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新卒採用の担当者として、最初の1年間を過ごして思うこと(後編)
※主に自己紹介と現状のメモとして自身の取り組みを見返す用の記事になります。後編では2024年卒採用で実施した取り組みの振り返りをしております。
新卒採用の担当者になったときの状況
転職活動をすることにした私。いくつかの会社の選考を経て、現職の保険会社に人事として転職。これまで新卒採用を行なっていなかった20数名規模の会社で、プロジェクトの立ち上げから関われることになりました。
人事はリーダー(メインは経理を担当されている)と私の2人でその上に決裁権のある部門長がいるという構成。採用は中途のみ行なっていましたが、とりあえず掲載型の媒体に求人を出して、とりあえず面接をしてという状態なので体系化されたノウハウはなく、新卒採用に活かせるものはほとんどありません。
一方で「障害のある方に向けた保険を専門で開発・販売」しているユニークな事業内容や落ち着いた立地で周辺に大学がいくつもある(大学訪問がしやすい・候補者が通勤のために転居をしなくても良いので社会人生活がイメージしやすい)といった新卒採用を行うのに強い要素もあり、わかりやすい打ち出し方のパターンもいくつか見えている状態からのスタートでした。
新卒採用1周目で取り組んだこと
2024年採用は3名から内定承諾をいただき無事終了しましたが、課題は山のようにある状況です。施策に対して実施理由や課題などをまとめていこうと思います。
1.媒体の選定
まずは採用に必要な媒体の選定を行いました。2024年卒・2025年卒採用においてはオーソドックスに掲載型の大手ナビサイトを利用しています。新卒採用という門を開けたときにどういう方が応募してくださるのかは全く未知数でしたので、その傾向を掴んでいくというのが一番の目的です。
大手ナビサイトに決定した主な理由
募集・ES / 適正検査の案内・選考情報などの応募者管理を一元管理できる。
自社の知名度は学生層に対してほとんどない状態。広報体制も未熟なため、掲載型は弱点の補完ができるのではないかと考えた。
大手ナビサイトを使うことによる社会的信用の獲得を行い、所謂「親ブロック」の回避をしたかった。(※こちらに関してはどれだけ効果があったのか判断できておりません)
どのような候補者に対してアプローチしたいかが定まっていない状態で、時間とコストがかかる大幅なホームページ改修には踏み切れず、採用管理ツールの導入も必要になることが予想されたため直接応募は選択肢から除外。
担当営業さまに採用情報を提供していただいたり、選考フローの構築の相談に乗っていただいたりと何かと助けてもらう機会が多く、未経験の採用担当者として動く際に何かと安心できる要素も多いと感じていました。
まずは自社の採用が完全に自走するまで(させるまで)の3年間の利用ということで考えていますが、「採用チャネルのベストは何か」「複数の媒体を使用するならどのような組み合わせが良いか」ということも常に考え、情報収集も継続的に行いたいと思います。「〇〇なタイプの候補者に対しては〇〇な方法で魅力付けできる」ということが経験値として積めればスカウト型の媒体に移行するという選択肢も出てくるかもしてません。
URLを直リンクできないなど仕様的な面での扱いにくさもありますが、そちらに対してはNotionを使って補完をしています。
2.人材要件の決定
媒体選びが終わり、候補者との「出会い方」が決まり、次は「どのような人」を「どのように見立てて」採用するのかを決定していきました。
人材要件の定義については採用を行いたい部門ごとに違うので、ここから人事以外のメンバーへの「巻き込み」フェーズが始まります。人間関係も出来ていなければ、細かい業務内容も理解出来ていない状態なので、転職したばかりの自分にとってはここがとにかく大変。社員全員とコミュニケーションをサボらずにコツコツ関係性を構築しつつ、キーパーソンを押えてヒアリングを行いました。
当初はペルソナ設計を行なって、どのような候補者であれば採用できるかを決裁権のある方々に判断していただいく形で要件定義を進めようかと思いましたが、その方法だと非効率で「拠り所」のない人材要件ができてしまうと判断し方向転換。いろいろ模索していたときに、たまたま出会った青田努さん(@AotaTsutomu)の書籍『採用に強い会社は何をしているか ~52の事例から読み解く採用の原理原則』にそのヒントが載っていました。
たとえば、営業職であれば「コミュニケーション能力のある人、顧客志向のある人、バイタリティのある人、素直な人」(中略)など安直に考えてしまいがちですが、設定された人材要件が粗い状態だとミスマッチを招くことはもちろん、採用活動が非効率なものになってしまいます。(中略)それでは、人材要件をうまく設定するにはどうしたらいいでしょうか。重要なのは「1.業務・カルチャー」をベースとして「2.人材要件」「3.期待行動」を言語化し、さらにそれを見立てる「4.選考方法」まで一貫性を持たせて設計していくことです。
(ダイヤモンド社,2019)P.121,P.122より引用
ヒアリングを行いましたと先述しておりますが、具体的にヒアリングを行ったのはこの「1.業務・カルチャー」「2.人材要件」「3.期待行動」の3点です。青田さんの書籍を参考にしながら、各部門長に部門としての大まかな業務内容やカルチャーを確認して、キーパーソン(自社の場合は主任・リーダー層が多かった)に3点について詳細な話を聞いていく形式で進めました。
ヒアリングした内容をまとめたうえで、キーパーソンにチェックしてもらい、次に部門長にチェックと優先度付けをしてもらって人材要件としては完成です。関係者が多いと工数もそれなりにかかって大変ですが、各部門の業務内容を把握しておくことは採用担当者として必須となりますし、部門長やキーパーソンの方々は採用面接もお願いするポジションなので、ヒアリングを通じて意向の擦り合わせができたのはとても良いことだったと思います。コミュニケーションをケチっている場合ではないですね!
自社の場合、ヒアリングの際に各部門で10~15個ほど業務内容やカルチャーが出てきました。全ての項目に対して当てはまる人物を採用することは難しいため、それぞれの項目を
MUST要件(絶対に満たしておくべき採用基準の要件)
WANT要件(できれば満たしておくことが望ましい要件)
考慮対象外(入社後に身に付(く)けば良い要件)
に分け、求人票の必須要件にはMUST要件、歓迎要件にはWANT要件を記載しました。また、候補者から聞かれることの多い「求める人物像」は各部門のMUST要件から共通項を抽出して作成しました。
就職活動をしていた頃に、「求める人物像」ってなんだか漠然としていて、よくわからないと思ったこともありましたが、自分で作成してみてこういう原因があるんですねと感じた次第です。(企業ごとに策定の方法は異なると思いますし、わかりやすい内容を掲げていたケースもあるので一概には言えませんが…)
中途採用にも共通する項目もあるため、ヒアリングについては定期的に行なっていく予定です。
3.選考フローの決定
選考フローは説明会に参加した方を対象に
エントリーシート提出&適性検査受験
カジュアル面談
1次面接
2次面接
最終面接
としました。比較的オーソドックス(?)なスタイルを採りましたが、母集団の規模や工数・コストのコントロールを意図するとガラッと変わってくると感じたのが選考フローなのかなと思います。
たとえば、適性検査は受験ごとに費用が発生するタイプのものを採用していたので、無駄なコストを抑えるのであれば1次面接後通過者のみに案内しても良かったと思いました。(初年度はデータ収集も兼ねていたので序盤に配置しました。)
母集団が少なかったということもあって、1次面接までは不採用にせず候補者と接触する機会を作っていました。2025卒以降は母集団の増加も見込まれているので、エントリーシートの内容が明らかに自社とミスマッチを起こしていた場合や、公開している情報のレベルに留まる質問をされる方に対しては早期に採らない選択をしていこうと考えております。(ただ、この基準を社会人経験のない新卒採用に厳格に適用すると厳し過ぎる場合もあると思うので、柔軟に対応していきたいです。)
上記の内容を考慮して、フローを組み直すと以下のようになりました。
カジュアル面談
エントリーシート提出
1次面接(通過者に適性検査受験案内)
2次面接
最終面接
今年の選考では候補者に選考結果を伝えるまでに時間がかかり過ぎてしまったという反省もあります。就職活動をしている学生の1週間と社会人の1週間は体感時間が全然違うと思うんですよね。そういったことも認識したうえで、可能な限りスピード感のある選考をしたいです。
4.採用ページの作成
以前受けたセミナーに登壇された方が「採用で負けなければ、効果的な採用ページは作れない」とおっしゃっていました。必ずしも負けることはないですが、ターゲットを明確化したうえで作成の方向性を決めていく必要はあると思います。
自社の場合は初年度はターゲットが明確化できていなかったということや、ホームページの作成を外注している関係で、工数やコスト面も考慮したうえでナビサイトへの動線の確保と求人票の掲載のみを目的としました。ナビサイトでは募集していても会社ホームページでは採用している気配が全くない会社って候補者側からするとなんだか不安になりますよね。
そこで初年度ではないよりはマシな状態にしつつ、今後どのような状態にも振れるレベルに留めました。よくできている他社のページを見ていると憧れますし、やはり魅力的なページは候補者の魅力付けの要因にもなると思います。少しずつ力を入れて行きたいです。
5.採用案内の作成
こちらもターゲット層が明確化できておらず、自社の魅力の整理ができていない状況があったので、私が自作しました。外注しようと思えばできたのですが、「初年度から本当に作りたいものが作れるか」はわからず、言語化し切れていない魅力をベースに採用案内を作るのは勿体無いと思っていました。
それでも候補者の手元に残るものを作りたいという思いはあったので、「こうなったらなんでもやってやるぞ!」と手作り。大学訪問の際の持ち込み資料として、採用案内があるのとないのでは大違いですし、対面でのイベントや説明会においても、手渡せるメインの資料があるとやはり心強いです。
「これ、私が自作したんです」というとキャリアセンターの担当者の方からも大体ポジティブな反応をいただけました。作り手の顔が見える野菜みたいな感覚を与えられるのかもしれません(?)
採用案内についても、経験を重ねていくうちにどういうものが作りたいか見えてくると思いますし、やはり「餅は餅屋」なのでいずれは外注化したいなとも思います。当面は初年度に作成したものを微修正しながら使い続けていく予定です。
余談ですが、旅行情報誌の『るるぶ』が会社案内の制作もされているそうですね。個人的にめちゃくちゃ面白いなー!と思います。
6.大学訪問
自社の近くの大学を何校か訪問しました。目的は母集団の形成です。現在、四半期〜半期に1回のペースで定期的に訪問させていただいております。
「できることなら大手企業の採用実績を作りたい」「実績よりもひとりひとりに合う企業を紹介したい」など方向性は様々ですが、お話を聞いていくなかで「学生の支援に対してここまでされているんだ!」とキャリアセンターの皆さまのやり込み量や思いに胸を打たれる瞬間もあり、訪問のたびに自社の採用制度の整備はもちろんのこと、人事としてより良い会社作りをしていかなければいけないなと背筋が伸びる思いがします。
学内説明会へのお誘いや企業推薦など、採用においてインパクトの大きなお話をいただく機会もあり、採用担当者としてはありがたい限りです。引き続き、ご縁を大切にしてより良い関係性構築ができたらなと思います。
ちなみに私は大学訪問の後、利用可能であれば学食でお昼をいただくことが多いです。大学卒業から何年経っても学食にはワクワクしちゃいます。
7.合同説明会の参加
自社が所属している組織が合同説明会を主催しており、お付き合いも兼ねて初の合説としてそちらに参加しました。「母集団を増やしつつ、会社として学生に接触したという経験を作ること」が主な目的でした。(全く接点がないまま、説明会を開くのはなんだか不安でした。)
合同説明会はイベントとしてのパワー(集客人数など)がどれくらいあるのかが大事ですが、それと同じくらい下記の内容がポイントになるのかなと思います。
どのターゲット層に向けてデザインされたイベントなのか。
学年の指定はあるのか(即勧誘対象になるのか、プール前提なのか)
学部学科の指定はあるのか。
いちばん最初の条件が、下2つの条件を含んでいる気もしますが、結局「このイベントって誰向けなの?」ということが曖昧だと、ブースを出していても集客できなかったり、ターゲット層の候補者があまり会場に来ていないといった事態の発生が想定されます。
上記のイベントは志望業界も学年もバラバラで、(自社にとって)イベントの相性はイマイチという感じ。しかし、そこで出会った学生が結果的に入社することになり、どこでどういう縁が生まれるかわからないなという気持ちにもなりました。
自社の場合、保険業ではありますが、金融系の学生というよりも福祉を学んできた学生をターゲット層として「障害のある方を保険の面からサポートできるお仕事をしませんか」といったアプローチをした方が上手くいくと考えているので、「福祉の学びを目の前の方の支援ではなく、別の角度から活かせる仕事に就きたい」と考えれられている方が多く集まるイベントに参加したいです。
調べた限りこういうイベントはなかったので、「ないなら作ってしまえば良いのでは…?」と最近考えております。数年後にはそれらしきイベントを開催しているかもしれません。
終わりに
(説明会については別の記事で書きたいと思いつつ)細々したことを除くと取り組んだ内容は大きく7つにまとまりました。こうしてみると生き生きと書いている項目とそうでない項目がはっきりと分かれている気がしますね。
これまでやってきたことを書き出してみると、「ここについて考え切れていなかったな」「こうすれば良かったな」と気付くポイントもありアウトプットの重要性を感じます。完全に自分の振り返りのための記事ですが、どこかで誰かの役に少しでも立つことがあったら嬉しいなーと思います。
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