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【2020シーズンレビュー④】鹿島アントラーズ選手別寸評(MF&FW編)

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MF

レオ・シルバ

32試合出場(29試合先発)1得点2アシスト

今季も、あの白い粉振りかけるとこんなに走れるんですね!不思議!ってくらいにはピッチを駆け回っていたボランチ。流石にそろそろ衰えがきてもおかしくないのだが、今季も運動量とボール奪取力は相変わらず。おそらくチーム方針なのだろう、1人でドリブル突破してそのままシュート!とかペナルティエリアの外からガンガンミドルシュート!というのはほぼなくなったが、それでもボールを確実に前進させたり、攻撃のテンポを変えたりと、司令塔的な役割を一番こなせていたのは彼だった。来季もおそらくボランチの一番手のはず。チームとしては、そろそろ彼の後釜探しに本腰入れておいた方がいいんだけど。

永木亮太

31試合出場(12試合先発)0得点0アシスト

今みたいな使い方で永木亮太を扱えるのは贅沢なことだと改めて思う。先発出場こそ多くなかったが、時にボランチ、時にサイドバックとスポット的に穴を埋めてくれ、計算の立つパフォーマンスをしてくれたことは、過密日程の中でありがたいことこの上なかった。来季もスタメンが中々難しい状況で、それでも残ってくれるならもうほんと素晴らしいっす。あと、唯一触れるならセットプレーの精度。おそらくザーゴとしては一番信用を置いていそうなのだけど、それでアシスト0は寂しい限り。来季はガンガン蹴ってハンマーで殴るシーンが見たいです。

ファン・アラーノ

30試合出場(26試合先発)4得点7アシスト

新加入の助っ人としては悪くない成績だし、パフォーマンスだったと思う。チームのアシスト王だしね。ただ、ここでも触れたように最後までどう使っていいのか分からなかった。基本的にテクニックはあるし、キックの質も悪くないのだが、なぜかプレッシャーがかかるとことごとくその質が落ちるし、でもボール失うと異常な速さで取り返しに行くし、ボールとアラーノに磁石入れてんのかってくらいにアラーノはボールに吸い寄せられていくしで、今季の鹿島は変幻自在に動くアラーノをどうサポートしていくかという中盤になっていた。調味料で言うとシンプルな塩コショウではないのは間違いなく、おそらく風味付けで入れる鷹の爪あたりなんだろうけど、今季も来季も鹿島はその鷹の爪をドバドバ入れた料理で勝負することになりそうだ。それはそれで料理にはなっているんだけどね。

土居聖真

31試合出場(26試合先発)6得点3アシスト

今季も2列目と2トップの一角を行ったり来たりしながら、アタッカー陣を支えた。トップ下の時は攻撃のバランスを取りつつ、自らもゴール前に侵入してシュートチャンスに絡むことが出来ていたし、2列目の時は自由に動き回るアラーノとのバランスを取りながら、ドリブルで変化を加えることが出来ていたしで、ここ数年のパフォーマンスの中ではベストだったのではないだろうか。毎年のように「土居がもうちょっと仕掛けられれば!高い位置でプレーさせてあげられれば!」って言ってる気もするけど、クラブからそうさせてやろう感はあまり感じないので、来季もバランス取りながら攻撃の一翼担っていただくほかなさそうである。ご苦労様です。

和泉竜司

27試合出場(20試合先発)3得点2アシスト

フィットに時間はかかったものの、2列目としては走れるし、バランス取れるし、タスクこなしてくれるし、仕掛けられるしで、中々にありがたい存在だった。ただ、3得点は少なすぎると思うレベルでとにかくシュートが中々入らなかった。何故こんな風になってしまったのか、探検隊は八幡山へと…。とにもかくにも、期待値的にはもうちょっと数字が残せるプレイヤーのはずなので、来季はその部分も求めていきたいところ。ケガで終盤離脱してしまったので、また一から定位置争いになりそうだけど。あと、あんだけサイドバックで使われるの嫌がってたのに、ビハインドになると容赦なくサイドバックに回すザーゴにもうちょっと慮ってやれよ…感はある。

三竿健斗

30試合出場(28試合先発)1得点3アシスト

今季はキャプテンに就任。真面目な部分が災いしたのか、序盤戦は何が何でも組み立てるんだ!俺はサリーをやるんだ!で見事にビルドアップを詰まらせていたが、試合を経るにつれて適応。大きな変化は起こせなかったが、攻撃を詰まらせることはなくなったし、守備では嬉々としてボールを刈りまくっていた。あとは、プレーの質を高めていければ代表復帰や海外からも声がかかるだろう。優しい性格なのに、タックルは結構荒いのでカードがかさんでいくのが玉に瑕。来季はその点改善してフル稼働してほしい。

遠藤康

27試合出場(5試合先発)1得点1アシスト

縦に縦に、というザーゴスタイルの中ではある種異質な存在。キープしながら左足で独特のテンポを作り出すそのスタイルは、今季途中出場で重宝された。低い位置からでも左足で結構正確にロングパス出せるので、エヴェラウドがいる今季はそれがより一層活かされることに。裏抜けもやるし、テンポとか考えてなさそうな他のアタッカー陣の交通整理もやっていたので、来季も要所要所でその力を頼ることになりそう。あとはもうちょっと数字を残していただけるとですね…。

荒木遼太郎

26試合出場(7試合先発)2得点3アシスト

異次元が来た。今季見た感想はそれである。一年目の完成度は正直大迫勇也や安部裕葵より上。正確な技術に裏付けされた相手の逆を取れるパスやドリブル、ボールがこぼれてくるところに必ずいる嗅覚、とにもかくにも、攻守においてポジショニングが良いので、ルーキーらしい若気の至りでミスしちゃいました!てへぺろ!っていうのが一切ないのが恐ろしいところ。若者っぽいのはどんどんチャラくなる髪の色くらいである。フィジカルとか左サイドからのカットインが苦手とか課題もあるのだが、そこも本人認識していそうなので温かい目で見守っていきましょう。あとはとにかくケガにだけ気をつけていただければ。

松村優太

13試合出場(0試合先発)0得点1アシスト

選手権優勝を引っ提げて加入したルーキーイヤーは、先発出場こそなかったものの、スーパーサブとして試合に絡んだ。本人的には悔しいかもしれないが、一年目からこれだけやってくれればまずまずだろう。テクニックと抜群のスピードを活かしたドリブルはプロでも十分に通用。最初の頃は相手に寄せられると何もできなくなっていたが、間合いを掴んだのか寄せられることなく自分の良さを活かせるようになってきていた。あとは、シュートやクロスまで持っていってもパワーが足りず、相手にはね返されるシーンが目立ったが、まあその辺は長い目で見ていけばいいのでは。来季はもうちょい試合に絡んで、数字も残せるはずである。

名古新太郎

8試合出場(1試合先発)0得点0アシスト

ルーキーイヤーで順調に出場機会を得ていたのだが、今季は大いに苦しんだ。ボランチにとにかくボールを刈れる選手を優先したことで自身の序列は下がり、2列目には荒木や和泉、アラーノといった新戦力が加わったことで、結局最後まで自分の立ち位置を見つけることが出来なかった。守備もちゃんとやるし、パスセンスもあるし、ドリブルも出来るんだけど、ボランチや2列目のレギュラーと比べるとどうしてもそれぞれのニーズで優先順位を下げられてしまっていたので、器用貧乏に陥ってしまっていた感はあった。良い選手なのは間違いないので、来季は湘南に期限付き移籍となるが頑張って欲しい。あと、湘南でのキャッチフレーズは「家系最強」でお願いします。

小泉慶

22試合出場(21試合先発)1得点1アシスト

広瀬がケガで、内田が引退でいなくなり、どうする!?右サイドバック!?ってなったところに颯爽と現れた俺たちのアニキ。最初の頃は攻撃で上がったはいいけどどうしたらいいの?感が満載だったが、徐々に前のアラーノに自由にやってもらう、隙あらば自分がゴール前に侵入して点取っちゃう、と判断が速くなる&良くなることにより、元々定評のあった守備面と運動量も合わせて、結局シーズン終了まで右サイドバックの一番手として定着した。ボランチでの組み立ては正直かなり微妙なので、来季も基本的に右サイドバックが主戦場となるだろう。攻撃力では広瀬や常本の方が上だが、守備面では小泉の方が上。激しいポジション争いになりそうだ。

白崎凌兵

9試合出場(3試合先発)2得点0アシスト

序盤戦はドリブルで崩せる和泉が優先されたこと、自身が新スタイルにアジャスト出来なかったことで出場機会が巡ってこなかったが、中盤戦になってトップ下やインサイドで出番を得ると、そこで輝きを放った。フィジカルがあって空中戦でも競り勝てるし、ボールキープも出来るのに加え、運動量も多くピッチ上の要所要所に顔を出せるので、攻撃の潤滑油としてチームを活性化させていった。惜しむらくは、ここからチームのワンピースとして機能させられそうなところでケガしてシーズンアウトになってしまったこと。ただ、彼のこのチームでの活かし方は見つけたので、来季は開幕からの輝きに期待したい。

舩橋佑

試合出場なし

ユースから来季トップ昇格が内定しているボランチ。直接プレーを観る機会がほとんどなかったので、どんなプレイヤーか正直把握できていないけど、クラ選見た限り要所要所に顔を出して、前線にボールを繋げるリンクマンタイプのボランチっぽい。ボランチのライバルは多いが、頑張ってほしい。

FW

エヴェラウド

33試合出場(32試合先発)18得点4アシスト

序盤は動けない、点取れない、大技ばっかり狙うと散々だったが、身体が絞れてくると覚醒。最終的に18ゴールと、近年の鹿島のFWの中でもトップレベルの成績を残した新たな大エース。シュートがある程度正確なうえに強烈なのもすごいが、エグいのはフィジカルの強さ。滞空時間長い&打点高いヘディングはもちろん、スピードもあるので前を向いてよーいドンしたらほぼ無双できる強さがある。何よりそういったフィジカル勝負を嫌うどころか、好き好んでバトルを仕掛けていくので、相手にしてみたら嫌なことこの上ないだろう。もうこれだけ貢献してくれたら、来季は彼がいるかいないかで大きく変わってくるので、何としてでも残っていただきたい。ジーコが息子の面倒見てるんだから、養育費は来季のゴールで支払ってくれますよねええええ???????

伊藤翔

14試合出場(3試合先発)1得点1アシスト

昨季はFWの一番手だったが、今季は結果として三番手の扱い。裏抜けは超上手いので、ロングカウンターで昨季は得点を荒稼ぎしたが、今季はFW陣にクロスのターゲットなどとしてよりフィジカルが求められるようになり、その辺でエヴェラウドや上田より優先順位が下がってしまった。フィジカル弱い訳じゃないし、強い部類には入るんだけど、翔さん自身そういう勝負をあんまり望んでいなさそうなので、需要と供給が合っていない感は否めなかった。上田が覚醒しつつあるので、来季も立ち位置的には微妙なことに。もっとチームとして崩しの質を上げるか、彼が今のチームに適応させるかしないと、中々難しいだろう。

染野唯月

12試合出場(3試合先発)0得点2アシスト

ルーキーカルテットの中で一番先にスタメンのチャンスを得たのは彼だった。身体がある程度出来上がっておりフィジカル的な勝負でも戦える、足元の技術も高い、ポジショニングも良い、とあって2列目でもFWでもルーキーイヤーとしては上出来のパフォーマンスを見せてくれた。惜しむらくはゴールが奪えなかったことと、ケガがちだったこと。特に後者においては、後半戦ほとんど稼働できなかったことを考えると、スぺ持ちは克服しておきたいところ。戦えさえ出来れば、荒木とのゴールデンコンビ結成も夢ではない。

上田綺世

26試合出場(10試合先発)10得点1アシスト

終盤戦覚醒した若きストライカー。これまでは裏抜けからのゴール一本勝負だったし、自分のフィジカルコンディションを整えるのにも苦労していたが、身体が出来上がってくると前線で張れるようになり、ゴール以外の貢献度が一気に増すことに。それに比例してパスが出てきたことで、シュートチャンスも増加する好サイクルが出来上がり、自身初の2桁ゴールも達成。シーズン終盤のエヴェラウドとの2トップはJリーグトップクラスのFWコンビとなった。来季はフル稼働して20点取ってほしい。久々に日本のエースが出てきたからな!各クラブは点を取らせて、成長させるように!いいね!?

監督

ザーゴ

開幕4連敗した時にはどうすんねん…感がすごかったが、そのあとチームをちゃんと作って5位にまで持ってきたので、まあ普通ならまずまずと言えるところだろう。ポゼッションとプレッシングの二大巨頭を掲げてスタートしたが、ポゼッションは組み立てのレベルからボールをちゃんと運べるようになったし、プレッシングもハマれば一気呵成に相手ゴールへと迫れる手段として確かなものとなった。ただ、どんな相手でも自分たちのスタイルで押し込めるレベルにはまだ達しておらず、特にプレッシングは3バックのチームが相手だと途端に成功率が下がるので、その辺をどうにかしないと来季タイトルというところに辿り着くのは難しいだろう。個人的には、ザーゴはもっと自分自身のロマンを追いかけたい人だと思っているので、来季はより一層結果が求められる中で、どの程度の折り合いをつけて、やることに優先順位をつけていくのかは気になるところである。あと、内田篤人引退の件とかでも思ったけど超いい人。

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