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現代にも通じる神話(ユピテルとカリスト)

数年前に見たプーシキン美術館展の作品。

「ユピテルとカリスト」byブーシェ1744年@プーシキン美術館。貴族趣味なロココ感がたまりません。女神ディアナの召使のカリストちゃんは最高神ユピテルに目を付けられてしまいます。ただチームディアナは恋愛禁止(のはず)、鉄壁の守りを崩すためにオヤジのユピテルが考え付いたのは主人ディアナになりすまし接近するというもの。作戦は成功し、作品の場面になったそうで。「おっお嬢様!おやめください!」「わらわのいう事が聞けないのか?」「・・・」という展開か。

周りの天使たちが「やべえよ!やべえよ!ちげえよ!気づけよ!」と騒いでいるようにも見えますがそこは最高神ユピテルが黙らせているのでしょうきっと。

ディアナは神界の「貞節」「狩り」「野獣」担当の執行役員みたなポジションなので「わらわが、たとえ変わり身であってもそのような醜態をさらすと思われたこと自体に腹が立つわ!」と中学生のようなまっすぐさを全開、カリストちゃんを熊にかえて森に追放したそうです。(カリストちゃんは被害者なんですが・・)

アトリビュートとしてはカリストちゃんの後ろの「矢」がチームディアナのメンバーであること、ユピテルの後ろの「大鷲」がユピテルを表しているようです。

当時は啓蒙思想の時代、常識を懐疑的にみることが始まった時代背景もあるのかもしれませんが、この絵、当時も「ダイバーシティ」的な視点(人間いろいろな立場や趣向、考え方がある)で見られていたようです。加えセクハラ、パワハラといったテーマも加わり、貴族たちが語らうネタにも使われていたんでしょうね。(そう考えると現代とあんまり変わらんですな)

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