【映画レビュー】シビル・ウォー アメリカ最後の日:忠実に現実を描くことが非現実性を生む

10月4日(金)、ついに公開された「シビル・ウォー アメリカ最後の日」。公開を待ち望んでいたボクは、さっそく鑑賞してきた。この作品、名作として語り継がれる映画になるだろう。

シビル・ウォーの予告とあらすじ

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(シビル・ウォー アメリカさいごのひ、Civil War、直訳: 内戦)は、アレックス・ガーランド脚本・監督による2024年公開のアメリカ合衆国・イギリスのスリラー映画。19の州が合衆国から離脱しテキサス州とカリフォルニア州からなる「西部勢力」と連邦政府による内戦が勃発した近未来の米国を舞台に、ニューヨークから首都ワシントンD.C.へと向かう4人のジャーナリストを描く

Wikipedia

シビル・ウォーの感想

この映画はドキュメンタリー要素が際立っていた。戦争がなぜ始まるのか、その背景説明はほとんどない。だが、それこそが戦争の現実なのかもしれない。説明がなくとも始まる、それが戦争なのだ。もちろん、責任を持つべき部分はあるが、国民一人一人に納得させる戦争など、存在しないのだろうと改めて感じた。

アメリカの近未来を描いているかのような内容は、実に現実的だ。ガーランド監督がフィクションを愛する人だからこそ、今のフィクションに必要なのは、現実を忠実に描くことだと彼自身が悟ったのではないか、とボクは感じた。

ジャーナリストの立場から、中立的っぽい視点でWF軍と政府軍の争いが描かれていく。ロードムービーのような展開や、ロールプレイングゲームさながらに、キャラクターたちの成長と心情の変化が地理的な移動に伴って進む。

ボクは、最も重要なのは「人命」であり、ジャーナリズムがそれを凌駕することはないと思っている。しかし、この映画のクライマックスは、明確に「ジャーナリズムが人命を超える時もある」というメッセージが感じられた。それがボクにはできないことだからこそ、この映画の力強さに心を打たれた。

そして映画の中盤には、アジア人として観るのが辛いシーンもあった。しかし、それもまた現実の一部だろう。ガーランド監督は、その現実をしっかりと描き切った。

ボクは長いレビューは書かないようにしているので、あと少しだけ書きたいのだが、この映画は久しぶりに映像と音でしっかりと伝えてくれる映画だったと思った。説明しすぎず、抽象性を保存しながら、物語を展開させる。そして重要な場面は、描写、短い対話、音に含まれているんだ。人の想像力を信じてくれている映画だと思って、すごく嬉しくなった。この映画について語りたい人がいれば、ぜひ語ろうではないか。


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