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鹿島よ、挑戦せよ

不安の募る船出

2023シーズン開幕前、鹿島アントラーズのチーム状態はハッキリ言って、かなりよろしくない。

シーズン前の練習試合の結果なんてアテにならないと言ってしまってはそうなのだが、PSM含めてJ2勢にトータルで1勝4敗なのは決して喜ばしいものではないし、何よりその内容も充実したものとは言えないとなると、不安要素は募っていくばかりだ。

また、ただでさえチームとして若い、ケガ人も出ていることを考慮しても、選手層としてはまずまず整っている中でこの状態なのは問題だろう。過去のシーズンでもこうした状況の中で開幕を迎えたこともあったが、その時にはネックになる状況だったり、未知数な部分がかなり強かった。大型補強を敢行して陣容を充実させて臨むはずの今季とは、その部分で違いがあるし、そこが余計に懸念を深めてしまっている。

リアリストにならざるを得ない脆さ

さらに気になるのが、ここのところの鹿島がやっているサッカーは、岩政監督の言う「新しい鹿島を作る」の路線の上でやっていることなのか?、ということである。キャンプで連敗を重ねた段階でシステムをやり慣れた4-4-2に変更、東京V戦や水戸戦ではボール保持はそこまで意識せず、シンプルに縦に入れて手数をかけずに個々の力でゴールに迫る攻撃が目立っていた。正直、そこに昨季終盤から取り組んでいた立ち位置を意識しながら、ボールを保持しつつ、ゲームも支配していくようなスタイルへの挑戦の姿勢はあまり見られない。むしろ、ここ最近見られていたいつもの姿に戻ったな、という感さえある。

最も、そうした選択をせざるを得ない岩政監督の心中も察することができる。今のチームはそれくらいに脆いのだ。2年間で3回監督を変え、すっかり常勝軍団の面影を失いつつある、今の鹿島は上手くいかない中でも耐えながらいつか成功するその日までチャレンジを続けていく胆力はない。そんな状況を知っているからこそ、下手にチャレンジ継続を押し通すと、チームとしてのモチベーションの火まで消えてしまいかねない。そうなったら、どんなスタイルでもそもそも勝てない。そのリスクを恐れているからこそ、リアリストになるしかないのだ。

岩政大樹に託す意義

ただ、それでは監督を岩政大樹に託している意義はなんなのだろうか。今の戦力を抱えて、最も仕込みやすいシンプルな形で目の前の試合を勝ちにいく、というタスクを託すなら、それは監督未経験の理論派のクラブOBが適任とは言えないはずだ。痛みを負ってでも、共に歩みを進め、再び常勝軍団に返り咲くために、新たなスタイルの鹿島を作っていく。そのミッションを困難なことは承知の上で、託したのではなかったのか。

ここの本筋がブレてくると、そもそもこれまでの文脈や、痛みを共に抱えながらも今の鹿島に投資していく意義というのが失われかねない。我々はただただOBに人柱になってほしいわけではないし、このままここ数年と同じループに陥っていくのを受け入れることはできない。新しい鹿島を作る、その延長線上にまた栄光を手に入れる。その意義があるからこそ、鹿島アントラーズと岩政大樹に投資しているわけである。

勝って、挑め

そうは言っても、開幕戦で鹿島がここ数週間やってきたことを大きく変えることは難しいだろう。この状況でやることをコロコロ変えるのは、チームにとってリスクでしかない。拠り所が少ない中で、自分たちのやってきたことを信じる、というのは一つの柱になってくれるからであり、何より今の鹿島に一番必要なのは、今のチームはとにかく俺たちはやれる、という自信である。その自信がなければ、シーズンを戦い抜くことがそもそもできないからだ。そして、その自信への飢えを解消するには、勝つしかないのだ。

だからこそ、鹿島には開幕から勝ってほしい。勝てば自信を掴むことができるし、それがチャレンジへの原動力になる。そうしてまたチャレンジのサイクルを回すことができれば、それこそが今の鹿島に投資している意義になるし、その先に目指すものが見えてくるからだ。

鹿島よ、挑戦せよ。勝利に、未来に。自信を掴むため、目標を果たすために。

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