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生産技術部門がクリエイティブやデザインに挑戦する意義

昨日、1年前に「拡張技術でWell-beingに貢献しよう」と始めたAug Labの成果報告会をWEBで実施しました。報告会の内容は以下などでご紹介頂いておりますので、良ければ是非!個別のプロダクトに関してはまた別の機会にご紹介したいと思います。今回は、Aug Labの活動意義について、少し違う視点で考えられたらと思います。最後に公募研究の募集もありますので、是非最後まで!笑

今回の発表に関するリアクションは
・面白そうなことやっているね~
・P社っぽくないね!
・なんかどこかで見たことある感じがした...
など本当に様々でどのコメントはありがたく、特に大きな違和感があるものもありませんでした。

確かにメチャクチャ独自性に富んでいて世界初!!みたいな話ではないかもしれません。もちろん、それぞれにオリジナルな部分はあると思っていますし、自分たちの手でやってみて感じることか重要と考えてます。そして何よりも「面白い!」と思って推進しています。P社っぽくないね!というのは、おそらく大手電機メーカーっぽい「お堅い」感じがしないよね、ということだと思います。ある意味、とても嬉しい言葉でもあります。

特に、私が所属しているのは、生産技術に関する部門です。おそらく、会社の中でもトップクラスにお堅いというか、昔ながらの大企業文化・ガテン系の文化が残っているのではないかと。それはそうあるべきだと思います。生産技術、商品を製造する工場など作っている部門は、柔らかくても困ります。商品の品質・信頼性・生産性・原価に絡むような仕事をしているので、決められたことをきっちり、納期を守って、一定の品質で完遂する必要があります。特に、売れる商品が見えていて、それをいかに大量に安く、高品質に作るかという時代には上意下達で素早く動けることが強みになってきます。

そんな組織の中にいながらも、「Aug Lab」という柔らかめの仕事ができていることが大変有り難い話だと思いますし、それを許容して貰える組織であることに大変感謝しています。そういう意味では、引き続き、社内外の多くの人々のサポートを頂きながらも、ヒトの欲望/欲求/痛みなどを中心として考え、ヒトに共感し、感性にアプローチし、ストーリーを語れるメンバーを増やしていくことが、私の大きな宿題のようにも感じます(私自身もまだまだ未熟なのですが・・・)

ただし、これは組織の中で堅いことも柔らかいこともどっちもやっているというのが大事だと。本流として生産技術のきっちりしたこともしっかりと実現しながらも、感性とか不確定要素の強いモノを扱う、その両方ができるようになることこそに価値があるはずです。ロボットの分野においても、自動化(Automation)による生産性向上と自己拡張(Augmentation)によるQoL向上を両立することが重要と言っているのに似ているかもしれません。

実は、うちの部門は生産技術の部門にも関わらず、わりとデザイン、アートというような取り組みに積極的な気もします。(私は直接的に携わっていませんが)、ミスト技術を使ったアート作品やセルロースナノファイバーで作った「森のタンブラー」なんかも創っています。

industry4.0とかSociety5.0とかももちろん大事だけど、たまにはデザイン思考とかアート思考とか、デザインとかクリエイティブとか、Well-beingとか言ってみるというか考えてみても良いのかもしれませんね。それによって、逆に工場で働くヒトのモティベーションとかWork Engagementとかに目を向けた生産活動というのができていくのではないでしょうか。現状のテクノロジー進化をみると、どれだけ自動化が進められても、しばらくは完全無人化・完全自動化というのには難しそうです。そんな中、単純に自動化しにくい仕事を人にやってもらうのか、人も楽しみや充実感を持って貰いながら働ける工場を作っていけるのか、そこには大きな違いがあります。そして、工場自身が作るプロダクト自身が機能性だけでなく、デザイン性、感性、ストーリさらにはナラティブというものの価値が圧倒的に高くなっていく時代において、作り手側がその感度を高く持っていることが重要になってきます。それは決して商品企画やマーケティングの部門だけでなく、実際にモノづくりをする部門、それを支える部門やそこの最前線で働く人々が共有できて、大きな価値になるものです。そういう意味でも、多少浮いたとしても、生産技術を担当する部門の中で、ヒト・感性を第一義に掲げたプロジェクトを推進する意味があるんだろうと思っています。

ちなみに、私自身が初めて「右脳と左脳」「論理と感性」みたいな話を意識したのはダニエル・ピンク「ハイコンセプト」を呼んだときでした。15年くらい前の本ですが、名著と思いますので、ご興味ある方は是非。

・この仕事は、他の国なら、もっと安くできるのか?
・この仕事は、コンピュータならもっと早くやれるだろうか?
・自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?

という結構刺激的な質問から始まり、ハイコンプセト(創造力)・ハイタッチ(共感力)がこれから大事になってきますよ~という本です。「デザイン」、「物語・ナラティブ」・「調和」・「共感」・「遊び心」・「生きがい」という、いまこそ必要なキーワードが散りばめられています

というわけで、Aug Lab自身は活動2年目に入りました。引き続き、日常生活の中で人の能力・感性を拡張することで、感性価値を高めることのできるプロダクトやサービスのプロトタイピングを行っていきます。そして、昨年度に引き続き共同研究開発パートナーを募集します。

本年度のテーマは「達成感」「没入感」「ポジティブ感情」「意義」「関係性」などをキーワードとして、人の能力・感性を引き出し、拡張することを重点的な取組み課題と設定しています!

ご興味ある方は是非一緒に面白いことしましょう!!

では、また来週!

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