髙橋舞さん、期日前投票に行く!
去る2023年4月7日の金曜日。シェアハウスの住人である高橋舞さんが、ヘルパーと一緒に、投票に行くことになりました。同行しましたわたくし、ULTRAヘルパー1年目の塚本が、当日の模様をレポートします!
事前準備。舞さんはご実家で、候補者の顔写真が印刷された紙を見て、自分でマルをつける。マルがついたひとの名前を、お母さんが紙に書く。舞さんがマルをつけた顔写真の紙、名前が書かれたメモ、入場券、記入済みの宣誓書を、投票日前日にヘルパーに渡してもらった。また、舞さんのお母さんが、選挙管理委員に舞さんの訪問予定日を伝えてくれていた。会場はザザシティか旧北小学校の二択。舞さんにどちらがいいか聞くと、「ザザには行きたくない」「学校がいい」と回答。バスで旧北小に行くことにした。
舞さんは数日前から、投票に行って「おかしもらう」「なんかかりる」とウキャウキャしていた。なにか誤解があるようだ……。
ところで、関連資料を読むと、メモを持参する場合は、書かれている名前が自分で選んだひとと相違ないか、本人に確認をする、というような記述があった。舞さんと初対面の係員が、彼女とどう意思疎通を図るのがよいのか、事前に相談したほうがよいかと思ったので、金曜の昼に選挙管理員委員会に問い合わせをした。会場で対応してくれるKさんという男性スタッフに繋いでもらう。「持参したメモに書かれた通りに代筆し、その内容を確認してもらう」とのこと。メモは漢字で書かれていた。舞さんが漢字を認識することは難しいと思ったので、ひらがなで書くことを提案すると、それで問題ない、というので、会場では、ひらがなを指しながら名前を読みあげて、舞さんに確認を取る、ということになった。(なお、Kさんにはほかに、駐車場を使うかということと、来る時間帯、本人の年齢だけ質問された)ご実家で用意されていた漢字のメモを、わたしがひらがなに書き直し、それぞれどう読むのかを舞さんに伝えて、復唱してもらった(ここでヘルパーが介入してしまったのは公平性に欠ける行為だったと今更気付く…)。何度か繰り返した結果、名前を指して「これなんて読む?」と聞くと「〇〇さん」と答えられるようにはなったが、どこまで完璧に覚えられたかは定かではない。
いよいよ本番。舞さん、当日は朝からずっとご機嫌だったが、いざ、シェアハウスの自室から出発しようとすると、「おかしもらう!?」「えんぴつもってかえる!?」と語気強めに言い出した。(投票ってそういうのじゃないのよと、口頭や紙面で何度も説明はしていたのである。が、ずっと話半分にケラケラ笑っていたので、真面目に考えていなかったのだろう……)別に何ももらえないよと答えると、「もってかえるのォォォ!!!」「なんかほしいのよォォォ!!!」「なんだよもおおお!!!」と大爆発。いったん、部屋でひとりになっていただく。シェアハウスに響き渡る叫び声。そして、何度も何度も、DVDプレーヤーを叩きのめす音……。「投票に行ってもお菓子もらえないし何も借りれない」という真実と、いま、彼女は遂に向き合っているのだなと、感慨深く思った。5分ほど経ったところで、治まる気配がなかったので声をかける。2人目ヘルパーの奈美子さんの私物(に見立てた「まちだのばっぐ」)や、昼間舞さんが目を付けていたスタッフの私物(不要の糸ようじケース)を材料に「準備できたらあげる」「投票から帰ってきたら貸す」と交渉すると、ケロッとして出発した。行きのバスでは上機嫌だった。
無事、小学校に到着。会場の入り口で、係員に「Kさんを」と言うと、すぐにKさんと女性スタッフひとりが出てきてくれた。入ってすぐのところに記載用の鉛筆の山があり、ばっちりチェックする舞さん。早くここから離れたほうが良さそう。Kさんに記入済みの宣誓書と入場券を、舞さんにひらがなのメモ1枚を渡す(ここで舞さんがマルをつけた顔写真の紙も渡せばよかった)。ヘルパーが付き添えるのは入り口付近の宣誓書の記載スペースまで。Kさんと女性スタッフが「行きましょう」と舞さんを誘うと、彼女はあっさり進んでいった。
我々は会場の出口付近で待機を支持される。投票ブースは背の高いパネルで四方が囲まれており、中の様子は見えない。が、舞さんの声だけは聞こえる。体育館なので反響してはっきり聞き取れないが、絶えず何か喋っている。音量は大きいが落ち着いている感じ。5分ほどして「そろそろ終わりますのでこちらへどうぞ」と、投票ブースの出口のすぐ近くまで案内してもらう。そこにはパネルがなかったので、最後の投票をしている舞さんの様子が伺えた。我々の姿を見たKさんが「トイレ行くと言ってます! 終わったらトイレです!」と、ちょっと焦った感じで言う。Kさんと女性スタッフは、紙(メモか投票用紙か分からなかったが)を舞さんに見せながら「合ってますか?」と一生懸命聞いているが、舞さんは全然紙を見ないで、あちこちキョロキョロしながら「コーヒー」「パイナップル」「トイレ行く」とか言っている。「ううーん無理か~」と、汗をかきながら困った笑みを浮かべるKさん。最終的に、「はい、じゃあ大丈夫ですよ!トイレ行きましょう!」と舞さんを私たちのほうに誘った。ほんとにトイレ行くのかと舞さんに聞くと、行くというので、トイレチェック。和式だったので、見たら案の定「行かない」。Kさんと女性スタッフにお礼を言って、会場を後にした。何か欲しいとか持って帰るとは一切言わなかった。帰りのバスも機嫌よく、カネスエで普段通りの買い物をして帰った。
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