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鈴木優磨と上田綺世を比べてみた

鈴木優磨のプレーデータ(キャリアハイの数字を残した2018シーズン)

上田綺世のプレーデータ(2021シーズン)

両者に共通する点

ストライカーには2パターンいると、個人的に思っている。スキがあれば形は構わらずどこからでも狙っていくタイプと、あまりシュートを乱発せずに出来るだけ自分の得意な形に持ち込もうとするタイプだ。前者は鹿島にいたストライカーで言えば、マルキーニョスや大迫勇也、エヴェラウドが挙げられる。鈴木優磨や上田綺世に関して言えば、後者のタイプだ。彼らはシュートレンジをあまり広げない分、自分の得意な間合いに持ち込めばとことん強いし、そのための努力は決して怠らない。

彼らのシュートレンジは基本的にゴール前、ペナルティエリアの中だ。だが、その中でも両者が得意としているプレーには微妙に差がある。その部分をこれから比較して紹介していこうと思う。

シュート

この部分では上田綺世の方に軍配が上がる。過去のシュート決定率やシュートレンジの広さを比較した結果だ。上田綺世の方がシュートが上手いし、シュートレンジの幅も広い。

上田綺世が大きいのはシュート力が強烈で、ミドルシュートもあるということだ。コンパクトな振りでボールはピンポン球のように飛んでいく。アウェイ清水戦のように安直にフリーにしていると、ゴールから距離があっても一発で仕留められる。

クロスへの入り方

これに関しては鈴木優磨の方が上だ。特に、ニアに入り込んで相手の前でボールを触ったり、相手から上手く逃げてフリーでシュートを放つことは、鈴木優磨が元々得意としていたし、ベルギーで大きく成長した部分だ。今まではエヴェラウドも上田綺世もファーで山なりのボールを待つことが多く、単純に放り込んでも2人のパワーでそれなりにチャンスにはなっていたが、鈴木優磨の加入によってクロスのパターン自体も増えてくるはずだ。

スルーパスからの抜け出し

これに関しては上田綺世が一番得意としているプレーだし、彼は試合中に常にこれを狙っている。上田綺世はこのプレーを引き出すために、プレーの動き直しを怠らないし、味方や相手の動きをよく見ていることが、公式アプリの企画のゴール解説でも伺える。

プレーエリア

プレーエリアは鈴木優磨の方が広い。お互いに、自分の一番得意なゴール前でパワーを使うべく、ペナルティエリアの幅でプレーしようとしている部分はあるが、サイドに流れても色々出来るのは鈴木優磨の方だ。ドリブルで仕掛けることも出来る。

これはおそらく両者の考え方の違いがそうしているように思える。お互いにゴールを最終点に置いているのは同じだが、上田綺世はシュートを打つのが自分になるように持ってくることが多いのに対して、鈴木優磨はシュートを打つのが自分でなくても特に構わないように見える。だから、上田綺世はゴール前で勝負する局面を好んであまりサイドに流れないし、鈴木優磨はサイドに流れてチャンスメイクすることも厭わない。実際、通算のアシスト数は鈴木優磨の方が多いし、ゴール数は上田綺世の方が多い。これはどっちが良い悪いの問題ではなく、お互いに自分のプレースタイルとプレーエリアを上手い具合にチームオーダーと照合させて調整しているが故だろう。

ポストプレー

これに関しては両者甲乙つけがたい。強いて言うなら、力の上田綺世、技の鈴木優磨だろうか。

上田綺世についてはやはりその日本人離れしたフィジカルが活きているケースが多い。相手を背負う時もそうだし、単純な競り合いでもだ。鈴木優磨の方はいかにしたら自分に優位な形でボールキープできるか、どうしたら自分が競り勝てるか、ポジショニングもそうした部分が考えられていることが多い。

守備

これに関しては鈴木優磨の方が上手い。圧倒的に、だ。鈴木優磨が上手いのは首を振って周りと連動しながら、相手の選択肢を限定していく守備。これが出来ると鈴木優磨のところで奪えなくても、後ろからしてみればパスの来るところが絞られているため、奪いやすいシチュエーションになっている。この部分は上田綺世が是非先輩から学んでほしい部分であるし、ハイプレスのサッカーをやるなら尚更だ。

まとめ

これで鹿島にはエヴェラウド、上田綺世、鈴木優磨とJでもトップクラスのストライカーが3人揃うことになった。さらに、ここに有望株の染野唯月もいる。こう考えると、昨季は機能しなかった2トップの導入も現実的なものとなってくるだろう。個人的には結構万能型で周りと合わせられる鈴木優磨を軸に出来れば、昨季のようなことにはならないのではないか、と思っている。ただ、2トップを導入した場合豊富な2列目の駒をどう使っていくのかという問題にぶち当たることになる。特に、昨季中央のポジションで大きな輝きを見せた荒木遼太郎の使い方は重要だ。チームには試行錯誤しながら、なるべく早いうちに最適解を見つけ出してくれることを期待したい。

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