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今の鹿島に思っていること

20点。

これが今季の鹿島の出来に点数をつけるとしたら、自分がつける点数だ。普通でいったら赤点である。無理もない、「とにかく勝ちたい」でスタートしたシーズンで引き続きの無冠が確定、しかも監督交代してから2勝しかしていない。これで評価するポイントは正直ないに等しい。監督交代だって自分たちが招いた結果であったわけだし。

これで天皇杯を優勝できていたら、まだ及第点は与えられたが、準決勝であっさりと敗戦。もっとも、負け方としたらそんなに悪いものでもないのだが、カップ戦は一発勝負だし、結果がなによりモノを言う場所である。一発に沈み、それを最後まで挽回できなかったのだから、もはやそれ以上どうこう言うものでもない。

信頼できないわけ

もちろん、岩政監督が新たなチャレンジをしていることはわかっているし、それが上手くいけば来季に結果となって現れるかもしれない。ただ、私は正直そこにそれほどの期待はできない。それなりのものになるのかもしれないけど、それで勝ち続けられるほどJリーグは甘いものじゃないだろうと。乗り越えるにはトライ&エラーの最中でエラーを徹底的に突いてくるであろうライバルからの攻撃を上手くかわしながら、勝点を積み重ねていかなければならない。

これは岩政監督のせいではないと言っておきたいが、私はこの部分が今の鹿島にあまり信頼をしていない部分である。なぜならこのチャレンジは鹿島にとって初めてではなく、ここ数年鹿島はずっとこのチャレンジをしてその度に失敗しているからである。石井さんを切って、大岩さんで限界を感じて、ザーゴを呼んでは上手くいかず、相馬さんでも上手くいかず、ヴァイラーでもダメだった。そんなクラブが「チャレンジするんで、見守っていてください」と言っても、それを鵜呑みにして信頼しろというのは無理がある。今までの監督からの継続性もあまりないし。ましてや、今の監督はプロでは初の監督業だ。そのチャレンジに懸けるにはあまりにも博打としては分が悪すぎるのだ。

説得力の弱さ

そのチャレンジが間違っていないことを証明するには、ピッチの上で多少なりともそれを見せるしかないのだが、今の鹿島はその見せる力も弱い。結果が出ていないこともそうだが、内容もあまりよろしくないからだ。

その原因はこの前にロニーさんが触れていたように「基本的なスキル」をより求められるようになったからだろう。ボールを保持するスキル、相手からチームとして効率よくボールを奪い、ゴールを守るスキル、そうした今まであまり重視されてこなかった部分に目を向けて、そこで勝とうとしているのだから、それは中々に難しい。だからこそ、今のピッチ上が実験ラボの場になっているのだろう。スキルの成長とそのスキルがいかに効率よく発揮できるかを試す、今の鹿島はリーグ戦においてはそうした目的で試合をしているように見える。

だが、それは勝つことが求められていて、勝つことを何よりも重要視しているチームがやっていていいことなのだろうか。今のチームは勉強で言うなら義務教育でやっておくべき分野を取り組んでいるようなものであり、そこの習熟度すらかなり怪しい段階だ。そんな状況で、発展的な分野をやっている他のチームからしたら、練習問題をやっている鹿島のエラーを突くことはそんな難しい話ではない。結果が出ないのも無理はない。育成年代に求めるのならわかるが、プロの選手に今それを求めている間にもリーグ戦は続いていく。今季は前半戦の貯金があったからいいものの、今季の後半戦だけの勝点数を換算すると鹿島の順位は14位。立派に残留争いを繰り広げている順位だ。このペースで来季もやっていたら、間違いなく降格の危機は現実味を帯びてきてしまうだろう。

では、そうした部分があらかじめできている選手を揃えればいい。そのために補強すべき、となるのは確かにそうだ。だが、夏場に上田綺世が出ていったにも関わらず、その穴埋めを最後までできそうにないフロントにその期待をするのはあまり現実的ではないと思っている。代わりに取ってきたストライカーは合流が遅れただけでなく、今だにノーゴール、しかも直近はメンバーにすら入れていないのだから。おそらく、今の鹿島はお金もそこまでないし、クラブとしてのブランド力も落ちているから、競争力で他クラブより優位に立てないのだろう。動いていても断られているケースは少なくなさそうだ。その状況で満足いく補強が実現する可能性はあまり現実的とは言えないと考えてしまうのだ。

裏切ってほしい

今の鹿島は意志が弱い。どんなサッカーをやりたいかは監督に丸投げのように見えるし、それを支える下準備も充分にできていない。結果が出る出ないは水物だから一万歩譲って仕方ないのかもしれないが、結果が出るようになんか上手くいけばいいな、という鹿島のクラブとしての意志の弱さにこちらとしてはものすごく不満を感じてしまう。

まず、クラブに見せてほしいのはこの部分だ。こういうサッカーができていれば勝てるはずだから、こういうサッカーをやって勝ちにいきます、なのでこういう監督や選手を揃えます、と。この意志の強さこそがクラブの新たな評価軸となる。ピッチ上でそうした部分がどこまで表現できているのか、それがどこまでスコアに結びつけられるのか、ここを見せられないとモヤモヤは改善されないだろう。頑張っているから見守って応援してくれ、だけで応援し続けられるほどサポーターも我慢強い人種ではない。不満のある今のうちにこの部分を解決できなければ、黙って離れてしまっていった時にはもう手遅れなのだ。

ここまで散々ネガティブなことを書いたが、私はこのネガティブな予想を鹿島にいい意味で裏切ってほしいのだ。サッカーは予想もしないプレーから予想もしないゴールが生まれて予想もしない勝利が生まれる、スポーツの中でも最も不確実性の強いスポーツであり、そこが魅力でもある。普通なら、今季のエヴェラウドのあんなオーバーヘッドは生まれないけど、それが生まれるのがサッカーなのだ。だから、鹿島にはこんな私のチンケな予想に留まってしまうチームにはなってほしくない。是非とも予想を覆す出来を、結果を見せて、私の予想がいかに低俗なものだったか謝らせるようなものを見せてほしい。私が願っているのはその一点だ。


遠征費とスタグル代に充てるので、恵んでください