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【Facebookから読み解く】興味と関心を引いた竹原市の観光スポットまとめ(タイランド編)

香港・台湾編に続くSNSマーケティング分析だが、重点ターゲット国であるタイランドのFacebookアカウントが開始されたのは、1か月早い6月6日で、本格的に投稿が始まったのが7月に入ってからとなる。こちらも週2回ペースで投稿を続けて2024年3月までに70件の投稿と情報発信を行った。


タイ市場向けのプロモーション活動

-タイ市場の日本行き旅行市場動向

台湾は広島空港への直行便が、香港は高松空港や福岡空港などへの直行便が就航しているが、タイ発は福岡、関空への直行便の利用度が多い。よって、ある程度の日程が組める周遊型か横断型での広島訪問となる。台湾や香港ほどフライトの着地が多いわけではないため、主要観光都市に集中しがちだが、現地の旅行会社からは意外と周遊や横断型の旅行に応募することが多いとのこと。台湾や香港と比べるとまだまだ個人旅行の層はまだまだで、添乗員付き募集型企画旅行に申し込みされる高所得者層が主力で、少しづつオーダーメードツアーも増えている状況だ。
旅行会社のツアーを申し込む層が多い中、竹原観光の情報発信と認知度向上は至上命題である。ツアー造成する現地旅行会社とのパイプや企画担当者へのコンテンツ提供、セールスプロモーションの比重は大きくなる。

バンコクTITF出展の様子

-TITF(タイ国際旅行博)出展と現地営業での情報収集

5月22日(水)現在でのフォロワー数は、3380人。台湾・香港市場向けのアカウントが4200人ほどなので8割ほどになる。TITFでオーガニックフォロワー獲得数は、3日間で1000人を超えた。訪日インバウンドコンサルタントからは500人に登録いただければ御の字とのことで、4日間あった台湾での旅行博には至らなかったが3日間だったのでまずまずの獲得数だったといえる。ブースに訪問された際にお伺いすると、中国地方や広島県へはまだ訪問したことがない方が大半の中、絶大な日本アニメファンがたまゆらの聖地として竹原市に訪問したことがあると熱く語っていただいた方もいた。竹原市の売りである日本酒に関しては、台湾同様にあまり興味の度合いは高くなく新しいディスティネーションとしての訪問価値があるかどうかへの情報集めが主体と感じた。続いて、現地旅行会社での営業で得た気づきについて振り返りたい。

バンコクにて現地旅行会社と協議

-現地旅行会社への営業と情報収集

Facebookタイ語アカウントのフォロワー数が3000人を超える割に、各投稿のリーチ数が繁体字版と比べるとさほどではないのは、現地旅行会社の営業で感じた「知名度のなさ」に直結しているのではないか。と感じた。香港・台湾市場と違って、タイの広島県への認知度はまだまだ低く、造成担当とはツアーのルート作りで少々困ってる様子だった。まだまだ募集型企画旅行が主流のタイでは、旅行会社側の情報力と顧客への説明力がモノを言う。Facebook向けの情報発信はもとより、旅行会社向けの情報発信も重要。また、団体向けのレストランやアクティビティなど受け入れ態勢充実化などで、送客しやすい態勢づくりも市内事業者と協力する必要がある。

-バンコク発ツアー商品化と現地斡旋

活動が実ったのか、バンコクでの営業前からある旅行会社で商品化が決定し、竹原市に立ち寄るプランの販売が始まった。
こちらの旅行会社(PKG Journey)では、日本向けツアー参加者向けにリピーター対策として打ち出したところ、3月初旬のツアーが催行確定となった。竹原市の観光名所をバーナーのトップ扱いで掲載いただいているのもうれしい。担当者に聞くと、タイの旅行業界も競争がし烈でリピーターの確保が明暗を分けるようで、顧客も新しいディスティネーションについては非常に興味を持ってくれるそうだ。東京、関西、北海道の主要観光都市から別の観光地にも少しづつ広がりを見せている。
設定いただいたツアーは、福岡イン大阪アウトで、山口県湯田温泉、竹原市湯坂温泉郷、神戸市、大阪市の7日間。温泉2都市2泊も入っていて宿泊に温泉旅館は必須、半分くらいは温泉に入るとのアドバイスだったが、実際に賀茂川荘でお会いした添乗員さんからはお客様全員温泉に入られるとのことで、一昔前とはだいぶ様相が変わった。

造成販売いただいた現地旅行会社との打ち合わせ

リピーター向けの特徴としては、広島県内二大観光地の”宮島”&”平和公園”に替わって”竹原町並み保存地区”と”大久野島”に訪問するパターンで、竹原市内の温泉宿にも泊まれることもおススメの理由だそうだ。
3月に実際に竹原に来ていただいたお客様に来訪動機を直接お聞きしたところ、家族や同行者がウサギの島と町並み保存地区に興味をもって、他にはない訪問地に行ってみたかったとのこと。日本への訪問回数も全員複数回で広島県は初めての方も再来訪の方もいらっしゃった。竹原市のイメージについては、町並み保存地区は静粛な雰囲気、逆ににぎわってないところが気に入った、大久野島は、たくさんのウサギに会えて満足という意見だ。まずまずの満足度だったことがわかったが、今後の課題も浮き彫りになった。

-浮き彫りになった今後の課題

  • 町並み保存地区のお店が夕方くらいで店じまいする

  • 大久野島に向かうフェリーチケットの事前予約ができない

  • 団体を受け入れることのできるレストランのバリエーションが少ない

事業者側の事情で改善できていない部分もあるが、DX化などの提案で固定費の圧縮などに貢献できるアドバイスなどもDMOには必要、観光客が気持ちよく再訪できるような魅力あるコンテンツも提供しなければならない。
レストランに関しては竹原市は大きな弱みでもある。訪日インバウンド他国内も含めて団体ツアーを受け入れできるレストランが少ない。訪日インバウンドに慣れた倉敷市内や広島市内レストランへの団体送客が主流で、時間の限られた団体行動ではスピードも重要でサービスも満足できるものを提供されている。既存の事業者の受け入れ態勢の強化や新規事業者の受け入れなども取り組む必要がある。また、事前に指摘を受けたのは、団体ツアーの食事は質より量を重視したいとのこと。タビマエではフォトジェニック的な興味が高いが実際は多種多様な食をたくさん食べられることが一番喜ばれツアーの満足度は段違いに良くなるそうだ。

タイからの観光客

Facebookタイ語アカウントからみる傾向

-タイ市場でのリーチ数分析

本題のタイ語Facebookについてだが、先述の通りフォロワー数は、3300人を超えた。リーチ数上位10件の投稿について列記する。
(%はエンゲージメント率)

  1. TITF(タイ旅行博)出展について(出展中)  19%

  2. 竹原観光総合案内  20%

  3. ホテル大広苑  3%

  4. 大久野島情報  28%

  5. 旧笠井邸  5%

  6. TITF(タイ旅行博)出展案内(出展前)  7%

  7. カフェ根古屋  8%

  8. バンブー公園お花見情報  6%

  9. 的場海水浴場  15%

  10. 竹鶴政孝&リタ銅像  10%

台湾・香港版とは異なり、特別に大久野島関連投稿が目立つわけではないが、大久野島情報については、エンゲージメント率28%と遜色のない結果となった。3.ホテル大広苑、5.旧笠井邸についてエンゲージ率が低いのは1.TITF(タイ旅行博出展)についての前後で投稿したためリーチ数が伸びたのではと考えられる。次に、大久野島関連のエンゲージメント率をみてみたい。

竹鶴政孝&リタ銅像

-大久野島関連のエンゲージメント率

  • 休暇村大久野島 レストラン&カフェ ウサンチュ  12%

  • 忠海港 20%

  • かぐや姫号 13%

大久野島関連のエンゲージメントは10%を超えた結果となった。
香港・台湾市場と同じく投稿に興味が高いことがうかがえる。今後は、大久野島以外の観光スポットでのリーチ数の獲得とエンゲージメント率上昇のための仕掛けが必要となる。

-その他エンゲージメント率10%以上の投稿

大久野島関連以外でエンゲージメント率が思ったより高かったものをいくつか挙げたい。

  • 的場海水浴場  15%

  • 竹鶴政孝&リタ銅像  10%

  • 照蓮寺  10%

  • 黒滝山の初日の出  10%

  • カフェカンティーンパリジェンヌ  10%

  • 農家レストラン西野 11%

  • 竹原港 11%

10%超えの飲食店もいくつかあるわけだが、データから見ると食に強くこだわっている様子はなくどちらかというとフォトジェニック的なスポットでエンゲージメント率が上がっているようだ。リストに入った2軒の飲食店は農民家をカフェやレストランに改装している雰囲気がタイ人にあっているのかもしれない。

農家レストラン西野

タイ語アカウントからみた傾向と対策、まとめ

個人旅行の比率が高い香港・台湾市場と団体ツアーが主流のタイ市場では、傾向が変わっていることがわかる。各事業者が国ごとに対策や受け入れ態勢を変えることはなかなかハードルが高くなるが、ある程度の傾向は理解しながらDMO側もアドバイスや伴走できるようにしたい。
訪日インバウンドでは、各現地旅行会社から送客しやすい環境づくりが大切。情報発信も気持ちよく訪問できることを中心に投稿を目指す。

-タイ市場向けレストラン対策

  • 忠海、竹原市中心部に近い団体を受け入れられるレストラン開発

  • 大型バスが駐車、停車できるスペース

  • タビマエではフォトジェニック的な写真や動画のPR

  • メニューは質より量、バラエティさを

  • 古民家活用のカフェについての情報発信

-大久野島対策

  • 団体向けフェリーチケットの事前予約

  • うさぎ以外の観光素材を発信

  • オーバーツーリズム対策で平日への訪問を誘導

  • 忠海地区での観光消費額増対策

受入態勢の改善は容易ではないが、前に進むことによって訪日インバウンド客も増え、広い情報発信は滞在マナーも改善され、周知される。市内事業者の皆様にご理解をいただきたながら、今後もSNSの活用を有用に内外ともに進めたい。