見出し画像

2019年に世界で売られた産ロボ37万台、業務用サービスロボ10万台、家庭用ロボ2000万台。

9月末にIFR (International Federation of Robotics:国際ロボット連盟)による年次レポート”World Robotics Report 2020”が発行されました。ロボットの動向を概要を知るという意味で、今回は内容を可能な限り図も使いながら、レビューしてみたいと思います。もう少し詳しく知りたい人は、こちらを参照ください。
#WorldRobotics2020

IFRというのは、1987年に創設されたNPOです。グローバルにロボットに関する情報発信を定期的に行っていて、ロボット業界で働いていると市場動向の概要を知るために助かる統計情報などを提供してくれています。

では、確認してみましょう。

産業用ロボット稼働台数:270万台

ロボット稼働台数は2018年から12%増えて270万台です(2014年からのCAGRは13%)。270万台が多いか少ないかは分かりませんが、車だと数億台、鉄道で約700万両、飛行機で3万機という感じなので、(比較対象がイマイチですが・・・)それなりにある感じですかね。

画像1

稼働台数の地域ごとの変化を見てみると、アジアエリアが占める割合が増えています。世界中の約65%がアジアで使われていると言っても良いでしょう。その割合は年々増加傾向です。日本では、約35.5万台の産業用ロボットが稼働しています。一番多いのは、もちろん中国で約 78.3 万台(前年比21%増)、日本が2番で、3番は韓国で 31.9 万台です。続くのが、インドで26.3万台です。インドはこの5年で2倍に増加しているとのことで、今後韓国、日本は抜かれることになるでしょう。

画像2

一方で、利用目的にはほぼほぼ地域差がなく、1位:自動車産業、2位:電機産業、3位:金属・機械産業という感じです。

産業用ロボット新規導入台数:37万台

2019年の新規導入台数は37万台となりました。過去3番目に多い数字ですが、前年比12%ダウン!(2014年からのCAGRは+11%)。個人的には結構衝撃的な数字です。(2020年のデータならわかるのですが、19年から減少しているということです)

画像3

地域別としては、アジア・アセアニア:2018:28万台⇒2019:25万台、欧州:2018:7.6万台⇒2019:7.2万台、米国:2018:5.5万台⇒2019:4.8万台と軒並み現象となっています。

用途別で見てみると、用途別1位、2位である、自動車産業(2017:12.3⇒2018:12.6⇒2019:10.5万台)、電機産業(2017:12.2⇒2018:10.5⇒2019:8.8万台)での導入減少が大きくなっています。電機業界は二年連続で減少しているのが、少し気になるところでしょうか!?

そして、国別新規導入数をみると中国が文句なしの一強。2位が日本、3位が米国です。日本は2018年度比10%減ですが、約5万台が新規に導入されています。

画像4

そして、少し変わったところのデータでいうと、ロボット密度というものがあります。定義としては、従業員1万人当たりのロボット導入数です。ロボット密度でで見ると、シンガポール、韓国が非常に大きいことがわかります。日本は三番目。逆に中国はシンガポールの1/5、日本の半分となっています。まだまだ中国はロボット導入の余地があるということでしょうかね!?

画像5

協働ロボット活用:約2万台

産業用ロボット全体からすると、規模としてはまだまだ微々たるものです。全体の約5%。ただし、産業用ロボット全体としては伸びなかった中、産業用ロボットの台数自体は、2018年1.6万台から2019年1.8万台とのびています。

画像6

IFRとしては、産業用ロボット全体の落ち込みに関しては、2021年は回復傾向になると思うが、コロナ前に戻るのは2022、23年頃になりそうであるとしています。

サービスロボット:B2B 10万台, B2C 2000万台


サービスロボットについてもB2C、B2Bともに簡単なデータが紹介されています。B2Bにおいては、しばらくは物流領域が圧倒的という状況でしょうか。台数としても毎年数十万台はコンスタントに出ていくようになりそうです。

画像7

B2Cにおいては、家事ロボット(基本、掃除)がメインで、エンタメは少なからずはニーズは続くという状況です。台数は5000万台が見えてきそうな勢いです。

画像8

販売額で言うと、現在の1.5兆円くらいから2023年頃に3兆円が見えてくるという状況で、B2Bの売上が伸びていくことになりそうです。

画像9

というわけで今回は特に考察は入れていませんが、オープンになっている数字を眺めたりしているだけで、なんとなくのトレンドは見えそうですね。そして、個人的な気づきとしては、

・B2Cサービスロボの数は産ロボの1/4を超えるところまで来ている
・B2CロボットはB2Bロボットの販売台数より2桁も多い

というのは、考えてみたらそうなのですが、そういう時代なのね〜と改めて思いました。

では、また来週~。

安藤健@takecando

=================================

Twitter(@takecando)では気になったロボットやWell-beingの関連ニュースなどを発信しています。よければ、フォローください。


頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。