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今の鹿島アントラーズが、弱い。

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▼以下本文
2022年後半の鹿島アントラーズが弱い。もう本当に弱い。

何が悪いのか、何が足りてないのか、文章では書ききれないほどに弱い。私もネガティブな文章は書きたくないので、ピッチ上のポジティブな部分を拾い集めたいのだが、その作業が本当に難しいくらい弱い。

しかし「弱い弱い」と言うだけではブログを書く意味がないので、今の私の見立てを言葉にしておこうと思う。

なぜ弱いのか

最近考えているのは「なぜ岩政さんに替わってからの鹿島には特に弱さを感じるのか」である。

レネヴァイラーの最後の数試合の鹿島も今と同じくらい勝てなかったが、あの時の方がまだ弱さを感じなかった。

それはなぜか。レネヴァイラーはこのチームの選手にできる事をさせていたし、このチームの選手にできない事は要求しなかった。それに対する選手評価の軸もブレなかった。

核心的に言い換えるなら、レネヴァイラーは鹿島の選手の「弱さ」を隠した戦い方を選択していた。できない事はやらせない、できない選手は試合に出さない事によって、このチームに潜む「弱さ」がなるべく露呈しないようにしていた。

決して面白いサッカーではないが、今の鹿島に出来る事を忠実に実行して、そのレベルをもっと上げるよう要求していた事が分かる。

選手からの評判は良くなかったかもしれないが、プロなのでそれはどうでもいい。少なくとも私は彼はまずまず良い仕事をしていたと思う。
ベストは求めないが、現状のチーム・スカッドにおけるベターな戦略を取り続ける監督のように見えた。

岩政さんに替わってからのチームを見た今になってようやく、私はその事を理解できた。

弱さを見せるようになった岩政鹿島

そして現在。岩政監督になってからの鹿島は「弱さ」を見せるようになった。

今まで試みていなかった事(ボールをある程度保持する事やゲームを自分たちで支配する事)にチャレンジする事によって、「基本的なスキル」をピッチの上で見せなければいけない場面が増えた。

「基本的なスキル」とは、ボールを持った時の体の向きであり、止める蹴るであり、運ぶドリブルであり、カバーシャドウからプレスを受けた時のパスコースの作り方やパスの選び方であり、ゾーンディフェンスであり、スペース管理の意識であり……ボールを持つ・持たないに関わらずゲームを主体的に進めていこうとするチームに求められるあらゆる基本の動き。

この基本が鹿島の選手はJ1の中でも高いレベルにはない。岩政監督になってからの鹿島を見ればそれは明らかだ。
慣れればある程度はアジャスト出来るだろうが、現時点のスキルは決して高いとは言えない。

しかしこれは選手たちを責めるような話でもない。

今の選手たちの多くは基本的なスキルに口を出す監督のもとでプレーしていないし、あまり要求されてこなかったのだと思う。強化部も選手獲得の時点でそのようなスキルを重視してこなかったのは明白である。いわば「そりゃいきなり出来るようなチームではないよね」というチーム状態だと思う。

鹿島というクラブが軽視し続けてきたスキルを必要とする戦い方を選択しているのが、今の鹿島なのである。

ゆえに今の鹿島は「弱さ」が露骨にピッチ上に表れている。その弱さをレネは隠そうとしていたが、岩政さんはむしろ剥き出しにしている。出来ない事を隠すのではなく、出来ると信じチャレンジしているのである。
そのチャレンジを繰り返した上で「圧倒的なフットボールを見せよう」と志しているのが今のチームだと理解している。

岩政さんが見てる景色は、弱さを隠したままの状態では到達できないという事なのだろうと思う。だからこそ今は弱さが剥き出しになっていて、実際のところ弱い。

岩政さんは「常勝の看板は下ろしていい」と選手たちに伝えたそうだが、今のチーム状態においては確かにそのような伝え方は適当かもしれない。
そのように伝えないと選手たちのメンタルが持たないような状況である。

鹿島は育てるチームなのか

その上で、私が最もムズ痒い部分は「鹿島は育てるチームなのか」という事。

私は「トップチームの選手の基本的なスキル向上」に時間を費やすのはあまり合理的でないと思っている。それを悠長に待っていたら相当な時間がかかる上に成果が出るかは分からない。
このチームはアマチュア社会人サッカーチームではない。

しかし鹿島は岩政さんに全てを委ねてそれをやろうとしているようにも見える。(もちろんユースや育成組織、若手選手に対する時間の投資は存分にやってほしい)

本気で新しい鹿島を作るなら、選手編成においても大きな変革が必要だと思う。
ベースの出来てない中堅〜ベテラン選手の成長の場を作ってあげるのは、申し訳ないが鹿島アントラーズがやる事ではない。

戦略性こそが不安

そして勝つ事も育てる事も全て新米監督の岩政さんの手腕に委ねているように見える戦略にこそ強い疑問がある。

このクラブが持つフットボール面の戦略や一貫性が、岩政さんの言葉以外からは一切見えてこない。

過去のノウハウを破り捨てて自ら地図を作る覚悟が無いまま車を走らせ、今は目的地の設定から運転とナビまでを新米ドライバーの岩政さんに任せているように感じる。

ゆえに「新しい鹿島」という岩政さん発信の言葉にも、あまり説得力が無い。
本来その旗を真っ先に立てるのは緊急登板した監督ではなく、ひとつ上のレイヤーの、編成の権限を持つ立場の人のはずだからだ。
その状態で「よし、新しい鹿島だ!」となるほど、サポーターは馬鹿ではない。

フロントを含めたチームの戦略の弱さを、レジェンドの岩政さんに押し付ける光景を私は見たくない。過去にその光景を何度も見ているだけに、今回は本当にそのように感じる。

岩政さんがよほどの天才ナビゲーターでありドライバーでない限り、良くない事故が起こってしまうのではないかと思う。

もし事故が起きたとして、果たしてそれは岩政さんの問題なのだろうか。

このままでは「新しい鹿島」も岩政さんの頭の中のイメージのまま終了の時を迎えてしまうのではないかという不安もある。
岩政さんはおそらく言い訳をせずに仕事をすると思うので、せめて私のような人間が今のうちからフロントの戦略の弱さを批判したい。

ピッチ上でチームが見せている「フットボール面の弱さ」もそうだが、チームを導くはずの強化部の「戦略の弱さ」こそが何より不安だ。

今の鹿島の弱さの根源は選手でも監督でもなく、そこにある気がしている。

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