改変後データの配布、販売、譲渡はご自由にしてください。


3Dプリント用STLデータ

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CAD編集用STEPデータ

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