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一般社団法人が作成した基本契約書にも印紙は必要ですか? 【契約書に貼る印紙の豆知識】

つい先日契約書の印紙について、非常に良いご質問をいただいたので、こちらでもシェア。一般社団法人が作成する「取引基本契約書」にも、印紙が必要かどうか? についてです。印紙の基礎については過去にも何度か記事にしていますが、今回は契約する当事者の種類による課税判断の違いです。

課税要件で判断する必要がある

前提として、一般社団法人やNPO法人は非営利だから印紙税がかからないのではないか? みたいなイメージがありそうなのですが、まず「一般社団法人」だから課税文書への印紙が「いる」/「いらない」などと単純には決められません。

7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するかどうか


「基本契約書」ということで、まずは7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当するかどうかを判断します。そのためには要件を検討しましょう。7号文書かどうかの要件は①営業者間の取引であるか、②売買、売買の委託、運送、運送取扱い、請負に関するものか、③2回以上の取引であるか、④契約期間の定めがないか、契約期間が3か月を超えるか、契約期間が3か月以内でも期間の更新に関する定めがあるか、⑤目的物の種類、取扱数量、単価、支払方法、損害賠償の方法、再販売価格の事項を1つ以上定めているか、です。(さらに文書の所属の決定が問題となる場合には、契約金額の記載の有無も問題になりますが、ひとまず置いておきます。)

7号文書かどうかの判断
①営業者間の取引であるか
②売買、売買の委託、運送、運送取扱い、請負に関するものか
③2回以上の取引であるか
④契約期間の定めがないか、契約期間が3か月を超えるか、契約期間が3か月以内でも期間の更新に関する定めがあるか
⑤目的物の種類、取扱数量、単価、支払方法、損害賠償の方法、再販売価格の事項を1つ以上定めているか

最も気になるのが、①の要件であり、一般社団法人が「営業者」かどうかです。印紙税法の「営業」とは「会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く(第17号文書の非課税物件の欄より)」です。
ようするに「利益金や剰余金の配当又は分配」が制限されている公益法人やNPO法人は、印紙税法にいう営業者には該当しません。これにより一般社団法人が作成する契約書は7号文書の要件を満たさないので、7号文書には該当しえないといえます。

2号文書(請負に関する契約書)に該当するかどうか

次に、2号文書(請負に関する契約書)に該当するか検討します。こちらは契約書の内容が請負かどうかの判断が必要です。「請負」とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによってその効力を生ずる」契約ですので、契約書を読み、そのような取引の成立事実が記載されていれば、「ほぼ」該当すると判断できます。2号文書には7号文書のような「営業者」間取引かどうかという要件がありませんから、一般社団法人であっても請負に関する契約書を作成すれば、印紙税を貼ることはありえます。ただし非課税要件に気を付ける必要があって、2号文書の場合は契約金額の記載が1万円未満の場合には印紙を貼る必要がありません。

つまり、まとめると「一般社団法人が作成した基本契約書は、営業者要件により7号文書には該当しないものの、その内容次第で2号文書には該当することもある。よって、印紙を貼ることもある。」と言えます。(契約書や課税文書は7号文書/2号文書に限りませんが、原則的な考え方を理解するために十分な、これら二つの課税文書の要件の差異を使い説明しました。)

領収書等についてはどうか?

ちなみに契約書ではなく領収書(証)等の場合は、印紙を貼るのでしょうか? 印紙税では金銭などの受領の事実を証明する文書(一般でいう領収書等)も課税の対象としていて、こちらは第17号文書となります。ただ17号文書には非課税の要件として「記載された受取金額が5万円未満のもの」と「営業に関しない受取書」があります。つまり5万円未満の領収書には印紙を貼る必要がありませんし、また、「営業」要件があるため、7号文書の場合と同様に、営業に関しないものが作成した領収書には、印紙を要しません。よって、一般社団法人が作成する領収書には、印紙を貼る必要がありません。

以上、一般社団法人の作成する契約書に貼る印紙についてでした。

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