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なぜ権力は分散しないのか?

権力を分散化すべき世の中が来ているにも関わらず、権力が一極集中してしまっているのが現在の世界・社会だと、思います。

例えば、映画「パラサイト」を観賞して、ぼくが持った問いは「どうしたら、貧富の差はなくなるのだろうか」です。この問いを持ったのは、決してぼくだけではないでしょう。そう、信じたいです。

今日の文章では、ドイツ人哲学者「ハンナ・アーレント」から得た知識を共有させてもらい、権力をどのように分散化させていくべきかを考えていきたいと思います。

100分de名著 アーレント“全体主義の起原”

ハンナ・アーレントに関して、いつも観ているNHKの番組「100分de名著」から簡潔かつ具体的に学ぶことができました。第1回から第4回まで23:59秒のシリーズとなっています。

・100分de名著 アーレント“全体主義の起原” 第1回「異分子排除のメカニズム」
・100分de名著 アーレント“全体主義の起原” 第2回「帝国主義が生んだ“人種思想”」
・100分de名著 アーレント“全体主義の起原” 第3回「“世界観”が大衆を動員する」
・100分de名著「全体主義の起源」第4回 悪は「陳腐である」

全体主義の何が問題なのか

まず、ぼくの全体主義の解釈を伝えます。
全体主義とは「1人の権力者が仮想敵を生み出し、思考停止の状態にさせ判断力を鈍らせて国家を統一しているさま」のことであると考えています。ハンナ・アーレントが実例としてあげたナチスドイツは、まさに全体主義を用いて運営した国家だと、考えられるでしょう。

Wikipediaの引用による全体主義の説明は、こんな感じです。

全体主義( 英: totalitarianism)とは、個人の全ては全体に従属すべきとする思想または政治体制の1つである。この体制を採用する国家は、通常1つの個人や党派または階級によって支配され、その権威には制限が無く、公私を問わず国民生活の全ての側面に対して可能な限り規制を加えるように努める。
政治学では権威主義体制の極端な形とされる。通常は単なる独裁や専制とは異なり、「全体の利益を個人の利益より優先する」だけではなく、個人の私生活なども積極的または強制的に全体に従属させる。全体主義の対義語は個人主義、権威主義の対義語は民主主義である。
Wikipedia


全体主義の問題点は「民衆を思考停止にさせること」だと思います。民衆の思考停止とはどういう状態かというと、権力者、支配者から伝えられる、生み出される思想や法律は、疑う余地がなく正しいと思うことです。

100分de名著の中でも、放送されていますが、ヨーロッパ諸国が19世紀にアフリカへ植民地支配を行うと切り出した際、人種思想を用いて、ヨーロッパ人の統率を図り、植民地政策を推し進めました。

人種思想とは「人種によって階級差がある」という考えです、白人が最も優れているという極めて、極端な思想を正しいと思わせ、それに準じて政策を進めたのです。

あらためて、全体主義の最大の問題点は「民衆の思想、文化の複数性を奪うこと」だと、思います。極端で単一的なモノが、重要だと考えられてしまうのは危険な状態です。

ちなみに、ぼくの理想は国民国家です。100分de名著のなかで国民国家の構成要素は「領土、国民、主権」を保有するものだ、と説明されています。この構成要素にプラスアルファで「共通の文化」が必要だと、ぼくは思います。

どうすれば、権力が分散するか。

間違いなく必要だと思うのは、民衆の複雑性を受け入れる土壌です。ぼくも30年近く生きてきて、人間として強い人が意思決定して突き進めた方がパワーがあるという事実は、よく理解しています。

100分de名著の中で、仲正昌樹氏が「人間は権力者の思想を受け入れて一度納得すると、権威に合わせて考えることが正しいと思ってしまう。権威に従うことが無自覚的な道徳として体に染み付いているのです」という発言は、とても注視すべきだと思いました。

なぜなら、ヒトは本質的に強い人に流されることの方が楽だということが、明らかだからです。ヒトには、この無思考の本質があるからこそ、権力者が権力者であり続けられるのだと、思います。

じゃあ、我々はどうすれば良いか。極めてチープな答えにもなってしまいますが「何事に対しても、自ら考え、意思を持って行動する」だと思います。その約束(プロトコル)を、個々人が持てば、理想の社会が生まれるのだと、思います。

ぼくのテクノロジーの観点からの意見も伝えさせて下さい。ちなみにぼくの専門はブロックチェーンです。ぼくは、ブロックチェーンが、世界中の民衆にとって、より良い社会をを生み出すポテンシャルを持つ重要な技術だと信じています。なぜならブロックチェーンは、実際社会において、我々が生まれながらにして持つ権利をデジタル化して、デジタル上でも権利証明し、利用できる技術だからです。

ぼくは、技術と思想を上手に折り合わせながら、権力が分散され、誰もが生きやすい社会を作れることを願いたいし、行動したいと、強く思っています。

最後に

100分de名著の中で、仲正氏は政治についても言及していました。仲正氏は「政治とは、自分のモノの見方をぶつけ合う場である。そして、お互いのモノ見方を変化させ続けるのが重要なことです」と伝えてくれました。この言葉に言論の自由や政治本来の大きな役割が詰まっていると、ぼくは考えます。

この文章を通して、ハンナ・アーレントや全体主義について気になった方がいれば、100分de名著を観て下さい。たかが100分で、ここまで学ばせてくれる教材は、滅多にありません。

最後まで読んでくれてありがとうございます。



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