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白バイ隊員の本音

Twitterのアンケートで一件でしたが、せっかくいただいたので少しお話します。

まず、経歴ですが

警視庁警察官の試験に合格し、静岡県立の高校を卒業し、すぐに警察学校に入校しました。

自宅から車で両親と弟が府中にある警察学校まで送ってくれたこと、
祖母が姿が見えなくなるまで手を振ってくれて送り出してくれたことを今でも思い出します。

3人兄弟の次男であったこともあり、「この家で家族と一緒に住むことは2度とないんだな。」と涙を流したことも今や遠い思い出です。

昔話はこのくらいにして本題です。


警視庁のホームぺージから拝借

白バイについて皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

〇 かっこいい

〇 運転がうまい

と思ってくれる方もいらっしゃると思います。
正直見るのは良いですが、捕まるのは誰でも嫌ですよね。
気持ちはめちゃくちゃ分かります。
隊員も好きで切符を切っている訳ではないのでご理解いただければと思います。


小さなころから白バイに憧れて21歳で夢が叶い、白バイ乗務員になりました。本当に夢が叶うとは思っていませんでしたが、それよりも警察を退職して不動産屋になっていることは全く想像もつきませんでしたが。笑

私は隊員・分隊長として2つの交通機動隊を経験しました。

これは余談になりますが
「交通機動隊」← 「交機」こうき
と略す方が多いですが、警視庁の場合は
「交通機動隊」← 「交機隊」こうきたい
と略します。警察官でも交機と言う方が多いですが、会話の中で「交機隊」というワードが出ると交通部出身だとすぐに分かります。
ちなみに「白バイの歌」もあります。


さて、ようやく本題の本音についてですが。。。

〇 「理想と現実」  やはり違います。
交通部特有の体質があり、違う部門に進まれる方も多いです。
詳細は伏せますが、交通部の幹部で白バイ乗務員の資格や実務関係での実績がある方はとても少ないです。批判している訳ではありません。
楽な仕事ではありません。

〇 嬉しいとき
小さな子供から手を振ってもらったり、運転手さんやライダーから声を掛けられるのは嬉しかったです。たまに取締り中にお子さんから手を振って貰うこともありましたが、違反者の方を目の前になかなかできないことや、違反車両や不審車両に集中している時は反応できないこともありますが、無視をしたりしている訳ではないので分かって貰えるとありがたいです。

〇 日々の悩み
「捕まって良かったよ。これから気を付けます。」と言ってくれる方は半年に1件あるかないかですが、隊員にとってはとても救われる気持ちになります。と言うのも、白バイも好きで取締りしている訳ではないのですが、やはり人間なので頭に来ることもありますし、暴言を吐かれて気が滅入ってしまうことも多々あります。
私が今でも覚えているのは、新年が明けた直後に参拝客対策を兼ねて、白バイを駐車して赤色灯を付けて交差点配置をしている時、社名の入った営業車に乗った中年の男性が、中指を立てながら口を大きく動かして「ばぁ~か。ばぁ~か。」と信号で停止中にずっと繰り返しこちらに向けてやられたのにはさすがに頭に来ました。

隊員の中にも色々と嫌な思いをして昨日は寝れませんでしたと話す人もいましたし、警察官でなくとも社会で生きていくには誰しも嫌なことがあり、同じような経験をしたことが、一度や二度あるのではないでしょうか。

では、なぜ続けるのか。
もちろん仕事なので、家族のためという理由もありますが、
「交通事故を1件でも減らしたい。」
綺麗ごとを言うようですが、この思いがなければ務まりません。

スピード違反・信号無視・過積載・無免許・酒気帯びなどによる死亡事故は、今でも後を絶ちません。
切符を切ることで、違反してしまった方・取締りをしている姿を周辺の車に見せることにより、抑止効果を高めハンドルを握る人に対し、今一度安全運転を認識させることが白バイの一つの役割です。

〇「隠れて取締りをしている」
こんなイメージを持つ方もいるかと思います。
「危ないのであれば、ここで一台一台お前が止めれば良いだろう。」
何度言われたか分かりません。
本当に見えにくい場所で取締りするケースもありますが、個人的にはそう言われるのが嫌だったので、私は確認すれば必ず見える位置で取締りをしていましたがそれでも同じことを言われます。
(難しいところですが中には、警察がいないことを良いことに敢えて違反する人もいるので現場の警察官・道路状況等の判断によって取締りの手法は変えています。)
気持ちは分かりますが、運転免許証は公安委員会による許可によって、一般的に禁止されていることについて、特定の者に解除する行為として運転免許が交付されているので、ルールを守れない・標識を見ることができない人は取締りをされても致し方ないと思います。

前置きをしましたが、気持ちは分かりますよ。
ただ、誰かに注意してもらわなければ交通ルールを守れないのであれば、もう一度運転に対する姿勢を正してくださいという意味も含んでいます。
運転をするなということではありませんので誤解はしないでください。

日本に存在する法律の中で、過失罰の規定が最も多いのが道路交通法です。
(違っていたらすみません。)
それだけ過失による違反・事故が多いということです。
過失罰とは「ついうっかり」「気付かなかった」を許さないという意味になります。
「無茶を言うな!!」と思いますよね。
すごくわかります。
静岡の田舎から状況して、5車線道路・複雑な交差点を見た時には違反しない自信しかありませんでしたから。

「止まれ」を見落としたはちょっと論外ですが、「右折禁止」「転回禁止」を見逃したなどは良くあるかと思います。
正直に言いますと私もたまに「ここ右折できるのかな?転回はいける?」とわからない時があります。
そういう時は、曲がらない・転回しないを選択します。

道を間違えた!!こっち曲がった方が早い!!
余計なことを考えると周りが見えなくなる傾向があるので、悩んだらいかないがベストです。

進路変更禁止・指定通行区分違反などは大抵が「道を間違った。」方が多いと思います。
慣れない道だと焦る気持ちすごく分かります。
そういう状況で運転する時のコツですが、

「道は繋がっている。」

と心に余裕を持つことです。

では、急いでいる時は、

「焦っている時ほど、落ち着いてゆっくりいこう。」

運転を始める前に一度、深呼吸をしてから出発しましょう。
バタバタ、せかせかとしながらその流れで運転を始めると大体碌なことはありません。運転以外でもそうですよね。

知っている方は少ないと思いますが、緊急走行する際には、
警視庁本部からも無線で注意を促す指示を送っています。
警察官でも注意力が落ちてしまうこともあるので、お互いに安全運転への意識を高めています。
これに習ってではありませんが、我が家では車で出掛ける際に

「安全運転でおねがいしま~す。」

と子供から言って貰うようにしています。
ゲン担ぎのような意味合いも含んでいますが。。。

出来る限り運転の前に
「家族・同乗者」
の方が、運転する人に一声掛けてあげることで、安全運転への意識を高めることが重要だと思います。

昨今高齢者の方による痛ましい事故も残念ながら発生しています。
大切な家族が事故の当事者になり、他の誰かの幸せを奪ってしまうことのないよう家族間での話合いも大切です。
親が運転する車に乗るのが怖い・大丈夫かなと思ったら一日でも早く声を掛けてあげてください。
個人的には抜本的解決として、法改正が一刻も早く進むよう切に願っています。


余談ですが、白バイには暗黙の了解があり、出向前に隊員に対して原則ストレスを与えないようにしています。
理由としては、
「心の状況が運転に現れやすい。」
からです。

興奮状態 → 荒くなる・スピードが出やすい
落込む  → 注意力散漫
もちろん体調管理も大切です。
状況によっては「出向させない。」という幹部の判断も稀にあります。
それだけ運転には神経を使っています。

「行って来ます。」
一般的にはなじみがありますが、出向する際、白バイではほとんど使いません。
漢字が一字違うだけで全く違う意味合いの言葉になることを敬遠していると思います。一般の会社に入って慣れない内は戸惑いました。

長くなりましたが、白バイ隊員も悩んだり苦しんだりしながらそれでも今日も取締りに出ていると思います。
「交通事故で亡くなった方の無念を晴らすため。」
「残されたご家族のため。」
「もう二度と同じ悲しみを味わって欲しくない。」
現場に出来ることをただひたすらに。。。

最後になりますが、警察官は近寄りがたい存在と感じる方が多いと思います。実際に話すと意外に優しかったり、親身に聞いてくれますので、ぜひ気軽に声を掛けてあげてください。

警視庁ホームページ (tokyo.lg.jp)

先日、横断歩道を渡る子供にお礼をさせるなど話題になりましたが、正直やってもやらなくてもどちらでも良いと思います。
ただ、安全運転への意識を社会全体で取組むことは良いことだと感じます。
「ありがとう。」この気持ちが伝われば、運転手にとっても何だかちょっぴり嬉しい気持ちになりますし、次も気を付けようと少しでも思ってくれるかもしれません。周りの人もほんわかする気持ちになりませんか。
人間は機械ではないので、どんな時でも完璧に物事を行うことは不可能です。過失罰が最も多い道路交通法だからこそ、お互いがお互いを思いやる気持ちを持って交通社会を実現することが大切ではないでしょうか。



警察官になりたいなど個別の相談も受けます。
警察官に聞くのはちょっと勇気が。。。と思う方・親御さんなどお気軽にご連絡ください。
現在の本業は不動産・ファイナンシャルプランニング・保険なのでこちらもお受けしていますが、営業はしませんのでご安心ください。






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