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先生、ありがとうございました

 先日、世取山洋介さん(新潟大学教授、教育学)の訃報が届きました。先生とは国際NGOで共に活動し、私が大学1年時に国連会議で日本の子どもの現状をカウンターレポートするスピーチをおこなう際に指導助言していただいて以来の関係でした。
 私の人生の転機を支えてくださった恩師とも呼べる方でした。59歳というはやすぎる別れでした。
 そんな先生が生涯をかけて取り組んだ課題は「日本における子どもの権利条約の普及」でした。
 子どもの権利条約とは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、子どもの包括的な権利を実現・確保するために必要な具体的な事項を規定しています。国連総会において1990年に発効し、日本は1994年に批准しました。
 近年では子どもたちに不合理な校則を強いる「ブラック校則」が子どもの権利条約で保障されている「意見表明権」を侵害している事例として取り上げられ、全国のブラック校則を改善していく論拠として注目されました。
 ブラック校則はさいたま市でも存在しており、党市議団はくり返し議会で取り上げ改善を求めてきました。
 こうした声に応える形で、市教委は昨年度から市内中学校(59校)及び市立高等学校(3校)で「不合理な校則見直しプロジェクト」を開始し、ブラック校則の是正をはじめました。
 私はこのプロジェクトで改善された校則について議会で質問すると、市教委は昨年度に見直された主な校則として「髪型の決まり(男子の2ブロック⦅髪のサイドを刈り上げる髪型⦆の許可、女子のポニーテールの許可)」や「服装の決まり(靴下や下着の色指定をなくす)」などが改善されたと答弁しました。
 また、こうした不合理な校則を実施していた理由などを質問すると市教委は「校内暴力を回避するために生徒に統一性を持たせるため実施していたが、『時代の変容』に合わせて改善を図った」と答弁しました。
 市教委が答弁した「時代の変容」を起こした根底にあるのは、子どもの権利を尊重する国民の意識の変化であり、それには先生が取り組んだ「子どもの権利条約の普及」が大きく寄与しているのではないでしょうか。
 改めて先生の功績を実感しつつ、先生が生涯をかけられた仕事に私も取り組んでいきたいと思います。世取山先生、ありがとうございました。


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▲しんぶん赤旗11月15日より抜粋

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