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ホラー作品が好きすぎて間取りを描く

すっかり忘れていたが、私は小学生の頃、家の間取りを描くのが好きだった。父が大学で建築を教えていたことが原因だろう。大体、子供は親の好みや様子に引っ張られるものだ。マンションの広告を熱心に見ていた記憶があるし、自分で妄想した家の間取りをしきりに描いていた記憶がある。

残念ながら、オリジナリティとか数学物理に全く縁のない人間であるため、建築の才能は一才無いことがすぐ分かった。しかしながら…家の間取りに並々ならぬ興味を持っていたことから、好きなホラー映画の間取りを描くまでに至った。特に集合住宅に魅入られた。ホラー映画に出るベスト集合住宅は、昔の名前で、ジョンハンコックセンターだった。作品は『ポルターガイスト3』。

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好きすぎて自分でも写真撮ってしまうの今でも。

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筆者近影。

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このアングルも、明らかに影響を受けている。或いは、ホラー映画の集合住宅ランキング二位の『ゴーストバスターズ』の影響かもしれない。あちらはあんまり映らないので描けないが、シガニーの住んでいるアパートがなかなか魅力的だった。

さて『ポルターガイスト3』に出てくるシカゴ市の超高層マンションには、プールや自動車の駐車場、ギャラリーやら何やらが揃っていた。すごい。90階だかという高さに家がある?そしてこの広さは一体…!ついでに何この父親、セクシー過ぎないか?

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この一家は複雑で、ここに写ってないララフリンボイルがこの父の連れ子で、妻はずっと若くて子供はいない。キャロルアンの母方の親戚だったはず。しかし今回、キャロルアンの家族は出ないのね。でもその演出が良かった。パート2まであんなに家族の愛を大事にして来たのに、スティーブが若い娘と不倫しても妻のダイアンは許していた。…これ何かあったよね。でも描かない。

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80年代なララフリンボイルさん。劇中、なかなか衝撃的な役をやっております。

でもね、そういう家族のことに興味を持ったのは最近のことで、パート3の主役はあのビル🏢。完全に魅入られて間取りを必死に描いたものよ。とっとけばよかったね。でもかけるわ!あの作品では、珍しく全ての部屋が一度は映っているのでね。3LDKだよ!!部屋がでかいの。さすがね。

あたい、パワポで描いちゃった💌

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なお、ベスト戸建て住宅はこれまた『ポルターガイスト』のクエスタベルデの家!こちらはねぇ…レゴブロックで必死になって家作ってたな。限られた材料を節約しつついかにそれっぽく作るか!私ってものづくりにおいてオリジナリティとか大胆さは無いので、すごくこう現実に近くないとやだったのね。頭硬いので柔軟に頭で何か補うことができないの。だからいつも不満足な出来だったし、やがてレゴへの愛が尽きてしまった…

なのにやっぱりねぇ、一回は過去からの呼び声に応えてしまってレゴブロックの家を買ってしまったの…

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ため息が出ちゃう…好き…

でもうちに置いておいても邪魔だと気がついて姪と甥にあげてしまった。

クエスタベルデの家は、外観と間取りがどうも一致しなくてね。あんなに長い廊下が2階にあるの無理だ(廊下が延びるシーンのことじゃないのよ?)とか、あの位置にある窓はどの部屋なんだとか、間取りを描くとわかっちゃうのよ!私ダケニ判ル!

オリガの歌 ぱにまゆ。無駄にロシア語学んでたことあるの私…

私は頭硬い子だったので、外観と間取りが一致しないのがどうにもむず痒くてならなかった。レゴでも再生できなかった。できないできないできない!!

やがてレゴブロックへの興味が底をついてしまい、遊ばなくなった。後年レゴは全て甥と姪の家に送られ上記の私のレゴに合流したみたいね。

高層マンションも何度かレゴで作ろうとしたけど、資材不足でワンフロアにワンルームしか作れなくて、親子で二段ベッド使うなんて狭すぎよ!!これじゃあ、部屋から部屋に移動できないじゃないの!!!バカっ!!!と思ってしまった。真面目ねぇ…

でもね、やっぱりパート3は、第一作に比べると家が圧倒的に狭いから、家の中を縦横無尽にカメラが走り回る映画ではなかったから、冒険の舞台はビル全体になっていく。パート2では家が主体ではなく、最後は洞穴の中から霊界にぶっ飛ぶから、おばあちゃんの家があまり印象に残らないの。なんか昔、デパートの展示場で、映画のセットやミニチュアが展示されてたことあって、パート2の家のミニチュアもあった。でっかい家ねぇ…でもこんな形してたっけ?と思ったくらいで気を引かれなかったので多分作中でも家自体は重要ではないのでしょうな!パート2は、そもそも自壊の危機に陥った家族が霊という外敵によって辛うじて形を維持してるという見方もできるからね。霊を払い除けたら、はっきり描かれないけど家族も壊れて、キャロルアンが親戚の家に送られてしまうわけで。

映画としては、家族の裏話がハッキリ見えないことで今一つの作品なのかもしれないパート2と3。でも、レーガン時代にある種の保守回帰をした80年代の新しい理想の家族には、すぐに隙間風が吹き込むのだと図らずも指摘している。パート2は父性の失墜という危機にキリスト教原理主義カルトの亡霊がつけいってくる。パート3は元はバラバラの家族が、保守回帰的な意味での家族愛を最後取り戻したように見える。新しく作られるものとしても描いていない。

同時期の『危険な情事』は、精神の不安定なシングル女性というモンスターの侵入で大都会のお金持ち家庭が崩壊する様を描いていた。そして、郊外からそんな大都会に移動したキャロルアンにとっては、もう本当にどこにも安心できる居場所が無く、あの世のケイン牧師に親しみを見出してしまうって結構つらいね。

保守的なものへの攻撃をホラー要素に置き換えているとも言える上、もしかしたらそっちの方がマシ?と思わせるスキが面白いのである。

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