「おっぱい募金」

おっぱいを揉んで募金しよう。


あたまがおかしいでしょうか?。
まぁそう思われてもしかたがないかもしれませんが、マジです。

これは衛星放送のスカパー!のプレミアムサービス(有料契約)で行なわれた「STOP! AIDS チャリティー 24時間テレビ エロは地球を救う!2015 生でパイパイもませて」の一環として行なわれたチャリティイベント企画です。

詳しいことは上記リンクの公式サイトをご覧いただけたらと思います。

SEXを売りモノにしながらAIDSやHIVの話をするのは、ゲームを楽しんでいる子供に「今しようと思っていたのに!」と口答えされるのを分かっていながら「勉強しなさい」と言わなければならない母親の気持ちに似ています。


冷水をぶっかけるかもしれない。
そういえばアイスバケツチャレンジなんてのもありましたね。
アレはアレでしたが…

いかがわしいと思われている業界が社会的な奉仕活動をすることが、嘘くさいと感じられたからでしょうか?

「性的搾取だ」「偽善だ」という意見がSNS上で出てきました。

そしてchange.orgに

「募金」「社会貢献」にかこつけて女性の体で人とお金を集める「おっぱい募金」は2015年で終わりにしてください!

として、署名キャンペーンが始まりました。
詳しい時系列は、今一生さんのブログに

■おっぱい募金リンク集 議論より尊厳のために

としてまとめられています。


ハッキリと断言しておきますが、ボクはおっぱいを揉むことにすでに性的な興味を失ってしまったので、おっぱいを揉むことになんの面白みもかんじませんが、おっぱい募金というアイディアを支持します。

そして署名キャンペーンに反対します。

しかし若干感謝もしておきます。
あなた方が問題を大きくしてくれれば、よりAIDSやHIVに関する問題に興味を持ってくれる人が増えるかもしれません。

ボクの友人に、別の立場からその問題に取り組んでいる人もいます。
先進国中で日本だけがHIV感染者が増加傾向にあるのですから、助かります。

しかし「性的搾取」を抗議するつもりがあるのならば、他にいつでもいくらでもやりようがあります。

あなた方こそ、この「おっぱい募金」にかこつけて「性的搾取」を問題にしようとしていませんか?


毎日何十本もの新作が配信されているAV作品や性風俗店の現場を、取材したり体験したりしている方々もたくさんSNS上にはいらっしゃいます。

いつでも彼らに問えますよ。

元性風俗嬢でAV女優の妻を持つボクに至っては、あなた方の言う性的搾取の受益者かもしれませんよ。

もちろん日常的に性的視線に怯えおぞましく感じている女性個人個人に対しては、同情します。

でもチャリティをやりにくくする圧力をかけることだけは、やめていただきたいのです。SNS上の意見を見る限り、まともに取材をされてる方は一名もいらっしゃらない。


企業が企業イメージを上げるために、社会奉仕イベントを主催したり協賛することに問題がありますか?
チャリティコンサートや、チャリティイベントに有名なタレントさんが出演するのは、タレントさんのイメージアップにも繋がるし、タレントさんのファンがその問題に興味を持ってもらえたらという主催団体の思惑があるからです。

その時間は、マジメなお勉強会でなければいけませんか?


例えば、こんな苦行でなければならないでしょうか?


ボクは、19歳の時に渋谷の駅前で街頭募金に立ったことがあります。
交通遺児であった高校時代の親友に頼まれて、見知らぬ同世代の大学生の若者たちと一緒になって、渋谷のハチ公前広場で「交通遺児の進学のための奨学金にご協力をお願いします」と声を張り上げることは、すごく勇気が要りいました。

そして交通遺児ではないボクが、募金箱を持って立っている。
ひょっとしたら、いまお金を募金箱に入れてくれた人は、ボクが交通遺児だと思ってお金を入れてくれたのかもしれない…そう考えたらなんだか少しウソをついているような気がして、後ろめたい気持ちにもなりました。

でも交通遺児が、交通遺児のためにお金を下さいと身を晒して叫ぶことのほうが、もっと勇気がいるかもしれない。
それを「ズルい!」と批判する人もいます。

実際に街頭募金に立っていると、なんだかんだ突っかかってくる人もいますしね。


30年前に渋谷の街頭募金にボクを誘った親友Tには弟が二人いて、長男である彼に比べると、いわゆる不良でした。
高校生なのに父親代わりに弟達を叱りつけながら、何かトラブルがあればすっ飛んでいき、くだらないダジャレを飛ばしてガハハと笑うTは、何処に行っても好かれる、正義感の強い男でした。

弟達は北九州の魚を扱う仕事に就きました。荒っぽい業界です。
一度三男坊の開いた寿司屋に行きました。

旨かった。
あんなにうまい寿司は、たぶんもう二度と食えない。


Tは結婚し、長女を地元で有名な進学校に入学させました。

片親で育った彼は、子供には絶対に自分と同じ思いはさせたくないと思っていたに違いありません。正義感が強かったから…何度か職を替えながら…すごく頑張ってしまったのかもしれません。ずっと長兄であり父親代わりでもあった彼は、甘えられる人がいなかったのかもしれないし、誰にも相談できなかったのかもしれません。

いまとなっては理由は分かりません。

連絡が取れなくなってから一週間後に、自家用の軽自動車と共に山中の小道で発見されました。

5月ともなれば気温も高く、すでに対面できる状態ではありませんでした。

かつて不良だった弟達と鯨幕の前で目が合った時、ボクは悲しくて哀しくて悔しくて申し訳なくて、弟達のゴツくがっちりした手を握りしめながら、ただただ泣くしかなかった…


でもいまこの瞬間、ボクを誘ってくれた親友に、そして募金箱にお金を入れてくださった見知らぬあなたにありがとうと申し上げます。


あのときボクは可哀想な若者だと思われたかもしれない。

あのときボクは偽善者だと思われたかもしれない。

あのときボクはウソをついていたかもしれない。



親友を助けてあげられなかったボクのような偽善者に、苦い想い出を開陳させればご満足ですか?

「可哀想」
「自分の好きなタレントさんのイメージアップのために」
「なんとなく」
「素敵やん」
「楽しい〜♪」
「戦争反対」
「助けてあげたい」

誰かのために。
金額の多寡は関係ありません。

でも見も知らぬ誰かのために少ない財布からお金を出してもらうためには、なによりも目に留めてもらわなければならないし、さらに納得のいる理由が必要です。

楽しくおっぱいが揉めて、みんなが笑いあってお金を出しあった。



それだけですよ。


苦行なんて要らないんです。

集まったそのお金が、誰かのためになるなら。


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