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イベント企画運営業務委託契約書のひな形と解説【ひな形/商用利用可能】円滑なイベントマーケティングを支える重要な契約書

実務に即した、安心・円滑な業務委託のために


イベント企画運営の業務委託において、委託者と受託者の権利義務関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐための契約書が不可欠です。
しかし、イベント業務特有の事情を踏まえた契約書の作成は、専門的な知識と経験が必要で、時間もコストもかかるものです。

そこで、実務に即した業務委託契約書のひな形を提供します。
このひな形は、イベント業務の特性を踏まえ、委託者と受託者双方の利益を守ることを目的に作成しました。


ひな形の特徴は以下の通りです

  1. 具体的な仕様書のサンプルを提供し、業務内容や成果物の定義を明確化。

  2. 知的財産権の帰属や利用条件について、実務に即した規定を提供。

  3. 業務内容の変更や再委託、秘密保持義務など、重要な論点をカバー。

  4. 紛争解決条項(合意管轄条項等)を盛り込み、万一のトラブルに備える。

  5. 丁寧な解説付きで、契約書の内容を正しく理解できる。

このひな形を使えば、イベント企画運営の業務委託に特化した、適切な契約書を効率的に作成できます。
委託者と受託者の権利義務関係を明確にし、トラブルを未然に防ぐことで、安心・円滑な業務委託を実現します。

いくらで受注すべき? イベント企画運営業務の委託料の決め方

イベント企画運営業務の委託料に、明確な決まりはありませんが、考え方としては、どのような費用を請求すべきか、項目から検討する方法があります。
参考までに、一般的なイベント企画運営業務の委託料の請求書に含まれる費目や内訳を示すと以下のものがあります。

  1. 企画料

    • イベントのコンセプト設計、企画立案、運営計画の作成などに対する対価。

  2. デザイン料

    • ロゴ、ポスター、チラシ、ウェブサイト等のデザイン制作に対する対価。

  3. 制作費

    • 映像、音楽、写真等の制作に対する対価。

    • 装飾、看板、ブース等の制作に対する対価。

  4. 会場費

    • 会場の賃借料。

    • 会場の設営、撤去に関する費用。

  5. 機材レンタル費

    • 音響、照明、映像機器等のレンタル費。

  6. 出演者費

    • 講演者、パフォーマー、MCなどの出演料。

    • 出演者の交通費、宿泊費。

  7. スタッフ費

    • 運営スタッフ、受付スタッフ等の人件費。

  8. 運営費

    • 事前準備、リハーサル、当日運営などに関する費用。

    • 材料費、消耗品費、印刷費、輸送費など。

  9. 広告宣伝費

    • イベントの広告、プロモーションに関する費用。

  10. 保険料

    • イベント保険、傷害保険等の保険料。

  11. 各種手数料

    • チケット販売手数料、著作権使用料などの手数料。

  12. 諸経費

    • 通信費、交通費、飲食費など、その他の経費。

  13. 管理費

    • 受託者の一般管理費、業務管理費。

  14. 税金

    • 消費税など、適用される税金。

これらの費目は、イベントの規模や内容、委託範囲などによって異なります。(大規模なイベントであれば、より詳細な内訳が必要になる可能性があります。)また、請求書の項目立ては、委託者と受託者の間で予め合意されていることが一般的です。

権利関係に注意! 知的財産権について明確に定める重要性

権利関係も具体的にすべき部分です。イベント企画運営の業務委託において、業務の履行に伴って生じる知的財産権には、たとえば、以下のようなものが考えられます。

① イベントのコンセプト、企画案、運営計画等に関する著作権
イベントの全体的なコンセプトやテーマ、企画案、運営計画などは、創作性が認められる場合、著作権の対象になり得ます。

② イベントで使用するロゴ、キャラクター、デザイン等に関する著作権、意匠権
イベントのロゴマークやキャラクター、ポスター、チラシ、ウェブサイトなどのデザインは、美術の著作物として著作権の対象になります。また、意匠権の対象にもなり得ます。

③ イベントで使用する映像、音楽、写真等に関する著作権、著作隣接権
イベントで使用するプロモーションビデオ、BGM、イベント記録写真などは、著作権や、実演家の権利、レコード製作者の権利などの著作隣接権の対象になります。

④ イベントで使用するソフトウェア、アプリケーション等に関する著作権、特許権
イベントの運営に使用する独自のソフトウェアやアプリケーションなどが制作されたような場合は、それらがプログラムの著作物としての著作権や、発明としての特許権の対象になり得ます。

⑤ イベント運営のノウハウ、アイデア等に関する営業秘密
イベントの運営に関する独自のノウハウやアイデアなどは、営業秘密として保護される可能性があります。

これらは一例ですが、イベント企画運営という創造的な業務においては、様々な知的財産が生まれる可能性があります。こうした知的財産権の帰属を明確にし、適切に管理することは、当事者双方にとって重要な意味を持ちます。例えば権利を「譲渡する」ならそうすることをはっきりさせることで、委託者は、これらの権利を取得し、イベントの成果を自由に活用できるようになりますし、他方、受託者は、自らの創作物に対する正当な対価を得ることができます。

知的財産権条項は、このようなイベント企画運営特有の知的財産を適切に保護し、当事者間の利害を調整するための重要な規定だといえます。

イベント企画運営の業務委託の成功には、適切な契約書が不可欠です。この機会に、イベント企画運営業務委託契約書のひな形を活用して、安心・円滑な業務委託の第一歩を踏み出しませんか?

このひな形に含まれる条項

このひな形には、以下の条項が含まれています。

第1条(業務の委託)
第2条(業務の履行)
第3条(成果物の保証等)
第4条(委託料)
第5条(業務内容の変更)
第6条(再委託)
第7条(秘密保持)
第8条(知的財産権)
第9条(権利譲渡の禁止)
第10条(解除)
第11条(損害賠償)
第12条(有効期間)
第13条(反社会的勢力の排除)
第14条(合意管轄)
第15条(協議)

別紙仕様書(記載例)

イベント企画運営業務契約書に含まれる条項

【免責事項】

当方が提供する契約書のひな形は一般的な形式や構成を示すものであり、特定の法的状況や個々の取引に適用されるべき内容を保証するものではありません。契約書のひな形はあくまでも参考資料であり、法的助言や専門的な意見を代替するものではありません。以下をご理解ください。

1.当方の契約書ひな形は参考資料です。特定の法的状況への適用は保証しません。
2.ひな形は法的助言の代替にはなりません。作成代行サービスとは異なるため、個別の条文についてのお問い合わせにはお答えできません。
3.利用者は、ひな形を自身の責任でカスタマイズし、使用してください。当方は、誤字脱字、表現上の間違いや矛盾を含むすべての内容の誤り、及び契約書のひな形に関連する利用者の行動や取引の結果、ひな形の利用による損害や損失について責任を負いません。

ご購入いただく前に、利用条件を十分に理解し、ご自身の責任においてご判断ください。

【ひな形を使うメリット】

当方の契約書ひな形は、実際の業務で使用された生きた契約書を基に作成されたオリジナルのものです。同じひな形は他には存在しません。

一般的な内容ではなく、特定の場面を想定して作成された、そのシチュエーションに特化した内容となっています。ぜひ、あなたのビジネスにお役立てください。

ひな形

以下が、イベント企画運営業務委託契約書のひな形です。Wordファイルは最下部よりダウンロードしてください。

ひな形
        イベント企画運営業務委託契約書

〇〇株式会社(以下「甲」という。)と〇〇株式会社(以下「乙」という。)は、甲が乙に委託する業務に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(業務の委託)
甲は、〇〇〇〇(東京都〇〇区〇〇1-22-33)において、20〇〇年〇月〇〇日から同年〇月〇〇日まで開催される「第〇〇回国際IoT&AIソリューション展(架空のイベント名です)」(以下「本展示会」という。)に、甲の新製品の宣伝を行う施設(以下「展示施設」という。)を設置し、同施設内におけるプロモーションイベントやデモンストレーションを実施するに当たり、乙に対し、以下の各号記載の業務(これらに付随する業務を含むものとし、各業務の具体的内容は別紙仕様書に定めるところによる。以下これらをまとめて「本委託業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。
(1) 展示施設内の動線設計及びプレゼンテーションの企画案作成
(2) 展示施設に設置する機器・設備の選定、手配
(3) 展示施設内で配布する資料・リーフレットの製作
(4) 展示施設への機器・設備の搬入及び設置
(5) 展示施設におけるプレゼンテーション及びワークショップの運営
(6) 本展示会終了後の展示施設の原状回復、撤去


【補足説明】本条は、委託業務の記載例ですので、御社の「実際の業務内容」にあわせて適宜内容を書きなおしてください。

本条の意味合いは、イベント主催者(甲)と企画・運営業者(乙)の間で締結されるイベント企画・運営委託契約の中で、業務委託の内容を具体的に定めるものであり、重要な条項です。具体的には、
① 委託業務の明確化
本条では、乙が甲から委託を受ける業務の内容を具体的に列挙しています。これにより、乙が行うべき業務の範囲が明確になり、両者の認識の齟齬を防ぐことができます。

② 委託業務の詳細の別途定め
各業務の具体的内容については、別紙の仕様書に委ねることで、本契約書の条文をシンプルにしつつ、詳細な取り決めを行うことができます。

③ 付随業務の包括的委託
列挙された業務に付随する業務も委託の対象に含まれることを明記することで、乙の業務範囲を包括的に定義しています。これにより、業務遂行上必要な関連業務も乙の責任で行うことが明確になります。

④ 責任分担の明確化
甲と乙の間で業務内容を明確に取り決めることで、各業務に関する責任分担も明らかになります。これは、トラブル発生時の責任の所在を判断する上で重要な意味を持ちます。
イベントの特性に応じて、委託業務の内容を具体的かつ網羅的に定義してください。

以下、第2条につづく

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