小笠原諸島が私に教えてくれたこと
初めまして。
別の記事を読んでいただいた方は、いつもありがとうございます。
実は先日、仕事で父島に行く機会がありまして。
というか24時間電波の途切れ途切れの閉鎖的な空間での船旅のため、現在船内で記事を作成しています。笑
仕事のため観光の時間はほとんど取れていないのですが(本当は大戦中の遺物や展望台など行きたい場所もたくさんあったのですが・・・)、それでも海外に旅行に行ったような、でも日本人の暖かさに常に触れることができる、素晴らしい場所だと思いましたので、急遽記事を作成しています。
タイトルの通り、ほぼ「学生の夏休みの宿題の感想文」という感じなので、もちろん無料公開でまとめていきます笑
この記事を読んだ方が、少しでも「小笠原諸島、行ってみたいかも?」と思うような内容でまとめられたらと思っていますので、最後までお付き合いいただけると幸いです。
はじめに「小笠原諸島って?」
以前仕事で伊豆大島や三宅島には伺ったことがあるのですが、私も正直小笠原諸島や父島は仕事で行くまで「めちゃくちゃ南の島」ということ以外ほとんど知りませんでした笑
父島・母島などの有人島を含む大小約30の島々からなる小笠原諸島は、南は南でも「東京23区から約1000km南」という、ものすごい離れた場所にあります。
さらに300km南には、大戦中激戦地となった硫黄島があります。現在一般人は住んでおらず禁足地(観光では行けない場所)のため、軍の施設のみとなっていますが、1944年の疎開前には1000人以上の方が硫黄島にいたそうですよ。
日本最東端の南鳥島は父島から東に900km、日本最南端の沖ノ鳥島は父島から南に約1000kmですから、日本の領海や排他的経済水域の広大さを感じます。
父島は伊豆大島のように日帰りで行くこともできなければ、三宅島のように飛行機でひとっ飛びで行くこともできません。
行くには「おがさわら丸」という定期便の大型客船に乗って、片道24時間の大航海に行かなければいけません。
さらに父島到着後3日程度経ってから帰りの便が出るため(夏の行楽シーズンには蜻蛉返りする便もありますが)、基本的には一度行くと約1週間本州に帰ることはできません。
海外より遠いと言われることもありますが、それも納得と行った感じです。
世界遺産にも登録された独自の生態系と大自然
小笠原諸島は海底火山の活動によって誕生後一度も地続きになったことのない島のため、100を超える独自の生物が生活しています。
その多様性と美しい自然が評価され、世界自然遺産にも登録されています。
飛行場を作るとその環境に負荷がかかることと、島全体に山が多く滑走路を作るほどの平地を作るのが難しい、森を切り開くと生態系に大ダメージを与えてしまうことなどが懸念されて、今も船のみでの乗船となっているそうです。
ちなみに現地の方から伺ったのですが、非常時には海上自衛隊のヘリで一度硫黄島に運ばれたのち、戦闘機で約3時間で本州に運ばれるそうです。笑
かつては無人島(ブニン島)と呼ばれていて、海外の方がボニンと聞き間違えたことから「ボニンブルー」と言われる深い青色に見える美しい海。
さらには白化した珊瑚や貝殻の破片で白い砂でできた砂浜のコントラストは、ザ・南国リゾートと行った感じです。
本当に旅行で来たかった・・・。笑
港区の竹芝桟橋で名刺交換をした初対面の業者さんたちと一緒だったため、全身で自然を体感することはできませんでした。
大自然を脅かす最強のハンター「にゃんこ!?」
一度も陸続きになったことが無いため、住んでいるのは基本的に魚類や甲殻類、爬虫類や両生類(元々は海から来ましたもんね)、鳥類、農耕のために大陸から連れてきたヤギなどの生物です。
クマやライオンのような肉食の哺乳類はいません。そのため捕食の危険を感じることが少ないため、生物たちは警戒心が薄く、どこかのほほんとしています。
だからこそ、特に母島で問題になっているのが「愛玩のために連れてこられた後野生化してしまっている野猫」なのです。
小笠原諸島では猫を超える大型哺乳類がいないため、数多くの独自の生物を絶滅寸前に追い込んでいる百獣の王状態になってしまっているのです。
そのため小笠原諸島では野猫を捕獲、本州で飼い猫とするプロジェクトもあります。気になった方はぜひご自身の目で確かめてみてください。
外来種を持ち込んでしまうと大災害になることを教えたトカゲ「グリーンアノール」
さらにはグリーンアノールという、本来は北米に生息しているトカゲの一種が天敵のいない小笠原諸島で大発生し、生態系を破壊する大問題が起きています。
ちょうどコロナ禍明けの今皆さんにはとてもよく伝わると思うのですが、「別の国からこれまで戦ったことのない生物との戦いを強いられると、全く情報がないため生物の体は適応できず大ダメージを受ける」のです。
足の裏に付いていた泥から細菌や植物が繁殖し、小笠原諸島の植物→動物と壊滅的な被害が発生する可能性すらあるのです。
これまで先人たちが、そんな小笠原諸島の自然を大切に大切に守ってきてくださったからこそ、今こうして私が美しい自然に立っていることを痛感し、頭が上がらない思いがしました。
おがさわら丸での生活
往復で計48時間お世話になる大型船、おがさわら丸。
なんでも現在使用されている船は3代目だそうで、先代はフィリピンに売却されているそうです。
私は行きは一番安い二等和室、帰りは会社にわがままを言い一つ上の二等寝台で帰りました。それぞれどう思ったか正直に話しますね。
総じて:思ったより快適だけど酔い止めと延長コードは必須
まず3代目おがさわら丸は竣工から10年も経たないこともあり、前提としてとても綺麗で快適です。
シャンプーやリンス、ドライヤーまで完備されたシャワーを浴びられますし、多少本州より物価は高いですが船内売店やカップ麺の自販機、4階と7階にレストランもあります。
貴重品ロッカーも指紋認証と暗証番号併用のものがあるため、二等和室で移動する際にも貴重品対策はできます。
4階には小笠原諸島や硫黄島の歴史がパネル展示してあるため、ぜひ目を通して頂けたらと思います。
船内は基本圏外となりますので、オフラインでも時間を潰せるように動画を落としておくなりゲームを持ち込むなり準備をしましょう。
私は資格取得やレタリング(手書き手帳に活かしたい)の練習のためiPadで時間を潰していました。なんならこの記事作成も一つですがw
ただこれらの時間の有効活用って「船酔いしていないのが前提条件」なんですよね・・・。
私は1月に佐渡島に行ったことがあるのですが、その際には「どうせ3時間弱だし余裕やろw」と酔い止めを持っていきませんでした。
その結果出港から15分で船酔いとなり、以降記憶がありません。w
そして今回はというと、行きから東京湾を出た瞬間から佐渡島に行く時よりも揺れました。
私も24時間の船旅はさすがに怖すぎたので、1日1錠で大丈夫なトラベルミンを使用しました。
その結果、行きはずっとiPadに焦点を合わせていても酔わなかったんです!
かがくの ちから って すげー!▼
勿論酔いやすさには個人差がありますが、備えあれば憂いなしですね。
参考までに私は、「電車や新幹線でスマホを見ていても酔わず、バスで座っている時だと長時間画面を見ている時に少し酔ったことがある」って感じです。
二等和室:一人はやめた方がいい。一区画を団体で占拠できる人数なら楽しいかも。
二等和室は完全に雑魚寝です。しかもギチギチです。普通に隣の人の寝返りで布団や足が当たって起こされます。
廊下との仕切りもありません。もし盗難の騒ぎがあったらいざという時は船を太平洋に止めてヘリから警察が降りてくるそうなので基本的には起きないと思いますが、財布が生身で出ていたら現金が無くなるのもやむを得ないといった感じです。
コンセントも端に一つしかないため、基本的に延長コードから伸ばし増設するようになります。
一緒に仕事をしている業者さんとの相部屋ですらストレスを感じる私からしたら、仕事でなければ絶対に乗ることはありません。
一応マットレスもありますが、寝る時ではなく普通に過ごしている時もお尻が痛くなるくらいには薄くて硬さを感じます。
二等寝台は4000円ほど高いですが、圧倒的に環境が変わります。めちゃくちゃコスパいいと思います。
ただ壁がないことのメリットもあって、消灯時間前はザワザワしているのが当たり前のような状態のため、旅行で行っているメンバーと喋っていても他のお客様に迷惑になりにくいです(馬鹿騒ぎはやめましょうねw)。
同性のメンバーで多少寝返りで足が当たっても笑い合えるような関係性の集団で利用する分には、修学旅行のようで楽しいかもしれません。
二等寝台:もし旅行や一人行動なら人権が保たれるギリギリ
帰りは二等寝台になりましたが、カプセルホテルをイメージしてもらうといいかもしれません。
上下二段のベッドになっていて、マジックテープで留められるカーテンが付いています。
盗難の可能性がグッと減りますし、パーソナルスペースを確保できるのは快適ですよね。
身長172cmの私が座っていられるくらいには高さもありますし、枕元に電気やコンセントもあります。
ただ口が一つなのと頭の上なので延長コード等の増設推奨です。腕疲れるしコード邪魔ですし。
マットレスも快適とまではいきませんが、多少快適に寝られそうな厚さはあります。メッシュのカバーにハニカム構造のマットレスが入っていますかね。
ずっと冷風が出ているのをつまみで開けるか閉じるかの簡易的なものですが、空調があるのも素晴らしいポイントです。
ただパーソナルスペースが確保されているのもあって、ブース全体がとても静かです。
空調も開けていると、炊き上がる直前の炊飯器みたいな音がするため、気になる人は気になるかもしれません。
勿論新婚旅行のような予算をかけられる贅沢な旅行であればもっと上の等級がいいですが、予算を抑えた旅行であれば十分選択肢になると思います。
出張であれば人権を保たれていて、良心的だ・・・と感じることができる水準かなと思います。二等和室は明らかに人件費削減wって感じです笑
島で暮らしてみて(観光以外のお話)
島での生活に関してかけるのは、生活面に関してのお話だけになります。境浦海岸以外基本行けてませんしw
感じたこと①:インフレが進んでいる
おがさわら丸の船内はどうしても観光価格なのもあって売店の販売価格が高いのは分かっていましたが、島に到着するとかなりインフレが進んでいます。
小笠原海運の定期便にも物流を頼っているため、どうしても輸送費用がかかってしまうのも影響していますね。
観光客は財布の紐が緩みがちなのも影響しているかもしれません。
500mLのペットボトルの飲料が基本180〜200円と言えば伝わりやすいかもしれません。
ガソリンは231円/L、需要の関係か軽油がガソリンより高く232円/Lとなっていました。
物価が高騰しているということは、当然収入も多くないと生活が困窮してしまいます。
アルバイトの時給が1200〜1500円という表示も珍しくありませんでした。
父島にお住まいの方が23区に遊びに来たら、コンビニでの販売価格でも安くて驚くかもしれません。ドン・キホーテなんて行ったら尚更かもしれませんね。
本州の方が遊びに行く際には、なるべく必要なものを持って行くのが吉かもしれませんね。
参考に私は2Lのお茶のペットボトルとロカボナッツを持っていき、ペットボトルは現地に到着して冷蔵庫に入れてから開封し、他のペットボトルに注いで飲んでいました。
ロカボナッツは糖質を抑える+船内でも酔うことなく少量でお腹を満たす間食として最高の存在でした。
感じたこと②:消灯が早い。羽付シロアリ対策?
感じたことの二つ目は、消灯がとても早いと感じました。
町の商店も多くのお店が18時には閉まってしまいますし、お世話になっていた境浦ファミリー様でも、17:30〜19:00で夕食を食べていました。
旅行で行かれる際には、夜更けから「一本飲みてえから缶ビールとつまみ買い行くか!」と出ていくと無駄足になってしまうため、余裕を持ってお買い物を楽しんでください。
というのも、父島特有の現象として、「雨上がり19時から1時間の間の羽付シロアリの群飛」があるからなのかもしれません。
小笠原諸島は冬らしい冬が来ないのもあって、虫は本当に多いです。虫嫌いな方は本当に覚悟を決めてくださいね・・・。
太平洋に浮かぶ島のため、天気も目まぐるしく変わります。
さっきまで晴れていたのに、100mにも満たない高さの雲が吹いてきた、、、と思ったらスコールのように豪雨が降って、、、なんてこともあります。
この雨がたくさん降った後の穏やかに晴れた日の夜19時頃に、それまで隠れていたシロアリが羽がちぎれる1時間の間にカップルを見つける+群飛することで大型生物のように見せて敵から襲われづらくする目的で、一斉に飛び出してくる現象が起こることがあるらしいです。
その時に部屋の電気をつけっぱなしにしていたり、最悪窓が開いていると、、、虫が苦手な方は地獄を見るかもしれません。
ただ1時間以上は羽がもたない関係で、群飛していたシロアリたちは1時間もすると嘘のようにいなくなって、また隠れて生活するそうです。
現地の方もこの1時間はランタンで生活していたりするそうですよ。
感じたこと③:とにかく島の人々が温かい
余談ですが境浦ファミリー様の夕食はめちゃくちゃ美味いです。
仕事で来ていたため名物料理を食べに大村の栄えている街を巡る時間もあまり取れなかったのですが、メカジキのフライやわさびではなくカラシを使用した島寿司などご当地の美味しい料理を振る舞ってくださいました(しかもボリュームもある)。
島唯一の飲用できる湧水で、現地の方が汲みにくることもしばしば。
洗濯機も洗剤込みで無料でしたし、干すためのハンガーや洗濯バサミも無料。
港から3kmほど離れた境浦の崖の上にひっそりと佇む宿なのですが、街への送迎もしていただけますし、仕事で朝が早いため朝食を本来の提供時間より30分早めてほしいと言っても嫌な顔ひとつせずご対応いただけます。
必ず相部屋になるためビジネスでの利用の場合は気を使うかもしれませんが、旅行で泊まるにはいい場所だと思います。
洋室の壁の塗材が触ると白が移るため要注意でしたがw
島の人々は人口が少なく閉鎖的だからこそ顔馴染みの人もとても多く、そこかしこでフレンドリーな会話が聴こえてきます。
その象徴が「街中で鍵差しっぱなしの原付」かなと思います。渋谷や新宿じゃ2分で無くなりそうですがw
そもそも島だから逃げ場がないのと、島のコミュニティで情報拡散もスムーズだからこそ犯罪のしようがないのもありますね。
そんな島民全体がどこか家族のような存在だからこそ、皆が温かく、見慣れない観光客の私たちにも大変優しく接してくださいます。
島から帰る船が出港する際には、「いってらっしゃーい!!」と島民総出でお見送りをしてくださいます。
堤防で旗を掲げて下さる方、手を振ってくださる方、太鼓を演奏してくださる方、自慢の船で追いかけ飛び込みを披露してくださる方、そんな人々の安全を影から守っている海上保安庁と警視庁の方々皆が、
1週間にも満たない時間しか一緒にいなかった私たちを、これから戦地に向かうわけでもないのに、いい意味で大袈裟に、家族のようにお見送りしてくださるのです。
慣れない船旅かつ、ずっと相部屋でプライベートな時間がなかったことにかなり心労を感じていたからこそ、最後の最後に父島で自分の存在を認めていただけたような気持ちになり、思わず目に涙を浮かべてしまうほどの感動でした。
この温かい人々と生活を守り、後世に繋いでいくためにも、私たち一人ひとりができることをしていかなければいけないと思いましたし、守るべきルールを守って訪れなければいけないなと思いました。
いかがでしたでしょうか?
この感動はぜひ共有したい、またこれから小笠原諸島に遊びに行く方の参考になればと思い記事を作成しました。
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いつも応援ありがとうございます。
それではまた別の記事でお会いしましょう。
お疲れ様でした。
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