新高円寺　中華料理タカノの炒飯

2021年9月10日。

僕は散髪をしに高円寺にいた。
毎月美容師芸人のコモリギャルソンさんに髪を切ってもらっている。
最近はヘッドスパも一緒にやってもらっている。
どうせ禿げるのであれば抵抗はしたい。
抵抗せずに禿げるのは如何ともし難い。諦めるに諦められない。

前日に荒波タテオさんに高円寺にいく旨を伝えると、一緒に飯を食おうという話になった。
毎回散髪で高円寺に行く時は連絡している。
というのもタテオさんは高円寺に詳しく、いつも良い店を紹介してくれる。
ハズレがない。信用しているのだ。

散髪を終えタテオさんと合流し早速お勧めの店に向かうと閉まっていた。
張り紙には「両替金が無い。お金は大切」と書かれていた。
高円寺の個人経営らしい休業理由に笑ってしまった。
その店の生姜焼きが美味いと聞いた。
外に置かれているメニュー写真のラーメン生姜焼きセットは確かに美味そうであった。

僕らはそのまま歩き新高円寺の方に出た。
「こっちに良い店があります」とのタテオさんに着いて行くとその店はあった。

中華料理屋タカノ。
初めは暖簾の感じから「心」という店なのかと思ってしまった。
外観からして良い。
メニューも豊富である。

中に入るとテーブル席が3席にカウンター席が5席程度。
カウンターからはそのままキッチンが見えた。

客は僕らの他に若いカップルが1組。
老婆とその息子だろうか、一所懸命に息子は鍋を振っていた。

いくつもあるメニューの中からタテオさんのお勧めのオムライスとカツ丼は無視して炒飯を頼んだ。
タテオさんはオムライスの大盛りを頼む。

料理が来るまでの暫しの談笑。

タテオさんはピンバッヂを作って来て、この後高円寺の世話になっている古道具屋「権ノ助」に置いてもらえるよう交渉をしに行くという。

愛らしい手作りのカラフルなネッシーとインコのピンバッヂ。
1つ350円で販売するという。
その場でボーダー柄ネッシーを購入させてもらった
。

そうこうしていると頼んだ料理が来た。

たっぷりと入った焼豚が嬉しい昔ながらのシンプルな炒飯である。
余計なことはしていない。
細かく切られた焼豚が2種類であろうか、食感の違う肉がゴロリと入っていて、それを纏う玉子、そして珍しい枝豆。
グリーンピースが苦手な僕にはとてもこの枝豆は嬉しい。こういった彩りのバランスに加えられる優しさが嬉しい。
これにスープと漬物がついていた。

しっかりと味付けされた炒飯はそれだけでご飯にもオカズにもなる。
時期が時期でなければこれに瓶ビールを合わせたかった。
キンキンに冷えた瓶ビールをビアタンに注ぎ、炒飯を頬張ってそのままの口で一気に流し込む。至福ではないだろうか。
いつからそんなに酒が好きになったのであろうか。

少ししてから到着したタテオさんの頼んだオムライスも、一口食べさせてもらったがそれはもう絶品であった。
ケチャップライスを纏うふわふわで中はしっかりとろける玉子。
大きめに切られた鶏肉ではなく豚肉は、良いバランスを保ってオムライスに溶け込んでいた。
次は必ずオムライスを頼もう。

僕らは腹を満たし店を出た。
タテオさんの予定である権ノ助に向かう前にコンビニでコーヒーを買い（正確にはタテオさんに買って貰った）近くのベンチで飲んだ。

その後権ノ助に行き、無事タテオさんはピンバッヂを置かせてもらうことになった。
とても素敵な品なので高円寺に行った際は皆んなも手に取って欲しいと思う。

「権ノ助」
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北２丁目９−８

そうして互いの用事を済ませ、タテオさんの誘いで小杉湯に浸かる。
以前ランジャタイの伊藤さん率いるこうちゃんライブの後に皆んなで行ったことがある。それ以来である。

大人気銭湯は沢山の客がいた。
風呂と水風呂を交互に繰り返し入ると水風呂も途中で慣れ、自律神経も整った気がした。

そうして小杉湯を出た僕らは駅に向かった。
時間は19時。まだ19時かと思うと同時にこのまま酒を飲めないことを残念に思った。

タテオさんはチャリの為僕を駅まで送り別れた。

家に着き、最近手に入れた小豆色のカーディガンに買ったピンバッヂを付けた。

良いじゃないか。とても愛らしい。
そして今この文を書きながらこのカーディガンを着ている。
こうした物一つで何だか気分が変わる。
鬱屈するウイルスの日々で気分を変えたい人も多いのではないか。
そういう気分にピッタリのものである。

美味いものを美味く食べるためにまた質素な食生活が始まる。
次は、何を食いに行こうか。