『重版出来!』終わりました。

ドラマ『重版出来』が終わりました。

正直最初は「じゅうはんでき」と読んでいました。ちなみにボクのスマホはいまだに出来(しゅったい)を変換してくれません。

「読んでいて涙が止まらない」というマンガは久しぶりで、これはいずれ映像化される、いやされなきゃおかしいでしょ!というくらいのめり込んでました。

マンガを描いてそれが雑誌に載り単行本になるまでにどれだけの人の手が関わっているかということを、マンガ家ですら案外知らないことが描かれているんです。

ちょうど小説で初めて重版がかかるという我が身に起きたこととも重なってましたし、小説の文庫書き下ろしでもマンガの単行本ほどガッチリとフォーマットが定まってないおかげで、書いた原稿が本になってゆく過程を改めて知れたということも、ボクにとってはいっそうリアリティの感じ取れる作品だったのです。

キャストが発表された時「ああ、これは本気で来るな!」という期待値が高まりました。

黒沢心役の黒木華さんは、原作とは体型も違いますが、細かいコト言い始めたら元柔道選手みたいに「耳が湧いてる」女優さんなんか居ないじゃないですか(笑)

だから本当はキレイな女優さんが、わざとオテモヤンっぽくメイクをしたり眉があまり見えないよう前髪を作ったり、私服がこう…ちょっとダサいというか個性的な服を選んでらっしゃる。

土屋太鳳ちゃんのほうが…という声も聞こえてはきましたし、ボクも太鳳ちゃんは好きですが、ちょうどTBSの別ドラの仕事が入ってましたし…むろん彼女も全力投球の役者さんではありますが…あんまり比べたくないんですよ。

役者さんは「この役は自分の役だ」って信じて演じてらっしゃるんだし。

黒木華さんは『舟を編む』で辞書編纂室にファッション誌から転属になる編集者を一度演じてらっしゃいます。そしてドラマ『グーグーだって猫である』では、マンガのアシスタント役も演じてらっしゃいます。

「本ができるまで」に関わる役を二度演じてらっしゃるのだから、考えてみりゃあ黒木さん適任なんですよ。

五百旗頭役のオダギリジョーさんは、もう一目見て「五百旗頭だ!」って叫んだくらい原作に酷似してますよ、原作未読の方はそれを確認するためだけにでも買って欲しい(笑)そしてチャラくて案外熱い編集者役だった『舟を編む』も観てほしい。ここには別の編集部の戦いが描かれているから。

あと安井役の安田顕さん。もう「水曜どうでしょう」のころから見ていますが最近では『HK(変態仮面)』での怪演から大河ドラマまで幅広く演じられて、なおここで嫌われ役の安井!

むろん安井にも事情があり、あえての嫌われ役なのですが、ここでは多くを語りますまい。

編集長は見てくれは違いますが、松重豊さんでよかったなあと思います。ボクにとっては『怪奇大家族』のメメント・モリ役から気がついたら『孤独のグルメ』の井之頭ゴロー。安心感があるじゃないか〜

営業と編集部とマンガ家の戦いは「週刊アクション」のときにやりました。

『怪ほどき屋』で装丁デザイナーを選べたり、書店に事前に配る「プルーフ」のことを知りました。

旧知の松木美紀さんに作ってもらった『怪ほどき屋』のロゴはすごく嬉しかった。

出版不況って言われて久しいけど、多分みんなが求めてるのは「ブームの連続」なんじゃないかな?って感じる昨今です。

マンガって戦後の日本をずっと引っ張ってきたメインコンテンツなんです。本当はブームってのは一過性の熱狂なんだけど、「マンガブームだけは終わらせちゃいけない」そんな気がするんです。

マンガで紡ぐ物語は、日本を密かに支える物語。

マンガはスランプなボクだけど、マンガにしやすい小説も書いて、若いマンガ家さんに描いてもらって若い読者さんの感性に訴えてもらうように頑張るし、できれば印税率もマンガ家さんに有利にしてあげたい。

そんな優しい気持ちになれた『重版出来』

秋にはDVD-BOXが出ますので、そちらを見て泣いてください。

感動すること請け合いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?