見出し画像

エンジニアがRCAでデザイン思考を体験して感じたこと

少し前になりますが、現在担当している自己拡張augmentationをテーマとして、世界トップのアート、デザイン系大学として有名なイギリスのRoyal College of Art (RCA)とワークショップを行いました。行く前に日本で感じていたプロセス、手法としてのデザイン思考というものと、結構違う印象を受けて帰国したので、現時点での考えを纏めてみたいと思います。
もしかしたらデザイン職能の方にとっては当たり前のことなのかもしれませんが、1エンジニアが思ったこととして読んで頂ければ幸いです。

RCAとは何なのか?

今回RCAに行くまで、お恥ずかしながらRCAが何なのか知りませんでした。。。デザイン関係の人から聞くと、めちゃくちゃ有名な学校のようです。Dyson社のジェームス・ダイソンさんや日本人だとTakrum田川欣哉さんなんかがOBのようです。エンジニア系で言うと、MITとかスタンフォード大学みたいな感じでしょうか?

ウィキペディアによると、

修士号(M.A., M.Phil.)と博士号(Ph.D.)を授与する美術系大学院大学としては世界で唯一の学校である。QS世界大学ランキングにおいては、2019年の時点で5年連続でアート・デザイン分野の世界1位にランクインしている

ということで間違いなくTOP校なんだと思われます。

今回のワークショップは、そんなRCAの中でも、特にインクルーシブ・デザインで有名なRama先生率いるヘレン・ハムリン・デザイン・センターと実施ました。

ワークショップの内容は以下で簡単に紹介してますが、いわゆるデザインシンキングに近いプロセスで実施されています。

ビフォーRCAなデザイン思考のイメージ

RCAに行く前の私は、デザイン思考と言われるものを何度か教わったり、業務の中で使ってみたりしていた感じです。

そのイメージは正に以下の通りで、

【観察】→【インサイト】→【アイデア出し】→【プロトタイピング】→【検証】

みたいな。このプロセスに従ってやりながら、みんなでブレストとかを否定せずにやったりポストイットとかを使いながらやったりすると、今まで思い付かなかったような創造的な解決策が出てくる。

『えっ、マジ??』という半信半疑なところが正直なところでした。

「この思考のプロセスのことを、デザイン思考と呼んでいる」と思っていました。

アフターRCAなデザイン思考のイメージ

もちろん、プロセスはほぼほぼ同じでしたし、沢山のブレスト、ポストイットなどブレストをスムーズにするためのツールもありました。
ただし、現地で感じたデザイン思考は、プロセスではなかった。Twitterで書いたように、「思考であり、姿勢であった。もしかすると覚悟」と言えるものかもしれない。

トについて徹底的に考えること、うわべで調べるのではなく、ある人が何に喜び、何に悲しんでいるのかをドンドン深掘りしていくこと。ほぼ原体験に近いようなところまで切り込んでいくこと。

その行為はもしかしたら心の中の非常にセンシティブな領域まで問いかけることになってしまうかもしれないけど、それに挑むのに必要なコミュニケーション力というか姿勢、覚悟を有していること。

プロセスではなく、そのような思考および姿勢そのものをデザイン思考と呼んでいるのではないか。

だとすると、デザイン思考がクリエイティブであるかは実はどうでも良いというか、結果論であり、本質的に意味があるモノ、コトができる可能性を高めるというのは非常に腹落ちした。
だからこそ、デザイン思考を通して作られたものは、心に刺さるストーリーになるんだろうとも思う。

そして思った、デザイナーとは?

デザイナーとは、もちろん意匠をいい感じにするだけの人でもないし、クリエイティブなアイデアと出すだけの人でもないのはわかっていたけど、いまいち何なのかというのも分かっていなかった。今回のワークショップを経て、もしかしたら、ヒトの原体験や内発的な動機というレイヤーまで潜り込み、そこに対する解決策を具現化する人のことをいうのではないかと。

これは結構難しい。自分のことすら、原体験や内発的な動機をしっかりと理解しながら、生きている人は稀だと思う。それをあかの他人に対して、思考し、まるで自分ごとのように理解するのである。もしかしたら優れたデザイナーとは、多重人格のように色んな人になりきっているのではとさえ思ったりもする。

正直、この解釈が正しいのかも全くわからないし、デザイナーの人にも怒られそうな気もするけど、ワークショップを行ったときに感じた備忘録として。


Twitterでは気になったロボットやWell-beingの関連ニュースなどを発信しています。よければ、フォローください。


頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。