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合同会社の解散手続きを自分でやってみた 清算結了編

こんにちは。訳アリ投資家のタケダです。これまで「会社を自分で解散する方法」のうち、「会社の解散登記まで」、「解散の公告」さらに解散した事業年度の「税務申告」についてを書きました。今回でこのシリーズも最後、会社の清算結了までを書いていきたいと思います。

繰り返しですが、僕はこの道の専門家ではありません。この記事は僕が自分で調べたことのまとめと、それに基づいて登記した体験談です。記事にある解説文を含めて法的に正しいかどうかはわかりません。ですのでこの記事を参考にしたり真似するにしても自己責任でお願いします。法律や手続きについて質問を受けてもお答えすることはできませんし、この記事を読んで読者が行った結果について僕は一切の責任を負わない点をご了承のうえ読み進めてください。

ではいってみましょう!

前提条件。僕が解散した会社

ここで書く会社は僕と奥さんが作った会社。個人輸入ビジネスをするために作りました。細々やっていましたが、諸事情で別法人を作ることになり、休眠となったこの会社を清算することにしました。会社はこんな状況です。

  • 合同会社

  • 社員(出資者)は僕と妻。代表者は妻。清算人は僕。

  • 解散時点で累積赤字。しかし、役員借入金を債務免除されると債務超過ではない状態。

  • 事業はすでにストップ状態

  • 総社員の同意による解散(存続期間の満了などでは無い)

  • 解散後すぐに公告し2か月後に清算する

  • 清算人は妻が代表者印として使っていた印を使い続ける。

解散までに必要な手続き

『 』は僕が作成した書類。( )は調べてわかった期限。今回は下のリストのうち10~13番についてです。

  1. 解散すべきか検討する

  2. 総社員の同意→『解散決定書』の作成

  3. 清算人の選任と承諾→『清算人選任決定書』と『就任承諾書』の作成

  4. 解散と清算人の選任の登記(解散から2週間以内)『登記申請書』

  5. 印鑑届出書の作成、そして登記申請

  6. 債権者への官報公告の手配→解散に必要な訳ではないが、その後に続く清算に必要

  7. 解散事業年度の確定申告(解散から2か月以内)『確定申告書』

  8. 税務署、県税事務所、市役所税務課に対して異動届の提出(遅滞なく行うとあるので、5と一緒に行った)『法人異動届(各提出先の様式)』

  9. 税金の納付

  10. 清算結了の登記

  11. 残余財産確定事業年度に係る確定申告(確定から1か月以内)『確定申告書』

  12. 税務署、県税事務所、市役所税務課に対してまた異動届の提出『法人異動届(各提出先の様式)』

  13. 税金の納付

清算結了の登記

もうここまでくると登記に対するアレルギーとか固定観念(難しいとか得体のしれないモノという)は無くなっているかもしれません(笑)そして、最も重要な気づきは、ほとんどの様式が法務局のウェブサイトに載っているということかもしれません。

そして、この清算結了の登記にあたり、法務局のウェブサイトをやはり参考にしたのですが、そこには↓コチラのように合同会社でよくある登記申請について見やすくまとめてられています。これを知り、さらに法務局を身近に感じるようになりました。

いつもの通りウェブサイトで「合同会社清算結了登記申請書」を見つけ、これを参考にしました。コチラ。少し上にスクロールすると3-8にあります。必要書類は、以下の3点だけです。登録免許税は2,000円です(また数万円するのかと思っていたのでホッと一安心。。。)
1. 登記申請書
2. 清算結了承認書
3. 清算計算書

1. 登記申請書の作成

正直なところ、難しいところはなく、法務局の記載例に沿って書くだけです。ただし、記載例は、支店の登記がある場合の書き方を含んでいる(1ページ目「本店」の下など)ので私はここは無視しました(支店の登記無しだから)。そしてオンライン申請とかQRコード云々かんぬんも無視。紙で勝負です(笑)

さらに、記載例は清算人が誰かを代理人として指定し申請を委任する場合も想定した記載になっています。自分でやってみるのがこのブログなので、当然、代理人の住所・氏名は省略、「委任状」も不要でした。

大事なところとしては、収入印紙台紙を別紙にするときは契印が必要で、それはいわゆる会社の実印となります。申請書の1枚目に貼って1枚にまとめて契印の手間を省略するのもアリだと思われます(試してません)。

2. 清算結了承認書

意味としては、清算が終わって計算書が作成されたので、それを会社として承認しましたという書類となります。したがって、次で作る清算計算書が本来は先にできあがるものになります。内容はいたってシンプルで、僕も記載例をそのまま使いました。

3. 清算計算書

これも至ってシンプル。ただ僕は経理をやっていたこともあって、最後の地方税の納付額をどうやって書くのかで迷ってしまいました。清算が終わり→確定申告して→納付となるので、この計算書ができる時点では納付が終わっていないから、その分を残余財産から引いておかないと金額が合わないなと思ったのです。この点、調べてみてもよくわからなかったので、とりあえず均等割額としてすでに計算していた額を除いた額を残余財産として書く方法にしました。

法務局にこれで提出しましたが、問題なく登記は完了しました。

清算計算書の例

清算結了の登記がされると登記簿が閉鎖されます。今まで謄本と呼んでいた書類も「閉鎖事項証明書」になります。清算結了の登記が完了したら、この閉鎖事項証明書を取得しましょう。後の異動届の添付書類として使います。コピーで足りるので一通取っておけば十分だと思います。

残余財産確定事業年度に係る確定申告

作成する書類は解散事業年度の確定申告と同じです。ただし、これが法人として最後の確定申告になるため、計算方法にはいろいろ特例があります。僕の場合は、繰越欠損金を利用して納税も発生しませんでしたので、特に難しい計算はしなくて済みました。

注意点というか唯一いつもの確定申告と異なるのは、記入する日付欄です。法人税申告書の右下、いつもは「決算確定の日」という方に日付を入れると思います。僕が清算した会社は、残余財産の分配をした日に清算計算書を承認したので、「残余財産の最後の分配又は引渡しの日」に清算計算書の日付を入れ、さらに「決算確定の日」にも同じ日付を入れました。後者が必要だったかはわかりませんが、今のところ問い合わせなどは無いです。

法人税別表一の右下あたり

異動届の提出

法人に何か変更があったら提出するのが異動届ということで、清算結了の登記が完了したらこれも再度提出します。添付書類は閉鎖事項証明書です。これにいつ清算結了登記が完了したかが記載されます。確定申告書を提出するのでそれと一緒に郵送しました。

県税事務所、市役所(の税務課)にも提出が必要ですが、書類の名称が提出先によって異なります。「~県 法人住民税 異動届」で検索すると出てきます。

参考に、僕は埼玉県税に提出をしました。ウェブサイトで調べると「法人の事業 廃止・休業届」とあり、きっとこれが必要なんだろうと思い様式を探しました。通常、県税事務所などのウェブサイトに様式があるのですが、埼玉県税では、この「法人の事業 廃止・休業届」は電話で取り寄せるようになっていました。面倒だとは思いながら、県税事務所に電話してみると、すでに清算が完了したのであればこの様式ではなく、もっと簡単な「法人の名称変更等の報告書」に清算結了の日を書いて閉鎖事項証明書のコピーを添付すればOKとのことでした。「法人の名称変更等の報告書」はウェブサイトにありました。

想像するに、本来は事業活動をストップしたとき(解散よりも前)に提出すべきなのが「法人の事業 廃止・休業届」で、これを提出して均等割を納付しないで良いことになるのではないでしょうか。事業をストップしても均等割が発生することはあるので、会社の判断で勝手に提出させるのではなく、県税事務所が事情を確認してからの提出になるように電話で様式を取り寄せる形にしているのだと思いました。

税金の納付

会社として最後の税金納付です。自分は解散から清算完了までの期間分として均等割を3か月分納付しました。納付書はいつも使っているものと同じです。

おわりに

4回に分けて、会社の解散~清算まで自分で手続きをしてみた経験を書いてきました。もともと登記とか法務局というのは遠い存在だと感じていて、これが必要な時は司法書士などのプロに任せるものだと思っていました。

やってみてわかったのは、意外に自分でもできる!!ということと、そのための解説資料を法務局が懇切丁寧に公開していること、そして聞けば法務局の方々が親切に教えてくれることでした。

法によって人格を与えられるのが法人で、その活動の記録が登記だと思います。この登記を経験したことで、法人がどういう仕組みで成り立っているのかが少しわかりました。今回は会社を畳みましたが、また会社を作って活動するときにはこの理解が活きるように思います。

当然、複雑な状況で登記が必要になることもあると思います。そんなときには司法書士の先生方には助けてもらえば良いと思います。自分でできる時間があるなら一度は経験してみても良いんじゃないかなという思いを強くしました。

終わりが長くなりましたが、僕の経験を書いたこの一連の記事が何かの参考になれば幸いです。次は投資家っぽい記事を書くぞ!笑

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