キンプンで出逢った少女と、メガネに込められた想い
「プレゼント、プレゼント!」
ミャンマーの旧首都ヤンゴンから北東約180km、ゴールデンロックのある麓の町「キンプン」にて1人の少女に出逢った。
矢庭に差し出してきたのは、竹と針金で作られたメガネの玩具。
「自分で作ったの?」
そう問いかけると、少女は静かに、そして得意げに頷いた。
なぜ彼女は無料で差し出したのだろう?
ヤンゴンへと帰るバスの中で、
日本へ帰る飛行機の中で、
そして旅が終わった今(いま)も潜思するが、納得のいく「答え」は出てこない。
全く売れず、半ばメガネを売ることを諦めたから?
ただ純粋に、僕たちを喜ばせたかったから?
あるいはもっと高尚かつ、シンプルな心の内だったのかもしれない。
その時に抱いた合点のいかない感情は、このメガネを見る度に思い出すだろう。しかしそれは決してネガティブなものではなく、どこか優しくあたたかい疑問だ。
ファインダー越しに見えた、あどけなく透き通った笑顔。
薄暗い空間で撮られた使い捨てカメラには
不鮮明ながらも、あたたかく優しい笑顔が見られる。
-End-
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